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病院を知ろう

豊橋市の都市部に特化し、濃厚な医療を展開。
民間ならではの自由度で、「患者が求める医療」を。

 

 

成田記念病院


main医療機器の進歩により、医療の常識も様変わりしていく。
新たな常識を積極的に取り入れ、自らの存在する地域に
最良の医療を提供することが、私たちの使命。

がん治療における放射線治療は、医療機器の発達により、
目覚ましい進歩を遂げ、今やがん治療の常識すら変えようとしている。
そんななか、放射線治療が持つ大きな可能性に着目した成田記念病院では、
平成24年11月、愛知県下で5番目となるトモセラピーを導入した。がん治療の最先端をひた走る同院。その姿を追った。

 

 

高い治療効果を持ちながら
日の目を見なかった放射線治療。

 IMG_0477 がんにおける放射線治療とは、細胞分裂を止める作用を持つ放射線を患部に照射することで、がん細胞を消滅させたり、少なくしたりする治療のこと。その最大の利点は、手術による切除を行うことなく、身体に負担をかけずにがんへの治療効果が期待できることだ。
 日本における放射線治療は、昭和40年代、コバルト放射線治療装置が各地で導入され、徐々に普及し始める。そして50年代に入り、リニアック照射装置が登場、その後も高エネルギーX線のリニアック照射装置へと代替わりを続け、その性能は確実に進化を続けてきた。
 昭和50年代半ばから放射線治療の第一線で活躍を続けるパイオニア、成田記念病院の三村三喜男医師は、当時の状況を振り返りながら、「そのときからいくつかのがんでは、放射線治療が手術と同等以上の治療成績を残す結果が出ていた」と話す。その代表例の一つが、喉頭がんだ。喉頭がんでは、比較的早い段階で声枯れなどの症状が出現するため、早期で発見されるケースが多い。だが、喉頭全摘手術をすれば、声が出ず、食事もままならなくなる。そこで初期の喉頭がんには、当時からよく放射線治療が選択されていたのだ。三村医師は、「放射線治療は、以前から特定のがんに対して優れた治療成績を出してきましたが、一般の方々にはこうした状況が理解されてきませんでした」と話す。放射線治療の有用性が日本で認知されてこなかったのは、被爆国であるために、放射線へのネガティブな感情が強かったことも少なからず影響しているのでは、と三村医師は分析する。
 三村医師によれば、日本における子宮頸がんでは、「手術しましょう」と言われるのが一般的だが、欧米では、「手術にしますか、放射線治療にしますか、治療成績は変わりませんからどちらかを選択してください」と提示されるのだという。
 欧米では、以前からがん患者の60%以上が、何らかの形で放射線治療を受けている。単独で根治的な治療に使われるだけでなく、手術と放射線を組み合わせて治療を行ったり、除痛や緩和を目的に使われることもある。一方、日本国内で放射線治療を受けるがん患者の割合はおよそ30%。本来、何らかの形で放射線治療を選択できる患者が、治療を受けていない状況が続いているのだ。

 

 

医療機器のさらなる進歩により、
放射線治療は、がん治療の主役へ。

IMG_1760 放射線治療が日本社会に充分に浸透しない一方で、放射線治療装置の技術革新は確実に進んでいる。平成になると、主に脳に使われる「ガンマナイフ」や「サイバーナイフ」が登場、そして、高精度放射線治療装置「トモセラピー」が開発され、すべての固型悪性腫瘍に対して病巣へのピンポイント照射が可能となった。これにより、放射線による正常組織への影響や、その後の副作用をほとんど考慮しなくてよくなり、放射線治療は劇的な進化を遂げたのである。
 「例えば、前立腺がんにおいても、がんが局所に限られている場合、手術と同等の治療成績が得られます。ただ、残念ながら、こうした知識が医師の間でも共有されておらず、手術を実施後、再発や転移が見つかっIMG_1745た段階で、緩和・姑息的に放射線治療を選ぶことが多い。これでは遅いのです」と残念がる三村医師。
 ただ、明るい兆しもある。最先端の治療装置が各地の医療機関で相次ぎ導入され、徐々にではあるが、放射線治療が脚光を浴びつつあるのだ。高い治療成績を有しながら、日の目を見ない暗黒時代が続いてきた放射線治療だが、手術と肩を並べる「がん治療の主役」として、当たり前の選択肢となる時代が間近になってきている。

 

 

