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病院を知ろう

高齢者が輝いて暮らせる
町を作りたい。
職員の熱き思いが
新病院のエンジンになる。

 

 

尾張温泉かにえ病院



地域の生活をどこまでも支えていく。
強い決意と使命感を持って、
新・尾張温泉かにえ病院が始動した。

main

平成26年10月1日に新築移転した、尾張温泉かにえ病院。移転と同時に、尾張温泉リハビリかにえ病院から「尾張温泉かにえ病院」に改称し、新たなスタートを切った。病床は5床増床して104床(一般病棟24床、医療療養病棟25 床、回復期リハビリテーション病棟55床)に。
蟹江町で唯一の異なる病棟を持つケアミックス病院として、地域の生活をしっかり支える体制を整えている。
動き出したばかりの新病院で、榊原敏正院長、そして3名の職員がテーブルを囲んで、新病院の特徴やこれからの抱負を大いに語り合った。

 

 

 

 

 

患者さまの表情が
イキイキと輝き出した。

Plus顔写真1 榊原敏正院長 新病院がオープンして、2週間あまり経ちました。広さや明るさ、トイレの充実など、私たちが今、考えられる最良の工夫を凝らし、患者さまのための病院が完成したわけ
ですが、皆さんはどのように受け止めていますか。
岩田広子看護部長 本当に、患者さまにとって居心地のいい環境が整ったと思います。動線の工夫など職員への配慮も行き届いていて、働きやすさを実感しています。ベッドがすべて電動になり、最新の汚物容器洗浄装置が整備されるなど、看護部の要望も取り入れていただいて感謝しています。効率良く働けるようになり、仕事に余裕ができた分、患者さまに寄り添って、じっくり看護できるようになったと思います。
Plus顔写真2明村絢美看護師 そうですね。ここに来てから、私たちと患者さまとの気持ちも距離も縮まったように思います。一番大きな変化は、詰所(スタッフステーション)の前に食堂ができて、私たちの目の届くところで、お食事していただけるようになったことですね。お食事しながら、患者さま同士の話も弾んでいるようで、イキイキとした表情が見られるのがうれしいです。また、病棟の窓がすごく大きくなって明るくなりました。先日、空に大きな虹が出ていたのが見えて、患者さまやスタッフが集まってみんなで眺めたんです。日常のささやかな出来事ですが、そんな楽しい雰囲気が生まれたのは新病院になったおかげです。

 

 

新病院のコンセプトは
患者さまに生活を取り戻してもらうこと。

Plus顔写真3立松俊治理学療法士(主任) リハビリテーションの設備も充実しました。たとえば、入浴訓練用の設備が導入され、洗い場で立ち座りや浴槽への出入りなど、ご自宅の浴室を想定した実
践的な練習ができるようになりました。可動式の手すり・浴槽を活用して、ご家族にも、「この位置に手すりをつけると、入浴しやすいですよ」と具体的なアドバイスができます。また、
病棟のトイレや洗面コーナーの数が増えたのもうれしいですね。広さも充分で、訓練がしやすくなりました。
Plus顔写真4明村 確かに、トイレや洗面の自立訓練はとても充実したと思います。以前は狭くて、危険も伴ったため、こちらが手を貸すことも多かったんですが、リハビリは自ら行うのが大切。今ではご自分でできることを積極的に行っていただけるようになりました。私たちはそれをしっかり見守って、「上手にできるようになりましたね」と声をかけるように心がけています。
立松 自立を促す取り組みは、ベッドサイドでも行っています。病室が広くなったので訓練もしやすくなり、着替えや車椅子への移乗動作などの練習に力を入れています。身体機能の維持という以上に、ADL(日常生活動作)の向上をめざし、できるだけいろいろなことをご自分でできるようになって、おうちに帰っていただきたいと考えています。
榊原 それは、大変うれしい取り組みです。当院の柱の一つは、地域完結型医療のなかで、高度急性期病院と地域の診療所の間にあって、患者さまに在宅へ戻っていただく機能を担うことです。患者さまの自立度をできるだけ高めて、在宅復帰を促す機能を、病院としても強化していく考えです。

 

 

