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LINKED Vol.22:岐阜県立多治見病院


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病院を知ろう

地域のネットワーク力で
循環器疾患の
超急性期から慢性期までを
トータルに支えていく。

 

 

岐阜県立多治見病院


循環器疾患の東濃医療圏の最後の砦。
医療圏で唯一、突然死を防ぐペースメーカー植え込み術の施設認定。
3台目の血管撮影装置を導入し、
急性心臓・血管疾患に、24時間体制で対応する。

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循環器疾患は、血液を全身へ送る心臓と、血液の通り道である血管の病気である。
このうち、心臓の病気は命に関わる重篤なケースもあり、突然の胸痛で救急搬送される患者も多い。
東濃医療圏(多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市で構成されるエリア)の基幹病院である岐阜県立多治見病院では、循環器内科、心臓外科、血管外科から成る「循環器チーム」を結成し、地域の循環器疾患に24時間365日体制で対応している。

 

 

 

 

 

心臓・血管疾患の三次救急医療を守り抜く。

Plus顔写真 急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全など、心臓疾患は命に関わる深刻な病気が多い。なかでも患者数が多いのは、心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が突然詰まる急性心筋梗塞。この病気を発症したら、治療は一刻を争う。閉塞した冠動脈の血流を、いかに早く再開通させるかが救命の鍵を握る。
 そのような緊急事態に備え、岐阜県立多治見病院(以下、多治見病院)では、24時間365日体制で循環器内科の医師が待機。急性心筋梗塞に対しては、カテーテルと呼ばれる細い管を冠動脈まで挿入し、閉塞した部位を広げる冠動脈カテーテル治療を行っている。「緊急カテーテル治療は必ず3名の医師が行い、一人が術者、一人が助手、もう一人が不測の事態に備えます。心臓病の患者さんは呼吸困難やショック状態などを起こすリスクがあり、医師3名が揃わないと安心できません。当院の循環器内科は10名の医師が所属しており、夜間・休日を問わず、必要な医師がいつでも揃うマンパワーが強みです」。そう説明するのは、多治見病院・循環器内科部長の日比野 剛医師である。
 このほか、カテーテル治療を適応できない急性心筋梗塞や、大動脈の壁が内膜と外膜とに分離される急性大動脈解離、大動脈の壁がこぶ状になり、破裂の危険性の高い大動脈瘤など、緊急手術が必要な症例については、心臓外科医、血管外科医が迅速に対応する体制を完備している。「当院では循環器内科、心臓外科、血管外科が連携し、<循環器チーム>として活動しています。心肺停止で運ばれてきた患者さんに対しても、即座に経皮的心肺補助法(PCPS※)を行うなど、内科医・外科医がタッグを組んで救急医療に取り組んでいます。医師はもちろん、コメディカルスタッフも含め、<東濃地域の心臓・血管救急の最後の砦を担う>という高い志を持っています」と日比野部長は胸を張る。
※ PCPSとは、人工心肺装置を用いて静脈から血液を吸引して動脈に返すことにより生命を維持しつつ、心肺機能の改善を図る治療法。

 

 

多様な循環器疾患に対応し
最先端の治療を提供。

 414015 循環器疾患は、緊急症例だけにとどまらず多岐に及ぶ。そうした幅広い疾患にオールラウンドに応えられるのも、同院の循環器チームの特徴である。
 たとえば、心臓の血液を送り出すリズムに異常をきたす不整脈という病気。同院では、脈拍数が多くなる頻脈性不整脈に対しては、カテーテルを用いて心臓内部の原因部分を高周波電流で焼き切るアブレーション治療を積極的に行っている。また、不整脈のなかでもとくに危険性の高い心室頻拍(血液を送り出す心室で異常な電気刺激が発生し、脈拍が異常に早くなる状態)や、心室細動(心室が震えるように痙攣し、血液を送り出せなくなる状態)に対しては、突然死を予防するための植え込み型除細動器(ICD)による治療を行っている。これは、体内に埋め込んだICDが常に不整脈の発生を監視し、異常時には即座に電気刺激によって心臓の動きを正常に戻すもの。多治見病院は、東濃医療圏で唯一、ICDによる治療を行える施設基準を満たしている(平成28年4月現在)。
412244 心臓以外では、腹部や下肢などの血管病の症例も多い。たとえば、足の血管(下肢動脈)が詰まる下肢閉塞性動脈硬化症。進行すると、足の潰瘍や壊疽が起こる怖い病気だ。この疾患に対して、同院ではカテーテルを用いて血流を再開させる治療を積極的に行っている。とくに石灰化により硬化の進んだ下肢動脈に対しては、新しい治療機器<クロッサー(毎秒2万回の振動などにより石灰を除去する)>を地域に先駆けて導入し、有効な治療実績を重ねている。「循環器の治療法はまさに日進月歩です。最新の医療技術を取り入れ、地域の患者さんに最先端の治療法を提供するよう努めています」と日比野部長は話す。

