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整形外科が好き。
だから、この領域で自分を磨いていく。

本間美雪はちや整形外科病院 整形外科病棟


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整形外科領域では、日本看護協会の定める「認定看護師」「専門看護師」という資格認定制度はまだない。しかし、低侵襲治療(MIS)が飛躍的に進化するこの分野では、最先端治療に対する高度な知識と熟練した看護技術が問われる。刺激に満ちた現場で働く整形外科看護師のやりがいを追った。

 

 

 

 

 


整形外科の先端治療を支え、一日も早く回復するよう患者さんをケアしていく。


 

脊椎の領域を学びたくて国立病院から思いきって転職した。

001 「こんなに早くリハビリテーションを始めるのか」―膝関節の手術を受けた患者がその日のうちに、大腿部の筋力トレーニン00グを始める様子を見て、病棟看護師の本間美雪は最初、目を見張ったという。「ご高齢の患者さんも多いのに、なんてスパルタなんだろう、と驚きました」。
 痛みが少なく手術後の回復の早い「低侵襲手術」を積極的に行う、はちや整形外科病院。できる限り早くリハビリテーションを開始し、早期離床をめざすのが、標準的な治療ガイドラインとなっているのだ。
 本間がはちや整形外科病院に入職したのは今年4月。それまで6年間、国立病院の整形外科に勤務していた。もともと看護師をめざしたきっかけは、小さい頃にケガをして整形外科のお世話になることが多かったからだという。そこで働く看護師に抱いた幼い憧れが、今現実のものとなっている。
 転職の理由は何だったのだろうか。「以前勤めていたところは大きな病院だったので、そろそろ別の診療科に異動するタイミングでした。でも、私は整形外科以外には興味はなかった。それよりも、整形外科の分野で看護の領域を広げたくて、いい病院はないかと探していたんです」。そんな本間の目に留まったのが、52床という小さな規模ながら手術件数は年間約950件、低侵襲の脊椎治療で有名なはちや整形外科病院だった。脊椎の内視鏡手術ができる病院は、全国で1割にも満たない。はちや整形外科病院の群を抜く治療実績は、それまで整形外科一筋に歩んできた本間にとって非常に好奇心をそそられるものだった。「以前は関節治療が得意な病院だったので、今度は脊椎治療を学んでみようと思って…」。さっそく面接を受けて、正式採用された本間は希望していた病棟に配属された。

患者の早期回復を促す専門性の高い看護が学べる、という手応え。

002-1 本間が所属する病棟は、関節疾患と脊椎疾患の区別なく、入院治療の必要な患者を看護している。1日に4、5件は全身麻酔の手術があり、術前・術後のケアが重要なポイントとなる。「ここは低侵襲手術で傷口が小さいため、回復のスピードがとても早く、看護にもスピード感が求められます。以前より忙しさを感じますね」と本間は快活に笑う。
 はちや整形外科病院の看護は、患者の自立を促すスタイルだという。「患者さんを手厚くケアしますが、決して甘やかさない。看護師が介入する量を調整しながら、患者さんには自分でできることは、できるだけ自分でやっていただくようなやり方です。国内でもトップレベルの技術を持つ病院で、早期回復を促す看護が学べるという手応えを感じています」。
 002-2以前とは少し違う看護スタイルのなかで、めざす看護師像も変化してきたという。「もともと学生時代に思い描いていたのは、単純に“やさしい看護師さん”でした。でも、実際に看護師になり、患者さんへの看護指導や後輩の育成などに携わる機会が増え、ただやさしいだけじゃだめなんだ、と思うようになりました。その思いがここにきて、さらに強くなりましたね」。
 たとえば、リハビリテーションにおいては、理学療法士とチーム医療を実践するなかで、患者を励まし、ときには厳しい言葉をかけなくてはならない。また、ほかの入院患者の安静療養に配慮し、入院中のマナー厳守をお願いすることもある。さらに、中堅看護師である本間は、若い看護師に対し、やってはいけないことをしっかり指導する立場でもある。
 「性格的に怒れないタイプなのでむずかしいんですが、自分を変えていこうと思います」と本間はきっぱり言う。

