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石巻(3.11)からの手紙 その3

私たちは忘れない、3.11を。
東日本大震災に遭遇した一人の医療人から、地域医療への熱く、そして、冷静な眼が、
私たちが3.11の教訓から学ぶことの大切さを教えてくれる。

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 2011.3.11の東日本大震災は私たちに忘れえぬ記憶を刻みつけた。あの時、世界中から驚きをもって報じられたのは、略奪や暴力が起こらず、人々が助け合って困難に処したことだった。困難なとき他人を思いやるという資質を日本人は持ち合わせている。日本の独特な表現に「かゆいところに手が届く」というのがある。単に相手の希望に沿うだけではなく、その先まで考えて寄り添う意味合いを持っている。看護は何かという問いに対して、フローレンス・ナイチンゲールは「患者の生命力の消耗を最小にする」と説いているという。「かゆいところに手が届く」という心がけが、わが国の伝統の中に無意識に息づいていることを思うとき、私は日本の看護教育、看護体制がゆるぎないものになっていくだろうとの希望がわく。大震災から2年が過ぎようとしている。風化しつつある大惨事を改めて思う。

石巻赤十字病院 名誉院長
飯沼一宇 氏
1967年東北大医学部卒。同講師、ハーバード医科大留学、東北大医学部助教授、同教授を経て、2005年石巻赤十字病院院長。2011年3月東日本大震災に遭遇。石巻地域唯一の中核病院として地域住民の救護、健康維持に尽力。2012年3月同病院退職。現在、震災で親を亡くした子どもを家庭的環境で育てる施設「子どもの村東北」理事長。

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