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LINKED Vol.15:中京病院

2014年7月29日 火曜日
main患者が幸せを取り戻すために。 中京病院が決断した、「急性期リハビリテーション」への挑戦。     中京病院 退院後の生活を見据えたとき、単に疾患を治すだけでいいのか――。高度な医療を提供するという急性期病院としての使命を全うしつつ、早期の社会復帰を促す、「急性期リハビリテーション」への果敢な挑戦。 平成26年4月から独立行政法人地域医療機能推進機構の病院として、新たなスタートを切った中京病院では、一部の急性期病棟への理学療法士の配置をスタートさせた。リハビリテーション科専門医 [...]

LINKED Vol.15:中京病院


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病院を知ろう

患者が幸せを取り戻すために。 中京病院が決断した、「急性期リハビリテーション」への挑戦。

 

 

中京病院


退院後の生活を見据えたとき、単に疾患を治すだけでいいのか――。
高度な医療を提供するという急性期病院としての使命を全うしつつ、
早期の社会復帰を促す、「急性期リハビリテーション」への果敢な挑戦。

main

平成26年4月から独立行政法人地域医療機能推進機構の病院として、新たなスタートを切った中京病院では、一部の急性期病棟への理学療法士の配置をスタートさせた。
リハビリテーション科専門医による指導の下で、積極的に行われる急性期リハビリテーション。
その取り組みの背景には、今後の地域医療を見据えた、同院の断固たる決意があった。

 

 

 

 

 

患者の意識がない状態から腕を動かす驚きのリハビリテーション。

 620152 ある日、中京病院を訪れてみると、理学療法士と一緒にリハビリテーション科専門医が足早に廊下を歩いていた。向かう先は、理学療法士や作業療法士などが集うリハビリテーションセンターではない。ICU(集中治療室)だ。入室した2人は、まだ意識のはっきりしない患者に声をかけながら、その腕を動かしていた――。
 ICU勤務の看護師は、「こんなに早くからリハビリテーションを始めるのかと最初は驚きました」と打ち明ける。「ただ、やるとやらないのとではその後のADL(日常生活動作)が全然違う。はっきりと差が現れますね」。
 生命の危険を脱した後、すぐに開始される早期のリハビリテーション。「急性期リハビリテーション」と呼ばれるこのリハビリテーションに同院で携わるのが、リハビリテーション科の戸田芙美医師だ。
 戸田医師は、全国的に見ても数少ないリハビリテーション科専門医だ。彼女がこの道を志したのは、医学部4年生のとき、脊髄損傷の治療を終えた患者が麻痺の残る状態で帰宅する姿を見て、「この状態でどうやって生活していくのか」と衝撃を受けたのがきっかけだ。大学卒業後、卒後教育として義務づけられた2年間の初期研修先には、当時から急性期リハビリテーションに力を入れていた藤田保健衛生大学病院を選択。国内のリハビリテーション医学を牽引する才藤栄一教授のもと、最先端の医学を学び、専門医となった。
平成26年4月から勤務する中京病院では、主治医に代わってリハビリテーションが必要となる患者をスクリーニングし、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーションスタッフらと一緒に早期からリハビリテーションを行う役目を担っている。

 

 

専門医の立場から早期のリハビリテーション介入を支援。

620015  今までの急性期病院では、「ベッドの上で患者を安静にさせておく」のが当たり前だった。だが、入院してベッドに横になっていると、1週間で約20%の筋力が低下。そのまま自立歩行ができなくなり、寝たきりになる可能性が高い。戸田医師も研修医時代、病気が治ったにもかかわらず、帰宅困難になった患者に何度も遭遇したという。こうした寝たきり状態に陥るのを未然に防いだ上で、ADLを向上させ、退院後の早期の社会復帰を促す。そのための最も良い方法の一つが急性期リハビリテーションだ。
 だが、長らく「安静にするのが当たり前」だったため、医療従事者の間にも、急性期リハビリテーションへの認識に大きな隔たりがあるのが実情だ。リハビリテーション専門医である戸田医師が赴任した最大の目的は、こ620090うした認識を変えることにある。
 急性期リハビリテーションは、病気や怪我が完全に回復する前からリハビリテーションを始めるため、患者への負担が大きい。また、リハビリテーションの開始時期を決める主治医も難しい判断を迫られることになる。そのため、「早期のリハビリテーションが良い」と経験則で理解している医師や看護師は多いものの、エビデンス(証拠・根拠)を認識していないこともあり、リハビリテーションを行わないことが多い。一方、リハビリテーションスタッフの側も、専門医がいないなかでの積極的なリハビリテーション介入は、躊躇してしまうことが少なくない。こうした双方の受け身の態勢を変え、エビデンスに基づく早期のリハビリテーションを主導し、さらには、急性期リハビリテーションへの院内全体の意識を高めることが、戸田医師に課せられた役目なのである。

 

 