 

 

再発率が高い循環器疾患は
退院後のフォローが必須。

412202 では、そもそも人はなぜ循環器疾患にかかるのだろうか。その最大の原因といわれるのが、動脈硬化(動脈にコレステロールや中性脂肪などがたまって、弾力性や柔軟性が失われた状態)である。そして、動脈硬化の危険因子が、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙習慣だ。そこで、同院では疾患の治療と同時に生活習慣改善のための指導にも力を入れている。病棟では、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などがチームを組み、入院患者に対し、再発防止のための生活指導や心臓リハビリテーションを行っている。さらに日比野部長は、「退院後の定期的なフォローも非常に重要」だと語る。「循環器疾患は、一度発症すると再発率が極めて高いことがわかっています。したがって、退院後も忘れずに定期的な検査を継続していかねばなりません」。
 しかし、同院がカバーする東濃医療圏は広域で、遠方に住む患者・家族にとって退院後の通院は負担も大きい。そこで同院が力を注ぐのが、地域の診療所との連携である。「かかりつけの先412236生と当院の医師を結ぶ病診連携システムとして、<多治見シャトル(詳しくはコラム参照)>を運用しています。また、循環器チームでは地域の診療所の先生方を招いて3カ月に一度、症例検討の勉強会を開催しています。診療所の先生方と顔の見える関係を築き、情報共有することで、循環器疾患の予防や再発防止に注力しています」(日比野部長)。

 

 

地域にネットワークを張り巡らせ、
患者をずっと支えていく。

412219 救命救急から慢性期のフォローまで、広い範囲にわたり医療の充実をめざす循環器チーム。今後の課題はどんなことだろうか。「地域連携のさらなる充実ですね」と日比野部長は即答する。「我々は、循環器においては、最先端の高度医療を提供できると自負しています。しかし、地域住民の方のなかには、県外の病院などを受診する方もおられ、非常に残念に思っています。特殊な疾患を除いては、多治見シャトルを有効活用しながら、地域の患者さんをこの地域で支えていくのが目標です」。
 さらにその先に、日比野部長は、病診連携から病病連携へと発展させていく構想を持つ。「これから高齢化が進むと、循環器疾患の患者さんもどんどん増えていきます。たくさんの患者さんに対応するため、医療圏内の病院とより緊密な連携を結んでいきたいと思います。たとえば、退院後の定期的な検査・診断については、二次救急を担う病院にお願いして、より専門的な治療が必要な患者さんを当院が引き受けるよう412211な仕組みを作っていけないかと考えています」。日比野部長が描くのは、地域の医療機関が設立母体の違いに関係なく協力関係を築き、さらに診療所と繋がることで、循環器の医療ネットワークを網の目のように張り巡らしていこうという構想だ。「万一、地域住民の方が循環器疾患を発症しても、この地域に住んでいて良かった、と思えるような盤石な体制を築いていきたいと思います」。日比野部長は基幹病院としての使命感を胸に、地域連携のさらなる発展をめざしていく。

 


 

columnコラム

●多治見病院の病診連携システム<多治見シャトル>。これは、患者が同院を退院する際、必ずかかりつけ医を持ってもらい、そのかかりつけ医と同院の医師が治療方針を共有し、退院後も 患者をフォローしていくシステムだ。

●患者は、普段はかかりつけ医のもとで薬の処方や生活指導を受ける。数カ月に一度、同院で定期検査を受ける時期が来ると、同院からかかりつけ医に<受診をお願いする案内>が送られる。「ついうっかり定期検査を忘れる心配がない」と、診療所や患者からも好評だという。

●「多治見シャトルは、かかりつけ医と当院の専門医の<二人主治医体制>だといえます。主治医同士が連携することにより、患者さんは不要な検査や薬の処方を受けることもありませんし、適切な治療を安心して受けていただけます」と、日比野部長はその有効性を高く評価している。

 

backstage

バックステージ

 

●多治見病院の循環器チームがめざすのは、東濃医療圏の病院・診療所が一つのネットワークを形成し、循環器疾患の発症予防から診断・治療、再発予防までをトータルに担い、地域の患者を継続して支えていこうというものである。患者の視点に立てば、これは<自分の病状をよく知る主治医が、地域内に複数いて、互いに連携し、退院後も再発しないよう見守り、万一のときは迅速に対応してくれる>システムである。再発率の高い心臓・血管の持病を抱えて生きていく患者にとって、これ以上心強いネットワークはないだろう。

●しかし、こうしたネットワークを最大限に活かすためには、生活者一人ひとりの意識改革が欠かせない。自らの住む地域の高度急性期病院が提供する医療を正しく理解すること。そして、地域のネットワークのなかで治療を受け続けていくこと。我々はこれらのことをもう一度、真剣に考えてみる必要があるのではないだろうか。

 


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