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病院を知ろう

高機能、なのに少人数制。
そのアンバランスが、 研修医の「財産」になる。

 

 

総合大雄会病院


main高機能病院でありながら、
そこに待つのは少人数への手厚い研修体制。
高齢化が進む次代に向けた、最良の教育の場がここにある。

高い医療機能を備えながら研修医の定員はわずか3名。
そんな「アンバランス」を持つ総合大雄会病院は、もしかしたら、研修医にとって「最高の学びの場」かもしれない。
研修1年目からベテラン医師が指導、圧倒的な数の症例を経験…。
そこには、他にはない同院ならではの医師育成の光景が広がっていた。

 

 

アンバランスの意味。

206114 人口約38万人を抱える愛知県一宮市にあり、地域医療の中核を担う急性期病院として、救急医療、先進的医療に対応する総合大雄会病院。同院では平成7年から臨床研修病院として研修医の受け入れを開始しており、すでに多くの人が医師としてのキャリアをこの地でスタートさせている。
 同院における臨床研修の特徴は、良い意味での「アンバラン206125ス」にあるといえるだろう。
 同院は、愛知県尾張西部医療圏において、平成22年4月に三次救急医療を担う救命救急センターの指定を受けた。一次(軽症)・二次(中等症)・三次(重症)に亘る、さまざまな患者が搬送され、地域で頻回に発症する疾患はもちろん、稀にしか発症しない疾患もここに集まる、地域の基幹病院である。
 さらに、検査機器として、1.5テスラMRI、PET-CT、320列CT(愛知県の市中病院で初めて導入)と、今日の臨床現場で考えられる最新鋭のスペックを揃えた「高機能」病院。救命救急センターでは、これらを24時間365日稼働させ、万全の救急医療体制を整えている。
 そうした病院でありながら、研修医の定員は3名のみ。通常、三次救急に対応した同規模の中核病院であれば、十数名の研修医を受け入れている。そして、そこでは1年目の研修医を2年目や3年目の若い医師が指導するのが一般的だが、同院では少人数であるがゆえに、研修1年目からベテラン医師が指導を行う。いや、正確にいえば、さまざまな領域の専門医である、部長医師クラスがマンツーマンに近い形で教育を行う。また、症例数に対して研修医の全体数が少ないため、豊富な診断と治療の経験を積むことが可能だ。
 加えて、大きなポイントは、初期研修プログラムの自由度の高さにある。2年目は大半の期間が自由選択期間となっており、将来のキャリアを考え、さまざまな診療科での研修を組み合わせたり、めざす診療科での研修をじっくり行ったりと、研修医一人ひとりの医師としての方向性を見据え、自由に研修内容を組み立てることができるのだ。これは全国的に見ても、非常に自由度の高い研修プログラムだといえる。

 

 

 

 

外を知っているからこそ解る。

Plus顔写真1 循環器内科に勤務する後藤礼司医師は、同院のアンバランスの良さが解る医師である。というのも、後藤医師は、大学卒業後、郊外にある中小病院で臨床研修を受けた。研修先となる病院を選ぶ際には、安心感のある大病院と迷ったというが、結果的に「選択は間違っていなかった」と振り返る。「研修先の病院では、研修医は私1人でした。2年間の初期臨床研修期間中、他では得られない数多くの経験を積むことができ、本当に良かったと思います」。
 研修医たちは、研修病院を選ぶとき、単純に救急搬送件数などを尺度にしてしまいがちだが、「それは違う」と後藤医師は言う。その病院の研修医が多ければ、いくら全体の症例数が多くても、実際に経験できる数はごく一部に限られるからだ。「私の場合、研修医が担当する症例をほぼ独り占めしていましたから、とても密度の濃い2年間でしたね」。
 そんな後藤医師が、総合大雄会病院に赴任したのは、およそ1年半前。他の病院を知る人間として見たとき、総合大雄会病院は、研修医にとって「とても恵まれている!」と驚いたという。「私がいた研修病院では、症例こそほぼ独り占めにできましたが、ここまでの医療施設・設備はありませんでした。一方で、総合大雄会病院は、最新鋭の医療機器が揃っている。私の専門である循環器科でいえば、それだけに特化した専門病院と同レベルの設備です。正直、これほどまでとは思っていませんでした」。
 しかも、総合大雄会病院なら、後藤医師が経験したような少人数によるメリットも享受できるのだ。「他にはない学びや経験を得たいと考える研修医にとって、本当に恵まれた環境ですね」と後藤医師は話す。

 

 

 