病院は寝ている場所ではなく、「寝かさない場所」へ。

620018  「今や病院は安静に寝ている場所ではなく、寝かさない場所に変わってきています」。こう話すのは、藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座の加賀谷 斉准教授だ。リハビリテーションの分野には、「活動―機能―構造連関」という考え方がある。これは「生物の機能と構造は、その活動レベルに応じて調整される」という概念のこと。ベッドで横になる状態が続けば、ほとんど活動しないため、身体機能が寝たきりのレベルへと調整されていくというのだ。「入院時には食事を準備する必要もなく、一日中ベッドの上で過ごします。こうなると寝たきり状態へとまっしぐらです。だからこそ、入院患者をいかにベッドで寝かせておかないようにするかが大切なのです」。
 そこで導入が進んでいるのが、リハビリテーションスタッフの病棟配置だ。加賀谷准教授と中京病院による共同調査によれば、消化器内科において、リハビリテーションを行った患者の在院日数は配置前34日であったが、配置後22日までに大幅に短縮。早期介入することでADLの低下も防ぐことができた。このように病棟配置による急性期リハビリテーションは、めざましい成果を上げている。最近では、リハビリテーションと密接に関係してきた診療科以外でも、入院による活動機能の低下によって寝たきりになる患者を減らすため、リハビリテーションを行う場面が増えている。従来に比べ、リハビリテーションが必要とされる領域は、確実に広がってきているのだ。

 

 

消化器内科を選んだのは、リハビリテーションの重要性を病院全体に浸透させるため。

Plus顔写真  中京病院でも、平成26年4月から理学療法士の病棟配置が開始された。今回の診療報酬の改定において、初めて急性期病棟におけるリハビリテーション専門職の配置が評価されたが、点数自体はまだまだ低いものとなっている。では、それでも同院が配置に踏み切ったのはなぜか。そこには、絹川常郎院長の強い意思がある。すなわち、新たに独立行政法人地域医療機能推進機構の病院として生まれ変わり、地域のためにどうすべきかを考えたとき、「急性期リハビリテーションは重要な意味を持つ」と強く認識しているからだ。急性期リハビリテーションを通じて患者の社会復帰を促すことが、地域に貢献するための不可欠な手立てだと考えているのである。
 今回、理学療法士の病棟配置が行われたのは、消化器内科だ。通常、リハビリテーションと関わりが大きいのは、脳外科や整形外科である。しかし、あえて縁遠い診療科に理学療法士を配置したのは、実は「急性期リハビリテーションを、院内全体に根づかせたい」という絹川院長からの強烈なシグナルなのだ。
 患者の生活を守るためには、退院後に早く社会復帰できるようにすることと、「患者は寝かせておくもの」という医療従事者たちの意識を変えることが必要である。そこで専門医である戸田医師を招聘し、620100あえて消化器内科から病棟配置を行うことで、院内の大胆な意識改革を促した。「より地域に根ざした医療を追求する」という明確な意思のもとで行われた絹川院長の施策により、同院の医師や看護師の意識は、急性期リハビリテーションに積極的に取り組む方向へと着実に変わり始めている。
 急性期リハビリテーションを浸透させるために訪れた<伝道師>には、実はもう一つのミッションがある。それは、リハビリテーション医を増やすことだ。「患者さんが幸せな暮らしを取り戻せる社会を作るため、急性期リハビリテーションをもっと広げていきたい。だからこそ、たくさんの研修医が訪れる中京病院で、『リハビリテーション医をめざしたい』という医師を一人でも増やしたいんです」と戸田医師は笑顔を見せた。

 

 


 

column

コラム

●社会保険中京病院は、平成26年4月1日、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)中京病院へと名称を改めた。JCHOでは、医療・介護・福祉のスムーズな連携を目標に掲げているが、中京病院でも、今まで以上に患者の退院後を見据えた大胆な院内改革に乗り出している。

●社会保険中京病院の時代から、地域に根ざした医療を展開してきた同院だが、今後も増大していく高齢患者が行き場を失うことがないよう、今回紹介した急性期リハビリテーションの導入だけでなく、身体の状態から患者の社会生活までを含めて診療を行う「総合診療医」の育成にも力を注ぎ始めている。また、医師の総合的な視点を養うため、地域の病院や国立長寿医療研究センターへの研修医派遣の動きもあるという。同院は今後の医療を見据え、地域を守るための一歩をすでに踏み出し始めているのだ。

 

backstage

バックステージ

●国による地域包括ケアシステムの構築が進み、在宅医療が当たり前となるこれからの時代は、自立歩行ができるか、日常的な生活が送れるかなど、患者のADLの維持がより一層重要な意味を持つことになる。その点で、平成26年4月の診療報酬改定に伴い、急性期病棟におけるリハビリテーション専門職配置に加算がついたことは、点数が少なかったとはいえ、非常にエポックメイキングな出来事だった。

●今後は、自立歩行が困難な患者を作らないようにするため、従来からリハビリテーションを行ってきた診療科以外でも積極的にリハビリテーションを行う必要性が出てくるはずだ。退院後の患者が地域で自立して暮らせる社会を築くためには、今まで以上にリハビリテーションが大きな価値を持ってくる。今回、中京病院があえて消化器内科に専門職を常勤配置したことも、リハビリテーションの今後のあり方を象徴する動きだといえそうだ。

 


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