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LINKED vol.16 タイアップ

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LINKED Vol.16:名古屋市立大学病院

2015年1月30日 金曜日
main<看護>に見る名市大病院に貫かれる精神。 佐橋朋代(がん看護専門看護師)・村田有希(緩和ケア認定看護師)/名古屋市立大学病院   高度先進医療を追求する特定機能病院として、また、名古屋都市圏の中核医療機関として、日々、地域医療に貢献する、名古屋市立大学病院(以下、名市大病院)。診療科は26科目、病床数は808床、看護師の人数は800名を超える。大学病院の高度医療を支え、患者第一の看護を提供する看護師たちの活動を通じて見えてきたもの。それは歴史のなかで貫かれてきた名市大病院の精神だった。 [...]

LINKED Vol.16:名古屋市立大学病院


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シアワセをつなぐ仕事

<看護>に見る
名市大病院に貫かれる精神。

佐橋朋代(がん看護専門看護師)・村田有希(緩和ケア認定看護師)/名古屋市立大学病院


 

main

高度先進医療を追求する特定機能病院として、また、名古屋都市圏の中核医療機関として、日々、地域医療に貢献する、名古屋市立大学病院(以下、名市大病院)。
診療科は26科目、病床数は808床、看護師の人数は800名を超える。
大学病院の高度医療を支え、患者第一の看護を提供する看護師たちの活動を通じて見えてきたもの。
それは歴史のなかで貫かれてきた名市大病院の精神だった。

 

 

 


市民生活に寄り添う大学病院として
キュアとケアを高次元で統合し、
患者にとって最善の医療・看護を提供する。


 

 

 

高度医療を提供する大学病院にあって、
患者本位の看護を貫く。

  今や国民病ともいわれるがん疾患。その対応として、がん医療の均てん化を進める国の制度における、地域がん診療連携拠点病院の使命を果たすべく、名市大病院では平成24年、がん診断と治療のための最新鋭の機器を整えた「喜谷記念がん治療センター」を開設。手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせた、高度で先進的ながん医療を推進するとともに、がんの臨床試験を積極的に推進し、新しい治療法の確立に挑んでいる。
 Plus顔写真2今回の主役は、そのがん医療の最前線で活動する、がん看護専門看護師の佐橋朋代看護師長と、緩和ケア認定看護師の村田有希看護主任である。そのうちの一人、佐橋は病棟の看護師長を兼任しつつ、がん患者と家族を支え、病院全体のがん看護の質的向上をめざすリーダー的存在だ。佐橋は、がん医療における看護師の役割は「多様な専門医療機能を患者さんのもとに繋ぐこと」だと話す。「当院は大学病院ならではの先進医療も多く展開しており、内科系・外科系診療科、放射線科、緩和ケアなど、さまざまな領域の専門医・指導医が、一人の患者さんに関わります。その過程で、患者さんが戸惑うことがないように、常に患者さんを中心にして、必要な医療機能をコーディネートするのが私たちの役割です。そして、その役割をがん看護のスペシャリストだけでなく、現場の一人ひとりの看護師が提供できるよう、看護師教育や指導に力を入れています」。
 Plus顔写真3もう一人の村田は、緩和ケア部のメンバーとして 、身体が痛い、息苦しい、だるい、吐き気が続くなど、さまざまな苦痛症状を訴える患者を支えている。村田が今、課題として取り組んでいるのは、がん治療の選択肢が増えるなかで、「患者さんの意思決定を支援すること」だと言う。たとえば、抗がん剤治療を受けるか受けないか、移植手術を受けるべきか、治験に参加すべきか、入院か通院か、延命治療を行うか否か…。がんと闘う過程で患者はさまざまな決断を求められる。「医師は常にベストな治療法を提案しますが、それを患者さんが望まないこともあります。最先端の治療よりも、自宅で安楽に過ごしたいという選択も尊重し、その希望を叶えるために在宅の医療チームとの連携も深めています」と村田は言う。佐橋、村田に共通するのは、最先端の高度医療を提供する大学病院にあって、治療だけを優先せずに、どこまでも患者本位の姿勢を貫く目線である。

 

 

「患者のために」という思いを
医師と看護師が共有する。

115_shidai_2014 そもそも看護師の役割は、法律において「診療の補助」と「療養上の世話」と定義されている。その定義について、二人はどのような認識を持っているのだろうか。「まさに、その二つが看護師の役割です。ただ、診療の補助というと、医師の手伝いと勘違いされがちですが、補助の対象者はあくまでも患者さんです」と佐橋は言う。「がんを告知された患者さんは、誰もが衝撃を受けられます。診療では、その不安や恐怖の気持ちに寄り添い、医師の説明を補足するなどして、患者さんを支えています」。医師たちもまた、そうした看護師の役割をよく理解しているという。「当院の医師の方は皆、患者さん目線で物事を考えるスタンスで接してくださいます」と佐橋はほほえむ。医師も看護師も、患者第一の精神を共有しているのである。
130_shidai_2014 一方の「療養上の世話」については、村田がこう説明する。「病棟では、患者さんが退院後、どんな環境で過ごすのかを把握した上で、できるだけ自立して生活の場に戻れるように、患者さんが持っている力を引き出すことを心がけています」。最初の診察から退院に至るまで、常に看護師の目線は患者の気持ち、そして患者の生活に注がれている。また、地域の病院や訪問看護ステーション、薬局などとカンファレンスや合同勉強会を開催し、顔の見える関係づくりに努めている。高度医療を提供する大学病院にあって、「決して患者さんを、地域や生活から切り離さないことが大事」だと佐橋は強調する。

