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LINKED Vol.13:海南病院

2014年2月25日 火曜日
「患者に寄り添う心」。 伝承される 海南病院のDNA。     海南病院  <学びたい心>と<育てたい心>が出会ったとき、単に知識や技術の修得を越えた、海南病院ならではの医師像が育まれる。  海南病院は、海部医療圏の基幹病院である。平成25年には念願の救命救急センターの指定を受け、地域医療を支える病院として、これまでよりさらに充実した体制を組んでいる。その海南病院で展開される医師の臨床研修。有能な医学生を確保し、彼らが比較的自由に研修することができるよう配慮することで、研修医 [...]

LINKED Vol.13:海南病院


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病院を知ろう

「患者に寄り添う心」。 伝承される 海南病院のDNA。

 

 

海南病院


main <学びたい心>と<育てたい心>が出会ったとき、
単に知識や技術の修得を越えた、海南病院ならではの医師像が育まれる。

 海南病院は、海部医療圏の基幹病院である。平成25年には念願の救命救急センターの指定を受け、
地域医療を支える病院として、これまでよりさらに充実した体制を組んでいる。
その海南病院で展開される医師の臨床研修。有能な医学生を確保し、彼らが比較的自由に研修することができるよう配慮することで、研修医が主体となった教育を進めている。

 

 

篠島住民参加の「勉強会」。

篠島診療所1  愛知県知多半島の先端にある師崎港から海上4㎞に浮かぶ篠島。夏のある日、島の公民館で小さな勉強会が行われた。生徒は島に住む高齢者、先生は海南病院の初期臨床研修医である。勉強会の中心は、日々の健康や病気予防に役立つお話。先生は、白い大きな紙に文字を書き、絵を描き、楽しく解りやすく説明することに一所懸命であった。
 先生、いや、初期臨床研修医とは、医師免許取得者に義務づけられた2年間の臨床研修を受ける医師。海南病院で、基本的・総合的な診療能力の修得という、医師にとっては基盤づくりの重要な期間を過ごす。
 その臨床研修の2年目に実施されるのが、篠島診療所での1週間の研修だ。元々は、同じJA厚生連病院・知多厚生病院附属の診療所であるが、海南病院の臨床研修の場としても活用させてもらっているという。
 では、島民対象の勉強会、これも研修プログラムの一つなのだろうか。「そうではありません」と、海南病院の山本直人院長は語る。「あくまでも研修医が自主的に行ったものです。島の皆さんと接し、生活を知り、医療施設や設備が整っていなくても、医師としてできることを考えた結果の自発的な行動です。本当にうれしいですね」。
 勉強会開催の発想を探ると、海南病院が行う地域住民に向けた公開講座に行きつく。これは、急性期病院にできることは、高度な治療だけではない。地域住民にとって、医療や病院について知識を深めるとともに、安心して医療が受けられるようにと考え、日々の健康づくりや医療提供に対する情報発信を、常に行ってきたもの。そうした活動を見つめ、同院の<患者に寄り添う心>を感じ取った研修医にも、同院のDNAが刻まれ、その心が伝承されていたのだ。

 

 

 

学ぶ機会があふれている。

IMG_5208 場面を病院内に移そう。医学生の頃から糖尿病・内分泌内科を志望していたという、宮本麻衣子医師。
 初期臨床研修から数えると、平成26年4月からは5年目に入る後期臨床研修医である。同院を研修先に選んだ理由の一つが、学ぶ機会がたくさんありそうと感じたこと。「学生時代に、救急患者さんが多い病院は、いろいろな症例を診ることができる一方で、ひたすら患者さんに対応するだけになると聞いていました。でも当院は、救急患者さんが多くても、一つひとつの症例を振り返り、きちんと学び直す機会があります。毎朝7時半から開催される症例検討会もその一例。指導医の先生も上級の先生も、指導教育には熱心ですから。私も後輩にきちんと教えられるようになったとき、自分の成長を実感することができました」。
 「患者さん一人ひとりの社会背景をも見つめ、しっかりマネジメントできる。そうした研修プログラムに魅力を感じた」と言うのIMG_5117は、後期臨床研修を終えて、引き続き6年目を迎える曽根一輝医師だ。呼吸器内科の専門医をめざす彼に、初期臨床研修医の頃を振り返ってもらった。「海南病院は、三次救急、急性期はいうまでもなく、地域連携も含めれば幅広い領域をカバーしています。指導医の支えのもと、その全部を初期臨床研修の頃から、責任を持ってやらせていただける環境でしたね。逆にいえば、逃げることはできませんが、そのぶん自分が得られるものは非常に大きい。研修医として経験すべき疾患は、海南病院でほとんどが経験できました」。

 

 

 

