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病院を知ろう

持ち味は、柔軟性と機動力。
急性期を核に
包括的な医療を見つめる。

 

 

成田記念病院


受け継がれる明陽会の理念——。
地域とともにあり続ける医療法人としての矜持。

main

東三河南部医療圏内にある豊橋市。
その市街地に、社会医療法人 明陽会 成田記念病院がある。
社会医療法人とは、国によって公益性、社会性が強い医療活動を行うと認められた法人。
その名のとおり、成田記念病院は、視点を常に地域に置き、地域医療の最適化に民間ならではの力を発揮し続けている。

 

 

 

 

 

高度な初期診断能力で
急性期医療を展開。

 IMG_1895成田記念病院の基軸は急性期医療である。病気を発症して間もなく、重症・重篤な状態にある患者に対して、専門的な治療を提供し、急激な病気の進行を防ぐことに主力を置く。これまでには、整形外科領域での脊髄、脊椎の病気における治療、また、泌尿器科領域では安全、短時間、非侵襲のESWL(体外衝撃波結石破砕術)の実施、眼科における一般的な疾患から緊急治療が必要な治療まで、都会の急性期病院に伍して劣らない医療を展開してきた。
 そうした急性期医療で重きを置いたのは、初期診断能力の高度化である。そのためCT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、PET(陽電子放射断層撮影)等の診断装置の整備に力を注ぐ一方、各診療科の専門医を、高度な専門能力を有する放射線医がバックアップする形で、診断医と治療医の共同体制による急性期医療を実践してきた。
 成田 Plus顔写真真院長(社会医療法人 明陽会理事長)は言う。「当院は、時代の医療ニーズに合わせ、選択と集中を行ってきました。結果、突出した実力の診療科があれば、平均的水準の診療科もあります。しかし、いずれの診療科でも、各領域において、発症頻度の高い一般的な病気には、しっかりと対応できる能力を有しています」。
 現在、選択と集中を図っているのは、がん治療である。前述の高度検査装置の有効活用はいうまでもなく、トモセラピー(高精度放射線治療)を導入するなど、放射線療法と化学療法の組み合わせによる低侵襲、すなわち、患者にやさしいがん治療にも注力する。
 こうした急性期での実力をもとに、二次救急医療にも尽力。緊急時における高度で適切な医療の提供を実現させている。

 

 

時間軸に沿った
明陽会の事業展開。

IMG_0459 成田記念病院の母体は、社会医療法人 明陽会である。法人全体で、広く在宅医療まで裾野を広げる形での展開を図っている。例えば、回復期リハビリテーションの専門病院、人工透析を担うクリニック、さらに、老人保健施設、訪問看護ステーション、そして、地域包括支援センターなど、介護領域にまでその翼は広がる。
 その基本的な考え方は、どこにあるのか。「病気は急性期だけでは終わりません。また、今日では急性期病院での入院日数の短縮化が叫ばれ、成田記念病院も例外ではありません。そうした状況にあって、患者さんの急性期後を見つめると、疾患によっては集中的なリハビリテーションが必要であったり、適正な医学管理のもと、在宅での療養が大切であったりします。そこで、成田記念病院の急性期医療から在宅まで、すなわち、患者さんの回復の時間軸に沿って、包括的なサービス提供が必要と考えました」。IMG_0519
 その観点に立てば、選択と集中を果たすがん治療においても、包括的なサービスを行っていくのか。「そうなりますね。がんはいまや通院治療が可能です。前述の放射線療法と化学療法の組み合わせがその例ですね。但し、包括的なサービスには、地域の診療所の先生を抜きに考えることはできません。というより、診療所の先生に有効活用いただける施設や設備、そして人材を整え、先生の診療活動をサポートする。そして、患者さんの急性増悪時は、いつでも成田記念病院を役立てていただく。そう考えています」(成田院長)。
 ひとり成田記念病院だけではなく、地域の医療と介護のパフォーマンスを最高に維持するために。急性期病院に連なる不可欠なユニットが形成されている。

 

 