高齢化の進む
蟹江町が抱える深刻な課題。

IMG_8870明村 在宅に戻っていただく上で、ご家族も高齢のことが多く、とても大変だなと実感しています。退院後の生活を考え、ご家族に、車椅子への移乗介助などを覚えてもらっているんですが、70代、80代の方が四苦八苦しながら努力されている姿を見ると、なんだか辛くなりますね。
榊原 ここ蟹江町は高齢化が進んでいますから、老老介護が大変多いですね。それだけでなく、ご自宅に介護できる人がいないというケースも多々あります。当院でご自宅に帰っていただけるように精一杯頑張っていますが、社会に受け皿ができていない、という厳しい問題があります。
岩田 それは、非常に痛感するところですね。在宅療養を支える仕組みも未完成です。たとえ
ば、機能強化型訪問看護ステーション(24時間体制で看取りや重症患者を訪問する施設)など
は、まだ地域に整備されていません。在宅療養を支えるために、まずは当院が中心となり、早急に訪問看護ステーションを作らなくてはならないと思います。
榊原 訪問看護ステーションの開設は、私も優先すべき課題だと思います。今は在宅側のマン
パワーが充分に用意されていないところで、地域包括ケアシステム(※)を構築しようとして
いる状態です。私たちができることは、率先して取り組んでいかなくてはなりません。

※ 地域包括ケアシステムは、国が構築をめざす地域社会の仕組み。地域住民に、「医療・介護・予防・生活支援・住まい」の5つのサービスを一体的に提供し、高齢になっても住み慣れた町で暮らせるように支えていく体制である

 

 

私たちが先頭に立ち
安心できる地域を創造していく。

IMG_8807榊原 今後の課題として重要なのは、地域との連携強化です。行政や医師会と密接に連携しなくては、地域包括ケアシステムを実現することはできません。蟹江町唯一のケアミックス病院
という特徴を活かし、在宅療養中に急性増悪した患者さまを受け入れるなど、在宅医療を支えていきたいと思います。
岩田 在宅に関わる多職種と連携しつつ、当院で訪問看護師や介護職員を育て、地域へ送り出すような機能も必要だと思います。人材育成の仕組みづくりなど、これから取り組んでいきた
いことがいっぱいあります。
榊原 さらに、もう一歩踏み込んで、高齢者の健康管理にも取り組んでいきたいですね。高齢者が健康な状態を長く保ち、本人の望む人生を送れるように、当院が中心となって支援できれ
ば素晴らしいと思います。
IMG_8837岩田 新病院になり、健診センターや温泉歩行浴プールができましたから、大いに地域の皆さんに活用してほしいですね。
立松 リハビリテーション部としても、それは大きな課題です。温泉歩行浴をリハビリテーションのプログラムに取り入れたり、地域の方を対象にした「健康体操教室」なども企画していきたいと思います。
明村 私は、心のケアに力を入れていきたいと考えています。患者さまも介護されるご家族も、健やかに過ごせるように精神面を支えていきたいですね。
榊原 皆さん、頼もしい限りです。課題はいろいろありますが、職員の持てる力を結集して、高齢者が安心して楽しく暮らせるような町づくり、病院づくりをめざしていきましょう。これからも頼みますよ。

 

 


 

column

コラム

●病院の敷地に入ると、温泉の香りがほのかに漂う尾張温泉かにえ病院。同院はもともと、「温泉療法を利用したリハビリテーション医療を提供する」という斬新な発想で作られた病院である。同院が引き込んでいる尾張温泉は、愛知県下で唯一、日本温泉療法医会名湯百選に選ばれた、治癒効果の高い泉質。リウマチ性疾患、運動機能障害、神経痛などの効能がうたわれている。

●さらに、同院の移転先は尾張温泉観光ホテル跡地で、隣地には温泉宿泊施設や足湯どころもある。この恵まれた立地条件を活かし、同法人の真野寿雄理事長が構想するのが、温泉と医療を軸とした健康増進の地域コミュニティづくりである。地域の人たちが気軽に温泉や病院を利用し、相互交流や健康増進を図る。そんなふれあいの拠点づくりを将来ビジョンに描き、地域とともに発展をめざしている。

 

backstage

バックステージ

●団塊の世代が75歳を超える2025年に向けて、国は今、地域包括ケアシステムの実現を急いでいる。だがしかし、地域には医療や介護に関わるマンパワーは完全には用意されておらず、具体的な仕組みづくりもこれからの課題である。たとえば、病院において患者を在宅に戻すためにできる限りの医療を提供しても、そもそも患者が戻れる場所(施設も含めて)がなくては、その努力は報われない。

●現在はまだ、地域の準備ができていないところに、地域包括ケアシステムというフレームだけができあがっている状態なのである。数多くの矛盾や葛藤を抱えながらも、地域医療の最前線では、高齢者が病気になっても安心して暮らせる地域を実現するために粘り強い努力を続けている。そのことを地域住民一人ひとりが理解し、自らのこととして、一緒になってこれからの地域医療を創造していく意識を持つことが重要なのではないだろうか。

 


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