がん治療に特化した病院へと
差別化を進める成田記念病院。

IMG_0525 愛知県豊橋市を中心に人口約77万人を抱える東三河エリアでは、救命救急センターを持つ豊橋市民病院が、地域医療を広くカバーする公立病院として機能している。そのため、成田記念病院では、人口が集中する豊橋市の中心市街地に特化し、この地域で必要とされる医療を網羅する一方、東三河エリア全域の高齢者の増加を見据え、最先端のがん治療に対して積極的な投資を行うという「選択と集中」を進IMG_1829めている。
 「この地域の高齢化を考えたとき、がんの治療が最も大きな課題になるはず」と同院の成田 真院長は話す。「当院でもがんでお亡くなりになる方が一番多い。それならば、がんの治療にもっと力を入れていこうと考え、思い切った舵を切りました」。同院では、平成24年11月、愛知県下で5番目となる高精度放射線治療装置「トモセラピー」を導入。名古屋第二赤十字病院などで活躍し続けてきた三村医師を、高精度放射線治療センター長として招聘した。
 がんの治療は、手術による治療、放射線治療、抗がん剤による化学療法の3つが大きな柱となっている。同院でも、この3つの治療法の専門家が手を携えて治療を進める集学的アプローチを大切にしているが、なかでも高度な放射線治療を行うための設備を拡充。そこには、「患者さんの苦痛を取り除くために考えうる選択をすべて用意する」という同院の姿勢が表れている。

 

 

民間病院の自由度を活かし、地域が必要とする医療を追求。

Plus顔写真 公立病院では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患という5疾病に幅広く対応する使命を帯びている。地域で暮らす住民が求めるものや、今後必要とされる医療に対し、優先順位をつけて設備の充実を図ることが難しいのが実情だ。一方、民間病院である成田記念病院には、こうした縛りがなく、自由度が高い。だからこそ、5疾病のなかでもがん治療に特化するという、大胆な「選択と集中」が可能なのだ。
 「民間病院である私たちだからこそ、公立病院ではできないことができる。これからも地域のニーズを捉えながら、最先端医療や優先順位の高い医療にウエイトを置いて充実を図っていきたい」と成田院長。民間病院だからこそやれる方法で、同院はこれからも地域医療に貢献していく。
 同院では、病巣を突き抜けて正常な部位まで傷つけてしまうX線の治療装置とは違い、深さや形をコントロールし、病巣のみに多くの放射線量を効率よく照射できる「陽子線治療装置」の導入を計画している。また、再生医療にも取り組んでいきたいと考えIMG_1816ており、すでに脂肪細胞由来の幹細胞を使った乳がんの術後の乳房再建術に着手、先進医療の申請を進めている。まだ先の話ではあるが、ゆくゆくは、iPS細胞を使った摘出後の臓器の再生にも取り組む構えだ。また今後は、在宅医療部門を中心に地域住民が安心して暮らせる医療システムの構築にも力を注ぐ。さらに、治療時の精神的なケアのほか、終末期の患者に対する緩和ケアにも徐々に取り組んでいく方針だ。
 社会の変化、医療の変化のなかで、経営が翻弄される医療機関は少なくない。だが、そんななか、同院の方針はぶれることがない。「民間病院として、患者さんが一番必要とするものを展開する。<医療の王道>を進むのが当院の変わらぬ方針です」と成田院長。同院はこれからも、地域住民に必要となる医療を追求し、さらなる進化を遂げていく。

 

 


 

column

コラム

●社会医療法人明陽会 成田記念病院は、昭和26年9月の開設以来、地域密着型の急性期病院としてその歴史を刻んできた。法人内には、回復期リハビリテーションの専門病院「第二成田記念病院」、腎臓疾患の専門医師を配し、人工透析などを行う診療所「明陽クリニック」のほか、老人保健施設や訪問看護ステーションなどを持ち、急性期から回復期、在宅までをシームレスに繋ぐ社会医療法人として、地域住民から絶大な信頼を集めている。

●現在、急性期病院では、DPC(包括医療費支払い制度方式)の導入により、在院日数の短縮化が進んでいる。そんななか、同院が平成24年9月に新設移転した新病院は、巨大な建物に比べ、病床数が284床と少ない一方で、高機能の医療機能がコンパクトに集約されている。これは、今後も進む在院日数短縮への流れを反映させたものだ。最先端の医療で患者を早く確実に治療し、短期間で地域に戻す。同院は、そんな「近未来型の病院」となっている。

 

backstage

バックステージ

●医学は、常に進化を続けている。そのため、今まで常識だった治療法が、数年後にはすでに時代遅れとなるケースも少なくない。がん治療の分野では、科学技術の進展により、高性能の放射線治療装置が登場、がん治療のあり方が大きく変わろうとしている。このように、医療技術の進化の歴史は、同時に、「医療の常識の変化」の歴史でもあるのだ。

●技術革新が進んだとき、既存の治療法との間で、少なからず摩擦が生じる。新たな医療技術を使えば、より質の高い治療ができるにもかかわらず、今までの常識に捉われ、既存の治療法に固執してしまう。そんな状況が生まれてしまうことも考えられる。新たな技術が登場したとき、それを新たな治療の選択肢として、どう受け止めていくのか。放射線治療を取り巻く状況は、医療の進歩について正しい知識を得ることの重要性を伝えてくれている。

 


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