包括的医療を学ぶには絶好。


Plus顔写真2 総合大雄会病院の母体は「社会医療法人大雄会」である。社会医療法人大雄会では、三次救急を担う総合大雄会病院のほかにも、一般外来診療や日帰り手術などに対応する大雄会クリニック、透析センターや健診センターを持つ大雄会第一病院が近接。さらに、「老人保健施設アウン」をはじめとした介護領域の事業所や、訪問看護ステーションなども同じ法人内にある。
 すなわち、救急、急性期、回復期、さらには予防や在宅に至るまで、非常Plus顔写真3に幅広い医療領域を同じ法人内でカバーしている特殊な社会医療法人なのだ。まさに、今後の地域医療の方向性として、その動静が大きく注目される「包括的医療」である。
 団塊の世代が後期高齢者に達する2025年。そのころ地域の最前線で働く医師は、これから臨床研修を受けようとする世代だ。その彼らが、医師としての第一歩を踏み出すとき、高度な急性期医療を学ぶだけではなく、複合疾患を抱えた高齢者の、退院後の生活を見据えた、さまざまなステージの医療を学ぶことの意味は、この上なく大きい。総合大雄会病院は「教育」において、ここで完結できるスケールを有する病院であり、学ぶ意欲さえあればそれができる次世代型の医師育成の場といえよう。

 

 

 

埋もれたままでは終わらせない。

Plus顔写真4 では、同院で学ぶ研修医たちの感想はどうか。初期研修1年目の3人に話を聞いてみると、少なからず同院の研修プログラムのメリットを感じているようだった。
 加茂徹大医師からは、「少人数がいいですね。ベテランの医師とも距離が近いですし、直接指導してもらえます。僕は外科を志望していますが、他の診療科でも、少なくともその専門医に繋ぐ架け橋にはなりたいので、各科の先生からしっかり学びたいと思っています」との言葉が返ってきた。岩田仁志医師も、「1人あたりの研修医が経験できる症例が多いのが良いですね。1年上、2年上の先生とお互いに考えつつ学ぶ部分と、一方で、ベテランの先生から直に教えていただけるのが魅力ですね」と少人数ゆえの利点を挙げる。また、水谷達志医師は「どういった部分に関心があり、どんな手技を身につけたいといった希望を上司と相談しながら、自由に研修内容を考えていけるのがいいですね。ただそれはイコール、本人の意志にかなり委ねられるということ。自分で何を身につけたいのかを考え、今後の礎を築きたいと思っています」と、研修プログラムの自由度の高さに対して、魅力を覚えつつ心構えの大切さを感じているようだ。
 ただ、同院が持つ最先端の医療環境については、「他の病院を知らないの206137で…」「恵まれ過ぎていて、不自由を感じないのかもしれません」と、実感していない様子だ。また、同じ法人内で予防から在宅まで包括的な体制で地域を支えており、幅広い知識を深めていける土壌があることも、正確には認知していなかった。後藤医師が「これほどまでに!」「とても恵まれている」と言った驚きの言葉の意味は、研修医たちには理解されていない。だが、人は常態化したモノ、ことに対しては、その本当の価値に気づかないともいえる。彼らにとっては、最新鋭の医療機器を使用しての診断・治療が当たり前なのだから。
 総合大雄会病院が持つ「アンバランス」。今後はこれをいかに「大雄会式」としてシステム化していくかが、同院にとっての課題といえる。医師の臨床研修という、社会において極めて価値ある「教育環境」を、明日の地域医療に活かすために。研修医自身がその宝に気づき、積極的に学び取る姿勢を勝ち取るために。これからの同院の取り組みに注目していきたい。

 

 


 

columnコラム

●本文で紹介した「高機能」。これは1924年の開設以来、大雄会が持ち続けている進取の精神である。
 ◇ 1929年/国産第一号レントゲン
    「比叡号」を全国で最初に導入。
 ◇ 1956年/コバルトを設置し、悪性新生物の治療に威力を発揮する。
 ◇ 1985年/国内6番目となる超伝導MRIを導入。
 ◇ 2002年/PETを稼働。
 ◇ 2009年/320列CTを導入。
目ぼしいものをピックアップするだけでも、これだけズラリと並ぶ。

●その意味は、「すべては地域のため」、という大雄会の思いだ。そこに最新のもの、より優れたものがあるならば、地域の医療のために何としても導入する。そして、住民の生命と健康的な明日を支える。単純明快なスタンスといえよう。

●だがそれを長い歴史を通して貫くことは、そう容易くはない。確固たる決意。いや、遺伝子として息づいている、大雄会の根幹である。

●その遺伝子は海外にも視線を伸ばす。国内では旧式となった医療機器を、ミャンマーに提供。同国の医療の発展に大きく寄与している。

 

backstage

バックステージ

●今日の医師の臨床研修は、急性期領域に限られている。そのため、研修の場が公立病院、公的病院であり、いわゆる急性期に特化した病院が主戦場になっている。

●しかし、医師の臨床研修制度の理念が、医師としての人格の涵養と、総合的・基本的な診療能力の修練であるならば、大雄会が有している構造、つまり、救急、急性期から回復期、慢性期、在宅までの包括的医療は、まさにそれに相応しく得難いものである。と同時に、これからの社会を考えたとき、医師教育のあり方に、大きな可能性を与えるものではないだろうか。

●「地域が一つの病院のように」機能するために、三次救急や高度急性期を担う基幹病院と、一般急性期から在宅まで、患者の生活を見つめた医療提供を担う中規模病院の連携が必要となってくる。同一法人でそれを揃える大雄会の「教育」の行方に期待したい。


 


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