医師としての人生を見つめる。

Plus顔写真 研修管理責任者・プログラム責任者を務める浅井俊亘医師(老年内科部長)は、海南病院に赴任して、12年になる。当時は新医師臨床研修制度の誕生前であったが、同院ではすでに研修医を大事にする空気があったという。
 「臨床研修制度が生まれたとき、すでに愛知県には名古屋大学関連病院において、スーパーローテート方式(※)という研修スタイルがありました。当院も専門医の促成栽培ではなく、基礎をしっかり持った医師を育てたいという考えが基本にあり、現在もその方式を守り続けています。加えて、海部医療圏は、都市部と農村部という生活背景が混在するエリアで構成されています。当院はその医療圏全体での中核となる医療機関ですから、特性が混在する地域で頻回に発症するすべての疾患を、診ることができます。つまり、研修医は、幅広い診療領域における、あらゆる種類の疾患を学ぶことが可能です」。
 さらに、同院は<いつも地域を見つめ、地域にないものを補完し、何があっても地域医療を守り抜く>という信念から、救命救急、急性期、そして、在宅医療から緩和ケアまでをカバーし、回復期や慢性期は、地域の医療機関と連携するなど、まさに包括的医療を展開する。そして、離島医療、木曽川河口周辺地域の医療を担う4病院と、合同で研修医研修を展開する木曽川メディカル・カンファレンスなどなど。学びの場は多種多様だ。
 中核病院でここまでステージが用意されているのも数は少ない。研修先としては恵まれた環境といえよう。「中核病院のなかで見る世界は、医療のなかの一部です。そこで、医療連携に基づく地域医療も学ばせたいと考え、こうしたプログラムを用意しています。ただ、今の人たちはドライですから。必ずしも全員が魅力と感じないかもしれません。しかし、医師は、年齢とともに考え方が変わります。そうした変化のなかで何かの大きな役に立つと考え、機会は提供しています」。浅井医師はこう語った。

※スーパーローテート方式とは、研修病院でさまざまな診療科を回り広く学ぶスタイル。

 

 

考え方は変えない。環境は変える。

IMG_5141基本的・総合的な診療能力の修得を目的とする初期臨床研修において、海南病院はまさに恰好の場だ。それは、毎年、2桁台の研修医が同院に入り、その8割から9割が後期もここで学ぶことからも証明されている。そうしたいわば<海南産>の医師たちが、今や、全医師のなかでも大きな比重を占めてきた。
 山本院長は語る。「研修医の存在は、当院にとって組織活性化の原動力となります。一つは指導医に与える影響と刺激。教えるためには、自らもしっかり勉強しなければいけませんからね。そしてもう一つは、チーム医療の架け橋。研修医はさまざまな診療科をローテーションし、医師だけではなく多職種とかかわりますが、当院のスタッフはいずれも研修医教育には熱心です。研修医はそこから得た学びを持って、チーム自体を繋いでくれます」。まさに<学びたい思い>と<育てたい思い>が一つのエネルギーとなり、病院を活性化させるということだ。
 最後に、同院の臨床研修の今後について院長に聞く。「医師として、<患者さんに寄り添う心>を、しっかりと自分のなかに築いてほしい。当院の臨床教育におけるこの基本的な考え方は、これからも変わることはありません。時代とともに医療の形がどのように変わろうとも、医師にとって不可欠な基盤だからです。但し、学ぶ環境は変えていきます。当院は平成22年から、<コンパクトで高機能、次世代型病院> をコンセプトに、大規模な施設整備を進めていますが、そのなかに教育研修棟もあります。シミュレーションセンター、カンファレンスルームなど、いろいろと計画中です。これは医師だけに限らず、すべての医療人を育てるためにも実現させていきます」。
 手術支援ロボット・ダ・ヴィンチ、320列CTをはじめ、最新の医療機器を導入するなど、患者へのより質の高い医療の提供に全力を注ぐ海南病院。患者に寄り添う心そのものが、次代の医師を大きく育てていく。

 


 

columnコラム

●近年では、初期研修プログラムの質的向上を目的に、NPO法人卒後臨床研修評価機構による第三者評価を受審する臨床研修病院が増えてきている。

●海南病院でも、いち早く評価を受審。結果は概ね好評で、2010年1月1日付けで愛知県下5番目の認定を受けた。自院の臨床研修の質への客観的評価を通して、地域住民が安心して受診できる病院、地域住民が求める良い医師を育てる病院であろうとする、同院の姿勢が浮かび上がる。

●その基本となる研修プログラムは、本文でも紹介したように多岐に亘る。自院の高度な急性期医療はいうまでもなく、地域連携を基にした包括的医療、離島医療、そして他病院との合同プログラム。そのいずれにおいても、患者の時間軸に沿って寄り添う医療のあり方を見つめるものであり、研修医にとっては、患者を全人的に見つめ、総合的な診療能力を修練することに繋がる。

●そうした医師教育を、同院は初期と後期を結んで取り組む。2年間だけではなく、その後の医師としての方向性を、研修医とともに設計し、強力に支援することが同院の教育のあり方である。

 

backstage

バックステージ

●医師にとって大切なものは、<患者に寄り添う心>だと山本院長は言い切る。

●ではそれは、具体的にどう身につけていくものだろうか。「患者のナラティブな部分、すなわち患者さんが語る自分自身の物語に、どこまでも真正面から向き合うことです。その気持ちを持ち続けないと、患者さんとの信頼関係はできません。急性期医療であっても、何であっても、そこが大切になります」(山本院長)。

●その言葉から考えると、医師としての基礎を作るとは、ナラティブの重要性を理解し、さらにそれを医学的にどう解決するか、その力を培うことかもしれない。

●海南病院の研修プログラムを見ると、今後の高齢社会で求められる地域医療にしっかりと対応している。そしてその底辺に医師としてのマインドがあれば、次世代の医療人として、地域においては大切な人財となろう。

 


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