地域の医療機関が
胸襟を開いて会話を。

703070 成田記念病院のある東三河南部医療圏は、愛知県南東部に位置する医療圏だ。このエリアについて、「各医療機関がバランスよく分散されていると思います。個々の病院には特色があり、それらを医師会の先生方も上手に活用してくださっています」と成田院長は言う。
 「しかし…」と院長は言葉を続ける。「今後を考えると、従来のように、個々の医療機関が別々の目線で活動していては、限界が生まれます」。その意味するところは何か。「我が国には、医療にかかる膨大な累積赤字があります。国も医療費削減を第一に、削れるところは削るという方針。これからは公立とか民間とか、そうした枠組みを壊して、一緒に地域医療を見つめることが必要と思います。例えば、公立病院は政策医療を担うことが使命である以上、すべての診療領域での展開が必要です。とはいえ、地域医療はマーケットのなかで動いている以上、すべてを100%で成すことには無理がある。そうした部分を、私たち民間病院が補完する。それではじめて地域医療の最適化が図れるのではないでしょうか。地域住民に満足いく医療を提供するために、今後は各病院が胸襟を開いて会話をし、超高齢社会における包括的なサービスを考えるべきだと思います」。
 例えば、医師数の問題。余力のある病院が、不足する病院に医師を派遣し、地域としてのバランスを取る。あるいは、災害医療。南海トラフ巨大地震が発生した場合、豊橋市の地理的条件を見れば、どの位置にある病院こそが、市を挙げてインフラや備蓄整備に全力を注ぐ必要があるか。大所高所の視線があれば、この地域の医療はもっと進化すると成田院長は考える。

 

 

柔軟性と機動力が
これからを切り拓く。

703067 成田院長に今後について話を聞いた。「これまで私たちは、地域の声を聞いて、地域に必要なものを提供する、という姿勢を貫いてきました。その過程で、民間病院ならではの柔軟性と機動力を持つことができ、それこそが私たちの強みです。今後もその姿勢を変えることなく、そして、今以上に包括的な視点を持って、地域医療の最適化に挑戦していきたいと考えます。そうしたことを私が考えられるのは、職員たちのおかげです。当院の地域での位置づけ、そして、これからの地域医療に対して、私と同じベクトルで見つめ、且つ、労を惜しまず自らの力を最大限に発揮してくれる職員が大勢います。彼らが疲弊することなく、また、当院にいて良かったと思うことができるように、さまざまな面での効率的な事業活動を組み立てていきたいと思います」。
 成田記念病院は、がん治療のなかでも先進的な放射線療法である陽子線療法の導入を決めた。これには陽子線治療装置が必要であり、そIMG_1867の金額は50億円に上るという。一医療機関にとっては莫大な投資である。「確かにそうですが…。当院はずっと地域に貢献することで育ってきた法人です。地域のためになるのであれば、リスクを伴っても、病院の姿勢としては間違っていないと考えました」。この言葉から、常に地域とある、他の医療機関にできないところがあれば、自らがそこを埋める、すべては地域の人々のために。社会医療法人 明陽会が貫いてきた不屈の闘志と、しなやかな発想を強く感じることができる。

 

 


 

column

コラム

●社会医療法人 明陽会という名前は、創設者の成田竹蔵初代院長が米国のメイヨー・クリニックから取ったことに由来する。全米で最も優れた医療機関の一つに数えられる同院は、患者のニーズを第一に考えるという方針で世界的に有名だ。今日の明陽会に受け継がれる理念の源泉をここに見ることができる。
●明陽会の前理事長が、腎疾患での透析治療を三河地区でいちはやく導入したのは昭和44年のこと。その後も、腎結石や尿路結石の治療において切開手術が一般的であった当時に、全国でも数台しかなかった体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の装置を導入した。以来、PET、トモセラピーと、常に地域の需要を読み、時代に先駆けて最新の医療を提供。将来的には再生医療をも視野に入れている。
●病気を治すのではなく、病気にさせない。同院は未病の段階で、地域住民の健康的な生活を支えたいと考える。

 

backstage

バックステージ

●本文で紹介したとおり、公立医療機関は、国の掲げる医療政策に則った分野を担わねばならない。そのために、どうしても拾い切れない分野が出てくるのが実情だ。この足りない部分を、民間ならではの柔軟性と機動力によって補完することが、今日の地域医療には求められている。
●地域によって、さまざまな課題がある。医療圏によっては、公的医療機関がその地域の医療を主導している場合もあるし、逆に民間の医療機関が赤字の続く公立病院を指定管理者として立て直すケースもある。官民の枠を超えて、地域ごとに各医療機関がそれぞれの組織の特性を共有し、補い合うことによってはじめて、安定的な医療を提供することができるのではないだろうか。
●そういった意味で、成田記念病院のこれまでの歩みは逞しい。医療は母体に関係なく、すべてが<公>。その観点で地域を見つめる同院の今後を注目したい。

 


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