匠である医師からの信頼を得て、パートナーとしてのより良い関係を築きたい。

003 入職して4カ月め、少しずつ勤務にも慣れ、やりがいを感じる瞬間も増えてきた。「手術前は痛みで大変つらそうだった患者さんが、手術後はみるみる良くなっていかれます。その回復の過程に関わるのが、なによりもやりがいです。私が整形外科の看護にこだわるのも、その喜びがあるからなんです。また、手術の前は患者さんもご家族も大きな不安を抱えておられます。その不安を和らげるのも私たちの重要な役目ですし、とにかく日々、学びがいがありますね」。
 ただし、仕事をしているなかで、自らの仕事に課題を感じることも少なくないという。「この病院は、匠の技術を持つ医師が大きな存在感を持っています。その存在感に圧倒され、萎縮してしまうところもあって…。医師の技術レベルに追いついて、専門性の高い看護を実践するには、相当勉強が必要だと思います」。病棟勤務の本間は、最先端の手術の様子を直接見る機会はないが、モニターで見ることはできる。「脊椎治療は私にとってはまさに未知の領域。一からしっかり勉強していきたい」と目を輝かせる。

新しい環境に飛び込んで今、初心に帰り、看護の面白さを実感。

004 はちや整形外科病院では今、看護の視点から患者一人ひとりのQOL向上をめざすために、認定看護管理者を招聘し、これからの時代に即した看護部の理念やシステムをつくろうとしている(詳しくはコラム参照)。
 言わば、改革途上にある看護部の一員として、本間はこれまで築いた知識やノウハウを活かし、自分の力をどんどん発揮していこうと考えている。「たとえば、感染予防の仕組みづくりなど、まだまだ改善の余地があると感じています。正しいと思うことは臆せずに発言し、率先して取り組んでいこうと思います」。
 新しい環境で自らを磨きながら、これからの看護を模索する日々。そのなかで、うれしいのはやっぱり患者の「ありがとう」の一言だという。「最近、何かふとしたきっかけで、患者さんから“ありがとう”と声をかけていただき、なんだか看護師になった頃を思い出しました。そういう一言で、思わず初心に戻りますね」。
 初心忘るべからず。それは、看護師に限らず、どんな職種にも通用する教えである。本間が転職を決意したのも、もしかしたら、心の奥底に「看護に慣れてしまう自分」への危機感があったのかもしれない。整形外科の先端医療を実践する緊張感のなかへ自ら飛び込み、挑戦する姿はとてもみずみずしく魅力的だ。
 「患者さんの入院受け入れがあるんで、そろそろ失礼してもいいですか」。そう言って早々に腰を上げると、本間はさわやかな笑顔を残して病棟の方へ姿を消した。


column

column●はちや整形外科病院では昨年、外部から認定看護管理者を招聘して看護部の改革を進めている。認定看護管理者とは、日本看護協会の認定審査に合格し、管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させる能力を持つ熟練者である。

● 新生看護部がめざす看護を平易な言葉で表現すると、「医師の指示の隙間をぬう看護」だという。たとえば下肢骨折で手術した患者は、車椅子から歩行器に、そ して松葉杖へ…と、回復のステップを上っていく。回復するにつれ、使う筋肉も変化し、大胸筋や上腕筋を使うようになる。その回復過程を見越して、身体機能 を維持させるところに、看護師の力量が求められるという。医師が治療に専念する傍らで、看護師は患者のQOL向上を図る。そんな質の高い看護サービスを提 供できるよう、はちや独自の看護実践基準を作ろうとしている。


backstage

backstage

● 看護師のキャリアには大きく分けて、認定看護師や専門看護師というエキスパートをめざす道と、看護師長、看護部長となり、管理職として力を発揮していく道 がある。どちらを選ぶかは、本人の希望しだいだが、エキスパートナースをめざすなら、できるだけ治療レベルの高い医療機関で学ぶことが専門知識・技術を習 得する近道と言える。しかし、どんな看護領域を選ぶか、どこで腕を磨くかを決めるのは、なかなか容易ではない。

●そこで、はちや整形外科 病院では、現職の看護師や看護学生を対象に、「はちや整形外科専門看護インターンシップ制度」を設けている。これは6日間にわたり、最先端の低侵襲治療を 学び、体験学習するプログラムだ。整形外科看護への理解を深めるきっかけとして活用するのもいいかもしれない。


 


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