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LINKED Vol.24:海南病院


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患者さんが後悔しない
化学療法を実現したい。

 

 

高祖雄樹(がん化学療法看護認定看護師)/海南病院 6C病棟(神経内科、血液内科、耳鼻いんこう科、口腔外科)


がん患者さんが、
納得した治療方法を選び、
それを継続できるように。

mainがん化学療法看護認定看護師とは、
がん化学療法に特化した知識と技術を持ち、安全な投与管理、副作用症状の管理などを担うスペシャリスト。
高祖雄樹看護師は、平成28年6月、この認定資格を取得した。
彼はなぜ資格を取ろうと思ったのか、そして、何を行おうとしているのか。
海南病院一筋、来年で10年目を迎える彼を追った。

 

 

 

 

 

化学療法の副作用で苦しむ患者を目の当たりにして、
がん化学療法看護認定看護師の取得を志す。

 1017海南病院¥IMG_4268「足がしびれてトイレに行くのが辛くて…」。ある高齢患者の言葉に、高祖雄樹看護師は丁寧に答える。「今のお薬を飲みだして3週間。その副作用だと思います。◯◯さんは独り暮らしでしたね…。もともと膝も悪いですし、一時、薬の量を減らせないか、先生に聞きましょう」。それを聞いた患者は、安堵の表情を浮かべた。
 高祖の所属する6C病棟は、がん治療のために化学療法を行う患者がほとんど。高祖はそこで、がん化学療法看護認定看護師として、患者が自分の意思・判断で治療方法を選び、そして、選んだ治療を続けられるようサポートし、患者のQOL(生活の質)とADL(日常生活動作)を重視したケアを実践している。「患者さんの言葉に耳を傾け、患者さんがどういう方で、何を望んでいるかを知ることが大切です。その上で、エビデンス(科学的根拠)に基づいたケアを行い、患者さんの求めるQOLを支え、ADLの支援をする。化学療法を、患者さんの人生を妨げるものではなく、生活の一部としたいのです」(高祖)。
 そんな今の高祖があるのには、彼の祖母の存在が大きい。「大好きだった祖母と電話で話す時間が本当に楽しみでした。体調はどうか、最近何をしたか…。僕が患者さん、特に高齢の方と話すのが好きなのはその影響です。その祖母や父の勧めもあって、看護師をめざしたんですよ」。
6510 高校卒業後、看護専門学校に進んだ高祖は、平成20年、海南病院に入職。看護実習で患者と一番会話ができたという消化器内科、当時の5B病棟(血液内科・消化器内科・総合内科)を希望し、配属される。当初は、一人で複数の患者を看るのに慣れず、充分な会話ができないことに悩んだこともあったという高祖。だが彼は、朝の検温などの短い時間で、患者から効果的に話を聞き出すよう工夫し、その問題を克服していった。
 そうした努力の甲斐あり、自信もつきだした5年目。高祖はある現実に直面する。それは、化学療法でがんの進行を抑えたものの、その代償としての副作用により、入院が延びたり、ADLが悪化する高齢患者の姿だった。「患者さんにとって、この治療が本当にベストだったのか?」「看護師として、もっと何かできたのではないか?」。こうした疑問に苛まれた高祖は、副作用に苦しむ患者を支えたい一心で、がん化学療法看護認定資格取得を決意する。ボックス(シアワセ)

 

 

 

化学療法の発展により広がった治療の選択肢。
患者が後悔なく治療を選び、継続できるよう認定看護師として支えていく。

1017海南病院¥0A8A6481 高祖が認定取得をめざした分野、がん化学療法は、現在、著しい発展を遂げている。分子標的薬(※)に代表される抗がん剤のめざましい進歩、そして、その抗がん剤の副作用を抑える支持療法も格段に向上した結果、一つのがんだけでも、さまざまな薬による治療方法が生まれつつあるのだ。
 「選択肢が広がった今だからこそ、化学療法にかかわる看護師の役割が大きくなっている」と高祖は言い、こう続ける。「僕たち看護師が、患者さんの状況や思いを医師に伝えることで、医師は最適な治療法を提示できます。そしてさらに、医師の説明を補うことで、患者さんは治療法の効果や副作用の理解を深めることができます。患者さんが納得して治療を選べるよう、もっと患者さんと医師との橋渡しをしたいのです」。
6560 高祖がめざすのは、患者が自ら治療を選び、その治療で良かったと患者自身が思えること。「治療が始まった後も、副作用は想像通りか、何か不安なことはないか、そして、この治療方法で本当にいいのか…。看護師は、患者さんの心と身体に常に寄り添い、患者さんが治療を継続できるよう、そして患者さんに悔いを残さないよう支えていかねばならないのです」。
 高祖は今、認定取得で得た知識や経験を院内へ拡げようと動き出している。まず、取り組むのは、化学療法の正しい知識を看護師たちに持ってもらうことだ。「化学療法の知識があってこそ、エビデンスに基づいたヒアリングやアセスメント(判断・分析)ができます。それに、そうして得た情報だからこそ、医師が耳を傾けてくれると思うのです」。そして最後に、高祖はこう結んだ。「僕ががん化学療法看護のやりがいを見せることで、認定看護師を志すスタッフが出てきて欲しい。そして海南病院を、すべてのがん患者さんが、安心して治療に専念できる病院にしたいのです」。
※ 特定のがん遺伝子を狙って作用する抗がん剤。

 

 

 


 

 

columnコラム

●認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を持ち、すぐれた実践能力を持つ看護師のこと。そしてその特定分野において、<実践><指導><相談>という3つの役割を果たすことが求められている。

●がん化学療法看護認定看護師として、高祖が取り組もうとしているのは、すべての看護師が素地として持つ、目の前で苦しむ患者を何とかしたいという<思い>と、がん化学療法看護における<エビデンスに基づくケア>を、<実践><指導><相談>という3つを通して繋ぐことである。

●以前の高祖がそうであったように、<思い>だけでは、化学療法を受けるがん患者を充分に支えることはできない。発展著しいがん化学療法において、患者がさまざまな選択肢から自らの治療法を選び、選んだ治療を継続できるよう支援するためには、<エビデンスに基づいたケア>が必要不可欠なのである。高祖は今、それをすべての看護師ができるよう、院内へと拡げていくことをめざしている。

 

backstage

バックステージ

化学療法における
利益と不利益。


●化学療法には、患者が受ける利益(効果)と、その代償としての不利益(副作用)の両面がある。だが、この2つは簡単に分けられるものではない。なぜなら、両者は、患者、疾患、治療法それぞれに異なり、しかも、どこまでを利益、不利益とするかは、患者次第だからだ。たとえば、残された人生の少ない高齢者にとって、化学療法の効果が、必ずしも患者の利益になるとは限らない。なかには、たとえ命が延びたとしても、辛く苦しい人生なら送りたくない、という人もいるだろう。

●「がんと共に生きる」という言葉が使われるようになって久しい。そしてそれは、がん治療の著しい発展のため、現実のものとなりつつある。そうした状況において、我々は今、「がんと共に<どう>生きるか」を考える時期にきているのではないだろうか。

 

 


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