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地域の中を循環させながら医師を育てる必要性。

 地域医療体制と医師教育は、実は一枚のコインの裏表の関係にある。地域医療体制は、一つの医療機関で診断から経過観察までを行っていた「病院完結型」から、地域の複数の医療機関が役割分担して、一人の患者を診る「地域完結型」へ転換することが求められている。
 同じように医師教育も、従来は一つの臨床研修病院の中で大部分が完結していた。そうではなく、地域にある〈治す病院〉と〈治し支える病院〉が協力して人を育てる、地域完結型の教育体制に転換すれば、若い医師が地域内で循環するようになる。そうなれば、循環する医師たちが地域連携のパイプを繋ぐ役目を担い、地域完結型医療体制を進展させ、さらに、その先にある地域包括ケアシステムの構築にも貢献するのではないだろうか。
 地域の中を循環しながら医師が育っていく。その新しい教育のロールモデルは、本編で取り上げた地域枠医師ではなかろうか。東海三県において地域枠医師たちが赴任先病院で本格的に活躍するのは、いよいよこれからだ。その赴任先については、専門家の間で検討されるというが、公立・民間など設立母体に関係なく検討されることが望ましいだろう。たとえば、民間病院の中には、公共性の高い医療を提供する「社会医療法人」も存在し、自治体病院と同じように地域医療でなくてはならない責務を果たしている。医療機関は経営母体に関係なく、すべからく〈公〉である。その観点に立ち、より幅広い候補の病院から地域枠医師の赴任先を検討し、地域の中で医師を適正に配置し、地域全体が一致団結して若い医師を育てていくことが大切ではないだろうか。

 


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