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LINKED Vol.12:海南病院

2013年11月29日 金曜日
mainついに指定を受けた救命救急センター。「悲願」を成就させ、さらにその先へ。   海南病院 「ハードさえあれば、もっと救急患者を受け入れられるのに」。職員たちのそんな忸怩たる思いを経て、ついに指定を受けた救命救急センター。名実ともに三次救急の担い手となった今、海南病院が描く救急医療の将来像とは。 平成22年度から続く大規模施設整備の核として、海南病院に、平成25年9月、愛知県西部の海部医療圏で初めて、三次救急を担う「三次救命救急センター」が誕生した。従来から有する高度な医療機能を、充分に活 [...]

LINKED Vol.12:海南病院


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病院を知ろう

ついに指定を受けた救命救急センター。
「悲願」を成就させ、さらにその先へ。

 

海南病院



main「ハードさえあれば、もっと救急患者を受け入れられるのに」。職員たちのそんな忸怩たる思いを経て、ついに指定を受けた救命救急センター。名実ともに三次救急の担い手となった今、海南病院が描く救急医療の将来像とは。

平成22年度から続く大規模施設整備の核として、海南病院に、平成25年9月、愛知県西部の海部医療圏で初めて、三次救急を担う「三次救命救急センター」が誕生した。従来から有する高度な医療機能を、充分に活かせるハードを手に入れた同院は、「海南病院」という新たな医療モデル創造に向け、さらなる一歩を重ねる。

海南病院の心臓部に直結する救命救急センター誕生。

082_KainanB_2013 海南病院の三次救命救急センター。ここには山本直人院長をはじめ、全職員の地域医療への思いが込められている。
 正面入口は、救急車が同時に5台到着しても受け入れが可能という広さを確保。1階には従来に比べ約3倍の広さ(680㎡)を持つ救急外来、2階には20床の救急専用病床を有する。設備面にも充実が図られている。例えば、病床ごとに電子カルテ端末を設置、病床周辺には複数のモニター機器を完備。また、ナースステーションにはセントラルモニターを設置した。いずれも患者の容態変化や、病棟、待合室の状況を随時確認でき、早期に発見、対応できる環境が整えられている。
 特筆すべきは、ICU(集中治療室)、手術室(9室)、放射線診断部に最短の動線で移送できることだ。いわば、海南病院の心臓部と一体化した形。設計コンセプトの柱を「スピード」とし、より素早い診断がより素早い治療に繋がるとの考えのもと、処置をはじめ検査、手術、集中治療が、より効率的に対応できる形となっている。
 これまで年間約5500台の救急搬送を受け入れてきた海南病院。だが、非常に手狭で、患者動線も悪く、さらに、救急車の要請が多い時期には急性期病床が満床となり、受け入れ不能が発生する状況がこの5年ほど続いていた。医療従事者の頑張りだけでは打開できないハード面が課題だっただけに、センターの完成は、いわば病院全体の悲願ともいえるものである。
 9月から稼働したばかりだが、数字の上ではすでに目に見えた変化が生まれている。救急搬送はセンター稼働前と比べて122・2%と約2割増加。救急搬送を断るケースも見られなくなった。

 

 

まるで野戦病院。支えていたのは職員の志とモラル。

Plus顔写真2 「以前は本当に大変でした」。救急部を10年以上前から支えてきた桂川純子看護師長は、センター開設前の救急体制を振り返りながらそうつぶやいた。
 これまでの同院は、山本院長が掲げる「救急搬送は断らない」という考えのもと、二次救急患者だけではなく、重篤な三次(重症)の救急患者も受け入れてきた。二次救急病院でありながら、実質的には三次救急を担ってきたのである。
 しかし、近年では三重県北勢地域や海部医療圏で、深刻な医師不足が発生。救急受け入れ不全を起こし、海部医療圏救急体制崩壊の危機に見舞われていった。その余波を受けた海南病院は、救急車からの搬送にも支障をきたす狭いスペースの救急外来で、まるで野戦病院のように、年間約5500件の救急搬送に対応してきたのである。
 「患者さんからの『海南病院がいい』という声を励みにし、また、海部医療圏に住む方が名古屋市内に搬送される状態を見ながら『これではいけない』と思い何とか頑張ってきました」と桂川師長は言う。そうしたなか、救急医療の質を向上させるため、平成17年から地域の医療従事者が受講できる海南ICLS(二次救急処置コース)を開講。平成22年には、地域住民にいち早く医療・看護を提供するため、ドクターカーを導入した。「看護部内で考えるだけではなく、医師に救急のあり方を学び、院内教育を検査技師さんと考え、放射線技師さんに支えられ…患者さんにとってまずどうなのか。誰が何をやれば、この患者さんの治療がスムーズになるのか。職員みんなが一緒になって、海南病院の救急を守ってきたと思います。それでも、救急患者さんが年々増え続け、どうしてもお断りせざるを得ないときもありました。これは医療従事者として本当に辛い。地域の皆さんに本当に申し訳なく思いました」。
 この桂川師長に代表されるように、職員たちの高い志やモラルで懸命に支えられてきたのが、今までの海南病院救急の姿だったといえよう。

※日本の救急医療は、比較的軽症な初期(休日夜間診療所)救急、入院治療を必要とする二次救急(輪番制による地域の病院)、そして、生命に関わり早期に高度な治療を必要とする三次救急(国指定の救命救急センター)とに役割分担されている

