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LINKED Vol.15:岐阜県総合医療センター

2014年7月29日 火曜日
病院-岐阜医療0725-1心臓弁膜症患者を救え。ハートチームが取り組む、最新鋭のカテーテル治療。   岐阜県総合医療センター 岐阜県初、東海エリア2番目の導入。経カテーテル大動脈弁留置術<TAVI>で、高齢の心臓弁膜症患者の命を救う。 岐阜県の基幹病院として、地域医療をリードする岐阜県総合医療センター。高度で先進的な医療を提供するために、5つの重点医療を定め、センター化を推進している。その一つ、心臓血管センターで、岐阜県で初めて、東海地区でも2番目という経カテーテル大動脈弁留置術<TAVI>(Transcath [...]

LINKED Vol.15:岐阜県総合医療センター


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病院を知ろう

心臓弁膜症患者を救え。
ハートチームが取り組む、
最新鋭のカテーテル治療。

 

岐阜県総合医療センター


岐阜県初、東海エリア2番目の導入。
経カテーテル大動脈弁留置術<TAVI>で、
高齢の心臓弁膜症患者の命を救う。

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岐阜県の基幹病院として、地域医療をリードする岐阜県総合医療センター。
高度で先進的な医療を提供するために、5つの重点医療を定め、センター化を推進している。
その一つ、心臓血管センターで、岐阜県で初めて、東海地区でも2番目という経カテーテル大動脈弁留置術<TAVI>(Transcatheter Aortic Valve Implantation)が始まった。

 

 

 

 

 

 大動脈弁置換術<TAVI>の1例目は80歳女性患者。

 DSC00281平成26年5月14日、岐阜県総合医療センターで、大動脈弁狭窄症の新しい治療法である経カテーテル大動脈弁留置術<TAVI>が実施された。患者は80歳女性、麻酔から覚めると、晴れ晴れとした表情を見せ、「胸の重しが取れたようにすっきりした」と微笑んだ。その後の経過は順調で、わずか5日目に退院。現在も元気に生活しているという。
 大動脈弁狭窄症は、心臓弁膜症の一つ。大動脈弁が加齢で硬くなり、充分開かないため、必要な血液が大動脈に流れなくなる病気だ。軽症のうちは自覚症状もなく経過するが、重症になると突然死に至る可能性もあり、日本では50〜100万人の潜在患者がいるといわれている。以前の治療法は開胸して、いったん心臓を止め、人工弁を縫いつける外科的手術が主流だった。しかし、それでは身体への負担が大きく、高齢で合併症を多く持つ患者などは手術を断念せざるを得なかった。
 TAVIは開胸手術を行わず、細い管状のカテーテルを用いて行う低侵襲治療(ていしんしゅうちりょう:身体にできるだけ傷をつけずに行う内視鏡やカテーテル治療のこと)である。カテーテルの挿入場所は、太ももの付け根と心臓の先の2種類があり、同院では前者のアプローチ方法をとる。簡単に説明すると、カテーテルの先に牛の心臓の膜で作った人工弁をつけ、太ももの付け根から血管にカテーテルを挿入。大動脈をたどって心臓まで到達し、人工弁を取りつける。手術時間は約2時間で、開胸手術の半分程度で終了する。

 

 

いち早くTAVIを導入する準備を進めてきた。

Plus顔写真1 TAVIは平成14年にフランスで生まれた治療法で、まずはヨーロッパで行われるようになり、やがてアメリカでも普及していった。日本においては、平成25年10月、健康保険の適用になった。「当院では平成21年頃から、いずれ保険適用になることを見越して、導入の準備に入りました」と語るのは、同院の後藤芳章医師(循環器内科)である。
 導入にあたっては、関連学会協議会の施設認定が必要となる。施設基準をクリアするポイントは、チーム医療体制とハイブリッド手術室の完備だった。同院ではすでに心臓血管センターを開設し、外科・内科の垣根を超えて議論し、多職種が協力して治療にあたるハートチーム(詳しくはコラム参照)が稼働していた。もう一方のハイブリッド手術室については「当院が推進する高度先進医療の一環として、県補助金等の支援を受け、整備することができました」(後藤)という。ハイブリッド手術室とは、手術台と血管撮影装置を組み合わせた手術室で、カテーテルIMG_1955治療と、開胸・開腹手術を同じ部屋で実施できる。カテーテル治療で限界があった場合、即座に外科的手術に移行できると同時に、内科医と外科医がそれぞれの得意分野を活かして手術できるメリットがある。
 同院はソフト・ハードのすべての条件を揃え、平成26年3月に施設認可を得て、5月に1例目の手術を実施したのである。その後3カ月で、すでにTAVI治療実績は7例。いずれも良好な治療効果を得ている。

 

 

