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LINKED Vol.15:知多厚生病院

2014年7月29日 火曜日
main総合性を持つ専門医。その原形。   知多厚生病院 社会、地域と一緒になって、病院がある。一人ひとりの患者に、一つひとつの治療に、どれだけ真摯に向き合うか。その実践の積み重ねこそ、すべて。 JA愛知厚生連の知多厚生病院は、知多半島医療圏の一番南のエリアにある。医療資源の少ないこの地域で活躍する、一人の脳神経外科医。その考え、姿勢は、若き医師たちに、「医師とはどうあるべきか」を問いかけるとともに、超高齢社会における医療のあり方にも、一つの方向性を示している。     & [...]

LINKED Vol.15:知多厚生病院


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病院を知ろう

総合性を持つ専門医。
その原形。

 

知多厚生病院


社会、地域と一緒になって、病院がある。
一人ひとりの患者に、一つひとつの治療に、どれだけ真摯に向き合うか。
その実践の積み重ねこそ、すべて。

main

JA愛知厚生連の知多厚生病院は、知多半島医療圏の一番南のエリアにある。
医療資源の少ないこの地域で活躍する、一人の脳神経外科医。
その考え、姿勢は、若き医師たちに、「医師とはどうあるべきか」を問いかけるとともに、超高齢社会における医療のあり方にも、一つの方向性を示している。

 

 

 

 

 

 先進の専門性を追求する。

 Plus顔写真 知多厚生病院 副院長 水野志朗医師は、脳神経外科医である。平成6年、同院に赴任。「脳神経外科」「脳卒中」、そして、「脳神経血管内治療」の専門医認定を持つ。このなかで脳神経血管内治療の専門医認定は、この病院に来てから取得した。
 血管内治療は、まだ新しい医療技術である。脳の病気に対して、開頭手術ではなく、足の付根の血管からカテーテルという細い管を入れて脳に到達させ、頭頸部の細くなった血管を広げる、出血を防ぐために血管を詰める、といった治療を行う。病変部位を肉眼で見るのではなく、画像診断モニターをチェックしながら、指先の微妙な感覚で行うため、医師には、高度な専門知識と熟練した技術力が必要であり、専門医は、全国に839名(平成26年4月1日現在)しかいない。
623200 水野は言う。「局所麻酔でも可能で、開頭手術では困難な脳の中心部位の治療もできるなど、患者さんにとって極めてメリットが大きい治療法です。これを何とか当院に導入しようと、16年か17年程前、当院の中塚雅雄医師とペアを組み、勉強や研究を進めたのです。学んだノウハウを治療に活かしつつ、中塚医師がまず先に、それを追う形で私も専門医を取りました」。
 水野の専門医番号は309。つまり16〜17年前、309名のうち2名が、知多郡美浜町・南知多町の医療圏に存在した。まさに脳神経血管内治療の最先進地域である。「都会と比べると人口自体が少ないですから、症例数が多いとは言えません。しかし、高齢者が多いこの地域では、発症率は高い。脳神経外科医として、何とか取り入れたいと考えました」と水野は言う。
 <医療資源が少ない>知多半島医療圏、その一番南のエリアにある知多厚生病院。ここには専門性への高い志を持つ医師がいる。

 

 

総合的に一定の診断力を有する。

100_ChitaKosei_Linked2014 同院の救急体制は、当直制である。水野は赴任以来、副院長である現在もなお、救急の当直を行う。その際には、脳神経外科だけではなく、全科を診るという。「当院は医師数が少ないため、複数の当直を置くことができません。オンコール体制を採っていますが、まずは一人で診ます」。
 自分の専門領域以外を診ることに、負担はないのだろうか。「私が若いころは、自分の専門に関係なく、すべて診ることは当たり前でした。もちろん、上級医を呼び出せばすぐに駆けつける。その上級医の診断を見て、自分の診立てが正しかったか、学びながら診断技法を身につけました」。実践の場で自己研鑚を積み、いわば医師としての幹を自ら逞しくしたのだ。
 「残念なのは…」と、水野は言葉を続ける。
623148 「20年程前から、社会一般で医療事故の問題が大きく取り沙汰され、医療訴訟も増加しました。それによって、医師たちは自分の専門以外の患者さんを診療することに、大きなリスクを抱くようになったのです。専門医がいないという理由で、救急搬送を断る例が全国で見られました。しかし、患者さんが目の前にいるのです。医師であるなら診るのは当然だと私は思う。診て、緊急処置が必要ならば最優先でそれを行い、どのような疾患なのかを判断する。そして、その疾患の治療にふさわしい専門医に繋ぐ。つまり、専門外の治療を行うのではなく、専門治療への筋道をつけるということです。専門外に扉を閉めるのではなく、総合的に一定の診断力を身につける。医師には、そうした考え方が求められるのではないでしょうか」。
 専門性を極めながらも、一方で、医師には総合的な能力が必要と考え実践してきた。そうした自分たちを、水野は第一世代と言う。専門外に手を出さなくなったのは、第二世代。そして今、第三世代が生まれつつあるという。

 

 