 

 

北米型ERをめざし、医師をはじめもっと充実したい。

Plus顔写真1 平成25年4月に着任した救急専従医の谷内仁医師は、以前の海南病院の救急体制を見て、「非常に手狭なスペースで、ベッド数も少ないなか、よくこれだけの患者さんを受け入れているな」と感じたという。「職員みんなは、地域医療において、ここが最後の砦だと思っています。その思いに比べ、これまでの施設は脆弱でした。でもセンターが完成した9月以降、スタッフのモチベーションは、今まで以上に高まってきています」。
 「ただ」と谷内医師は言葉を続ける。「センターでは北米型ERをめざしています。これは、救急専従の医師が24時間365日常駐し、搬送された患者さんのトリアージ(治療上の優先順位をつける)を実施。救急で治療できるケース、あるいは専門診療科へバトンタッチするケースを、より迅速に行うという救急の姿です」。
 そのためには複数名の救急医が必要となるが、今は、救急専従は谷内医師一人しか在籍せず、内科系、外科系、循環器科、小児科、産婦人科、ICU(麻酔科)の医師が当直体制で臨んでいる。149_KainanB_2013
 「救急志望の若い医師を育てなければと考えています。そのためにも、まずは救急の指導ができる医師を増やしたいですね。それが若手医師の教育に繋がり、さらには、迅速に専門診療科へのバトンタッチができ、より安全で高度な医療が実現します。もちろん医師だけではなく、看護師やコメディカルとともに、充実を図ることができればと考えます」

 

 

広域圏を見つめて、今まで以上に救急に貢献する。

 

064_KainanB_2013 海南病院はDPCⅡ群に属する病院である。DPCとは、包括医療費支払い制度方式であり、主疾患を定め、それに対して短期集中的に専門治療を行うものだ。全国約1500の急性期病院が導入し、厚生労働省ではそうした病院を、診療実績に応じ「Ⅰ群(大学病院本院群)」「Ⅱ群(高診療密度病院群)」「Ⅲ群(その他の急性期病院群)」に三分類し指定している。愛知県で「Ⅱ群」の病院はわずかに8病院。その一つが海南病院である。
 それが意味するところは、重症患者を受け入れ、難易度の高い手術を含む高度な治療を行い、且つ、臨床研修医が多く在籍している病院というもの。急性期病院の実力を表す一つの指標といえる。
 「やっと実力を発揮できる環境になりました」と山本院長は言う。「救急医療でいうと、もちろんこれまでも職員の頑張りでやり続けてきました。しかし遺憾にもお断りすることが発生していた限り、100%地域に貢献してきたとはいえません。ハードが整った今後は、当院が有する高度な診療能力を、救急においても提供することができます。職員についていえば、逆説的ではありますが、施設が不充分だったために、非常に能力を高めてくれています。121_KainanB_2013いわば技術とマインドというエンジンはすでにあるのです。それを新しいセンターでいかに活かすか。谷内医師の言うように、救急医も必要です。人を活かす仕組みづくりも一新していくことになるでしょう。
 新しいことを行うとき、当院は病院全体がチーム医療という考え方で、挑戦をしてきました。救急においてはそれをさらに一歩進めて、地域住民や消防隊や近隣の医療機関とチームを組み、さらなる進化を遂げていきたいと考えます」。
 今までと状況は一変し、三次救急に充分対応できるだけの機能が整った海南病院。より広域での高度な救急・急性期医療の展開を見つめて、新たな進化への幕が上がった。


columnコラム

●海南病院では、「コンパクトで高機能、次世代型病院」というコンセプトを掲げ、平成22年度末から6カ年計画で大規模な施設整備を進めている。昨年は、内視鏡センター、日帰り手術センター、健康管理センター、管理部門などが入る管理棟が完成。それに続き、今年は救命救急センターなどが集まる第Ⅰ期診療棟が稼働し始めた。

●併せて、完全電子カルテ化、手術支援ロボット・ダヴィンチのほか、従来のCT装置に比べて短時間で質の高い検査が可能な「320列CT装置」3・0テスラのMRIなどの最新検査機器も導入されるなど、三次救急・高度急性期を担う基幹病院としての体制づくりが着実に進んでいる。

●設備が充実してもなお、海南病院の根底に存在するのは、職員一丸となって取り組む「心ある医療」の実践だ。今まで職員全員で共有し、受け継いできた「地域に貢献したいという高い志」が、今後も変わらず同院の救急の原動力となっていく。

 

backstage

バックステージ

●いずれの病院でも、救急は研修医にとって大きな活躍の場となる。いうまでもなく、後ろに上級医や指導医が付いた上ではあるが、迅速で的確な初期診断、治療を通して学ぶものはとても大きい。

●北米型ERでは、搬送された患者はいうまでもなく、自ら救急外来に訪れる患者を含め、救急専従医がまずはトリアージを行う。海南病院では搬送だけでも、これまで約5500件を受け入れてきたが、今後は8000件程まで受け入れ可能となる。同院の救急で学ぶ研修医にとって、得難い機会と環境が整ったといえよう。

●その救急において、今後はさらに高齢者の搬送件数増加が予測される。高齢者の場合、複合的な疾患を抱えるケースがある。そうしたときにも的確な初期診断ができる技術を、ここ海南の研修医はしっかりと学び取っていくことだろう。

 


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