 

 

市民病院と女子高等医学専門学校
という希有なルーツ。

 常に患者の生活を考え、そこから看護を展開する二人。その姿勢は、社会のニーズであると同時に、同院の成り立ちに起因するところが大きい。
 同院は昭和6年、「名古屋市民病院」として、附属看護婦養成所(現在の看護学部)とともに開設。その後、多くの変遷を経て、昭和25年に名市大病院となった。また、基盤となる名古屋市立大学医学部も、第二次世界大戦中の昭和18年、男性人口が減少するなかで地域医療の担い手を育てるために、全国初の公立の「女子高等医学専門学校」として発足した経緯を持つ。「市民のための病院」「生活の主体である女性の医師を育てる機関」——この二つをルーツとする同院は、一般の大学病院とは一線を画した特徴を持つ。それは、すなわち、臨床・研究・教育といった大学病院の使命の根底に、「市民の生活」を据えていること。生活への目線をベースに、最先端の高度医療を追求しているのである。
108_shidai_2014 超高齢時代を迎えた今、医療の力点はキュア(根治的治療)から、ケア(生活の質を高めるための全人的な医療)へと変わりつつある。その動きは、同院がこれまで変わることなく実践してきた市民生活に寄り添う医療と合致するもの。同院が取り組んできた医療のあり方を、時代が、社会が、今まさに求めているといえるだろう。

 

 

時代の変化をとらえ、継承されてきた精神を
さらに先鋭化させる。

Plus顔写真1 今年、同院の看護部基本方針が大幅に改定された。その狙いについて、平岡 翠副病院長(看護部長兼務)は「基本方針は私たちが行動する根幹を成すものですが、社会が急激に変化していくときに、看護は従来と同じでいいのか、と考え、思いきって再構築しました」と語る。改定にあたっては、看護師長以上が集まり、何度も議論を重ねた。一語一句の表現をめぐって、侃々諤々(かんかんがくがく)と意見を戦わせることもあったという。たとえば、基本方針の一つ目では、「患者の立場に立ち…」という表現が「患者にとって最善をめざす…」へ変わった。会議に参加したメンバーの一人、佐橋は、<最善>という言葉に思いを込めたという。「治療を選択する・しないも含めて、医学的な最善ではなく、患者さんの意向に添った最善を大事にしたかったんです」。その言葉にうなずき、平岡副病院長はこう続ける。「一言で言えば、<社会>や<地域>を強く意識しました。患者さんがどこから来院され、どこに戻っていかれるのか。それを理解した上で当院の看護職としてどうあるべきか、を徹底的に議論しました」。
 こうして生まれた新・基本方針は、こ方針れまで連綿と受け継がれてきた同院の看護の精神を、これからの時代に向けてより解りやすく、組織の求心力となる<言葉>に先鋭化させたものである。同時にそれは、病院全体の精神や風土を可視化しているともいえるだろう。<市民生活への目線> を貫く希有な大学病院として、名市大病院はこれからも地域医療のなかで確固たる存在感を示し、その使命を果たしていこうとしている。


 

 

columnコラム

●名市大病院の看護部では、地域に目を向け、在宅での看護を支援する取り組みを進めている。その一つが、「エンド・オブ・ライフケア研修会」だ。エンド・オブ・ライフケアとは、病いや老いなどにより、人生を終える時期に必要なケアのことで、超高齢多死社会を迎え、その重要性が注目されている。同院では、日本緩和医療学会で専門教育を受けた看護師がトレーナーとなり、地域の訪問看護師や介護士たちを招いて、これからの終末期ケアについて、ともに学びを深めている。

●このエンド・オブ・ライフケア研修会をはじめとして、同院の看護部は今後さらに看看連携(看護師同士の連携)に力を注ぐ計画を持つ。「看護職が軸となって、病院と生活を結び、地域の患者さんを支えていきたい」というのが平岡副病院長の考え。病院のリソース(医療資源)を積極的に地域へ提供し、地域医療への貢献をめざしている。

 

backstage

バックステージ

●看護師教育においてよく指摘されるのが、養成学校や大学で学ぶ「基礎教育」と臨床現場での「継続教育」の間にギャップがあることだ。基礎教育を担う者は臨床現場の実態には疎く、臨床で継続教育を担う者は基礎教育の内容に疎い状態で、教育が行われているという。その課題は、大学として看護学部を併設する名市大病院も例外ではない。

●現在、同院はその解決を模索している段階だが、打開策の一つとして平岡副病院長は「実践・教育・研究の統合(ユニフィケーション)」を提案する。大学の教授陣と病院の教育担当者が一定期間、立場を入れ換え、双方の実態を理解するようなシステムを作ろうという提案である。もしそれが実現すれば、基礎教育と継続教育の距離を縮め、卒前と卒後を繋ぐ理想的な看護師教育体系づくりに向けて、新たな一歩を踏み出せるのではないだろうか。

 

 


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