35歳の若手ホープにTAVI治療を委ねた理由とは。

IMG_1905IMG_2593 TAVI治療を担当する後藤は、実はまだ入職10年目、35歳の若手医師である。同院で後期臨床研修を受けているとき、同院の留学制度を利用して、心臓カテーテル治療で名高い小倉記念病院(福岡県北九州市)に1年間留学。そこで、当時、「心臓カテーテルの祖」といわれていた名医の手ほどきを得て、「一般の病院で5年かかる経験を1年間で体得できた」というほど、ノウハウに磨きをかけた。
 先進のカテーテル技術をマスターして同院に戻った後藤を待っていたのは、「ステントグラフトという新治療を導入したいので、やってほしい」という心臓血管センター長の森 義雄(心臓血管外科部長兼任)からの指名だった。ステントグラフト内挿術は、カテーテルを用いて大動脈瘤(※)の部分に人工血管を留置するもの。身体に負担の少ない治療で、大動脈瘤の破裂を防ぐ効果がある。後藤は専門的な研修を受けた後、ステントグラフト実施基準管理委員会より「実施医」の認定を受け、これまで豊富な症例を手がけてきた。ステントグラフトに用いるカテーテルの径は、TAVIと同じく、8ミリほどで、一般の心臓カテーテルの径(1.5~2ミリ)よりはるかに太い。この太いカテーテルを安全に操る技術を備えた後藤は、自然な流れでTAVIの治療医に抜擢されたのである。
 一般に、新しい治療法を病院に導入する場合、部長クラスの医師がまずは治療法をマスターするものだが、同院で選ばれたのは、まだ医長にも昇格していない若手医師。しかも、心臓血管外科部長でもあるセンター長が、直接、循環器内科医に声をかけるのは異例のことにも思われる。「たまたまタイミングが合ったから、というのが一番の理由だと思います。ただ、当院には伝統的に若手にチャンスを与えて、上司がバックアップする風土がありますね。また、ハートチームは外科と内科が本当に近しい間柄なので、センター長からの声かけはごく自然なことでした」と後藤はにこやかに語る。
 心臓血管センターを訪ねると、医師たちの明るい活気がみなぎっている。後藤の活躍を間近に見て、「いずれ自分も」と向上心に燃える若手医師も多く、現在、後藤と同じ留学制度を利用し、国内外の施設で腕を磨いている医師も数名いる。そんな明るくポジティブな風土が、TAVI導入のバックボーンにある。

※ 大動脈瘤とは、血液を全身に運ぶ大動脈が、加齢などによって、徐々にこぶ状に膨らむ病気

 

 

岐阜県、ひいては東海地区の医療をリードしていく気概。

 最後に、後藤に今後の抱負を聞いた。「これからも現状に満足することなく、世界で行われている最新治療を真っ先に取り入れていきたいですね。やはり東京や大阪に比べると、岐阜県の循環器医療は、残念ながら遅れているところもあります。当院が先頭に立って、岐阜県、ひいては東海エリアの循環器医療の質を高めていきたいと思います」。
 岐阜県で生まれ育った後藤は、ことのほか岐阜県への思い入れが深いのかもしIMG_2062れない。「いや、僕だけでなく、ハートチームのメンバーは<岐阜県民のために貢献したい>という思いがすごく強くて、みんな地域の循環器医療を良くしていこうと燃えています」と後藤は言う。すでに、TAVIに続く新たなテーマもある。「心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁(そうぼうべん)に対する新しいカテーテル治療が海外で始まっています。この治療法も、僕たちハートチームでいずれ取り組んでいくことになると思います」と後藤は意欲を見せる。
 同院では、今回紹介した心臓血管センターをはじめ、救命救急医療、母とこども医療、がん医療、女性医療の各分野において、センター化を進め、医療の専門性を追求している。それぞれの重点医療分野で、高度で先進的な医療を提供することで、岐阜県民に評価され、必要とされる病院づくりを進めている。

 

 


 

column

コラム

●「僕はTAVIの治療医だが、僕一人では絶対できない」と後藤医師が語るように、同院の高度な循環器医療のベースには、深い連帯感で結ばれたハートチームの存在がある。TAVIのように、ハイブリッド手術室で行われる治療には、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、エコー検査技師、放射線技師、臨床工学技士、看護師など、さまざまな専門家が集結。一人の患者のために、それぞれが卓越した技量を持ち寄り、高いパフォーマンスを発揮する。

●ハートチームという言葉はもともと、欧州心臓学会などで提唱された。内科・外科・コメディカルによるチーム医療の必要性を提言したもので、日本においても急速に広まっている。ハートチームは医師を頂点とするピラミッド型の組織ではなく、相互の信頼関係に基づくフラットな組織である。談論風発、切磋琢磨し合う環境が、同院の医療の質を向上させている。

 

backstage

バックステージ

●最先端の医療を導入し、広めていくのは大学病院の役割。一般にはそういうイメージが定着しているが、今回の取材を通じて、あながちそうではないことを強く感じた。岐阜県総合医療センターでは、先進医療の推進を大学病院に任せることなく、自らの力で常にアンテナを張り巡らせ、ソフト・ハードの両面で環境を整え、世界水準の医療を地域住民にいち早く提供しようと努めている。

●同院では早くから、医師の国内留学、海外留学制度を導入。積極的に、若手医師を著名な医療機関に派遣してきたが、その目的も、単なる人材教育ではない。個々の医師が長期研修を通じて得た知識や技術を、病院全体の貴重な資産として活用し、その成果を地域住民に還元しているのだ。その最たる例が、今回取りあげたTAVIであろう。「岐阜県民のために」という思いを共有して、高度医療をめざす同院の活躍に、これからも注目していきたい。

 


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