急性期のあり方は一つではない。

623068 「急性期」という医療領域がある。病気を発症して間もなく、緊急・重症な状態にある患者に対して、救命や、急激な病気の進行を防ぐために、手術などの治療を必要とする時期を指す。担うのは、臓器別に細分化した診療領域ごとの専門医たちだ。
 その急性期を、高度急性期と 一般急性期に分けるという動きが、国によって示された。生死をさまよう患者に、極めて高い水準で専門特化し、より短期集中的に治療を施すのが高度急性期。それよりもやや緊急度が緩やかで、その分、頻回に発症する病気全般に対応するのが一般急性期である(急性期経過後に続き入院管理を行う亜急性期を含む)。前者は高度急性期病院(三次救命救急を担う)であり、広域から患者は集まる。後者は、地元の患者が中心の一般急性期病院(二次救急を担う)だ。
623137 こうして見ると、高度急性期と 一般急性期では、急性期のあり方は必ずしも一致しない。高度急性期では、確かに専門特化した医師が必要といえよう。だが、一般急性期ではどうだろうか。専門性を持つ一方で、救急などでは総合的に幅広く緊急処置ができ、専門医に繋ぐ。そうした医師が多くいることが、地域住民には安心ではないだろうか。
 平成16年、厚生労働省は医師の新臨床研修制度を設けた。医学部を卒業し医師免許を取得した医師に、2年以上、臨床研修指定病院でさまざまな診療科、地域での臨床研修を受け、総合的・基礎的な診療能力の修得を義務づけたものだ。医師があまりに専門に偏ったことへの対応といえよう。水野が言う第三世代が、この新臨床研修を受けた医師たちである。

 

 

地域での流動性が医師を育てる。

113_ChitaKosei_Linked2014 「第三世代の医師には、臨床研修で学んだ総合的・基礎的な診療能力を失わないでほしい」。そう語るのは、知多厚生病院の院長 宮本忠壽医師である。「研修を終えると、医師たちは早い段階で自らの専門領域を選び、その道を邁進します。もちろん、専門性を追求するのは良いことです。しかし、超高齢社会で求められるのは、キュア(根治的治療)中心ではなく、ケア(生活の質を高めるための全人的な医療)中心の医療。そこでは疾患臓器だけではなく、患者さんの家庭環境や病気に至る背景、治療後の生活環境などを見つめた医療、それを実践できる医師が重要になります」。
623215 では医師たちが、専門の一方で総合的・基礎的な診療能力を持ち続けるには、どうすればよいのか。「例えば知多半島医療圏でいうと、高度急性期の半田市立半田病院と、一般急性期の当院が連携し、若手医師は一定期間、もう一方の病院に勤務する。つまり、双方での定期的な研修機会を設けることができれば、それが可能になるのではと考えます」と院長は言う。なるほど、地域における医師の流動性を確保すれば、幅広い診療能力を担保することができる。
 最後に院長はこう語った。「水野副院長は、長い間、自治体病院に勤務し、常に地域と、そこで暮らす住民とともにあり、社会、地域で求められる医療を実践してきました。と同時に、自らの専門性を高め続けてきた。現在、臨床研修指定病院である当院では、指導医として若い医師たちを育てています。その若い医師たちは、彼を慕い、その後ろ姿から少しでも多くを学ぼうとしている。水野副院長の医師としての姿勢そのものが、当院には大きな財産ですね」。

 

 


 

column

コラム

●知多厚生病院は、知多半島医療圏の一番南のエリアに位置する二次救急であり、頻回に発症する病気に対応する急性期機能を有する中規模病院である。本文で紹介した水野副院長率いる脳神経外科をはじめ、一部の診療科では、高度急性期にも匹敵する診療能力を有する一方、離島である篠島には、附属の診療所をも持つ。

●その同院で、平成26年6月、回復期リハビリテーション病床がスタートした。従来の一般病床(急性期病床)と療養病床、その狭間を埋める回復期リハビリテーション病床が整ったことになる。

●宮本院長は言う。「医療資源が限られているこの地域では、単に急性期医療だけ提供すればよいわけではありません。患者の回復の時間に沿って、長い視線で医療を提供することが大切と考え、いわゆるケアミックスの形を採り、質を担保した継続ケアの視点で地域を見つめたいと考えます」。

 

backstage

バックステージ

●団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年問題が取りざたされている。だが、地域によっては、すでにピークを超えたところがあり、知多半島もその一つ。ここでは、一般的にいう地域包括ケアの医療モデルよりも、もっと複雑な提供体制が求められる。簡単にいえば、一つの病院が全部行わなくてはならない。

●そこにおいては、本文で紹介した水野志朗医師のように、総合性を持つ専門医が必要であり、さらには、看護師をはじめコメディカル全員の力を結集させる必要がある。都市部にある専門医中心の病院では対応できないからだ。

●そうした実態を見つめ、知多厚生病院ではすでに地域への対応に向けスタートを切り、医療従事者の姿勢、病床のあり方にも一つの方向性を見せている。

●その姿は、同じ状況にある地域にとって、貴重な医療モデルになるといえよう。

 


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