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病院を知ろう

地域の求むるに応え、
地域に足らざるを補う。
八千代のスーパーケアミックス、
次のステージへ。

 

 

八千代病院


世界に認められたスーパーケアミックス。
これからは高齢者が<豊かに生きるお手伝い>をめざし、
さらなる挑戦を続ける。

main

社会医療法人 財団新和会 八千代病院。医療費の圧縮、効率的医療提供が叫ばれる時代にあって、24時間365日の二次救急医療を提供する一方で、病気や怪我の回復の時間軸に沿って、異なる種類の病棟を整備(ケアミックス)。加えて、在宅医療を受ける療養者の支援体制まで整えている。
その八千代病院が、世界の評価を得た。その意味は、そしてこれからは…。理事長の松本隆利医師に聞く。

 

 

 

 

 

国際病院連盟賞
優秀賞を受賞。

27042b 「タカトシ マツモト プレジデント!」 その名が会場一杯に響き渡る。ステージ中央に歩み出たのは松本隆利(社会医療法人 財団新和会 八千代病院 理事長)。クリスタルの表彰楯を受け取り、会場からの拍手に微笑みを返した。平成27年10月6日、アメリカ・シカゴで開かれた、国際病院連盟主催 第39回世界病院会議オープニング・セレモニーでのワンシーンだ。
 国際病院連盟とは、昭和4年に設立した国際病院協会を前身とする、医療関連組織の世界的な団体である。<人々が適切に管理された病院や医療サービスを利用でき、すべての個人が健康を最大限に謳歌できる、健康なコミュニティからなる世界をめざす>ことをビジョンに掲げる。日本からは、国内にあるいくつかの病院団体のなかで唯一、日本病院会が加入。昭和40年からは常任理事国として活動する。
 国際病院連盟賞は、今年新たに創設された賞だ。世界中のヘルスケアで、革新的で優れた活動・取り組みにおいて、顕著な功績をあげた病院・施設を表彰する。世界19カ国から105件の応募があり、そのなかから八千代病院が、国際病院連盟賞優秀賞<医療分野におけるリーダーシップとマネジメント部門>を、見事受賞したのである。
 受賞対象となった取り組みは、<救急・急性期医療から在宅ケアまで、切れ目のない医療を提供するスーパーケアミックス>の実践。日本国内の医療関係者から<八千代病院の奇跡>と称されてきた、同院のあり方そのものが、はっきりと世界に認められたのである。

 

 

マインドと
マーケティング能力。

  スーパーケアミックス。
 八千代病院の奇跡。
260208 その言葉には、地域医療に対する同院の考え方、実践能力と、その完遂が、今日の医療情勢において、いかに難しいかが込められている。人員配置や施設基準が異なる事業を展開することは、病院経営という視点では、決して効率的とはいえない。だからこそ前述の二つの言葉が生まれるのだが、その鍵を握るのは、同院ならではのマインドとマーケティング能力である。
 同院のマインド、それは地域医療の最適化だ。松本は語る。「今日の医療は地域連携の時代です。病院、診療所、在宅サービス事業所などが、役割分担をした上で手を繋ぎます。となると、どこでも自分の得意領域を絞り込み、磨きをかける。もちろんそれは、ある領域での質の向上に結びつきますが、問題は、地域全体で見たとき穴が空かないかどうか。穴が空いて困るのは、患者さんなんです。だったら誰かが穴を埋める必要がある。何が地域に足らないか。何を患者さんは求めているか。つまり、補うことと応えること。地域医療の最適化を、当院は第一義に考えています」。
 また同院のマーケティング能力、それは地域の必要性への視点だ。松本は語る。「安城市を中心とした診療圏で、救命救急といえば安城更生病院さんです。更生病院さんでしか診られない患260304者さんは、何としても受けていただかないといけない。そのためには、どの病院も更生病院さんの機能を守るという発想が必要です。そして、セカンドソース(代替機能)として、自院で可能な診断・治療機能を高める。つまりは、地域全体で協働してこそ、地域のニーズに応えることができると、当院は考えます」。
 マインドとマーケティング能力が織り重なって、国際病院連盟賞優秀賞受賞に繋がった。

 

 

大変革期にある
わが国の医療。

 260325これまでわが国の医療は、<治す>ことが最優先されてきた。対象となる患者の中心は青壮年。より迅速に、より的確に、社会復帰へと繋げるための根本的治療である。だが今後は、これまでのボリュームゾーンであった団塊の世代が、後期高齢者(75歳以上)となっていく。それに伴い、高齢者に向けた医療や介護の需要が急増すると予測され、国としていかに対応するかが大きな問題となっている。
 高齢者医療の特徴は、一つの病気を、短期間で治すだけでは終わらないことだ。複数の慢性疾患を抱えた上で、さらにどこかが悪くなる。そのなかには、メタボリックシンドロームや糖尿病など、長期に亘りコントロールを要する症状や疾患、そして、根治が困難な病気もあり得る。
 そうした時代を間近に迎えた今、わが国の医療は大きな変革期にある。そこで求められる医療は、<治す>ことと<支える>こと。根治困難なケースも含め、<病気と共存しながら、その人らしい質の高い生活>をサポートする医療なのである。

 

 

豊かに生きる
お手伝い。

 八千代病院のスーパーケアミックスは、一度に作られたものではない。「常に地域との対話を重ね、社会の動きを見つめ、進化させてきたのです」と松本は言う。ということは、現在もスーパーケアミックスは変化しているのだろうか?「もちろんです。当院はいつもオンゴーイング、今まさに進行中。良いかどうかの結論は、地域の声を聞きます」。Unknown
 では今、八千代病院が見つめているのは何か。それは、<高齢者が豊かに生きるためのお手伝い>である。
 松本は語る。「誰だって、何歳になっても歩く、食べる、喋るといったことは、人間らしさの原点であり、大切で楽しいことだと思います。それは日常的な生活動作が自分でできる、という意味だけではなく、心のなかのエモーショナル(感情的で、情緒的なさま)な面が、260112活き活きとしてこそ成り立つもの。そのためのお手伝いをしたいと考えています」。第一歩として、趣味などの作業に重点を置いたリハビリデイサービス(詳細はコラム参照)をすでに開始したという。
 また一方で、「豊かに生きるには、それに見合った生活の場が必要」だと話す松本。「介護付き高齢者住宅は増えてはいますが、その多くが高額です。そうではなく、普通の人が安心して暮らすことができるところが必要です。私が構成員を務める厚生労働省の<療養病床の在り方等に関する検討会>でも、これからの慢性期・在宅医療を考える上で、高齢者の受け皿としてどのような形態が必要なのかが議論されています。当院も、国の方向性や地域のニーズを鑑みながら、この地域にあった形態を模索中です」。
 260104八千代病院は、実にしなやかだ。救急・急性期医療に対しては、高質な医療水準への挑戦を続け、その後の回復期や療養期では、在宅復帰への確かな道筋をつける。そして、在宅支援では患者と家族を見つめる目が温かい。そして今、次の一手として、病気の治し方、予防、さらには、人としての生き方や生活へと挑戦が続く。根底にあるのは、あくまでも地域を見つめ、地域と対話し、医療から地域の生活を守り続けるという使命感といえよう。

 


 

column

コラム

●平成27年9月に開設された<八千代リハビリデイサービス彩(いろどり)>は、生活にフォーカスし、家事や趣味などの作業に重点を置いたサービスの提供をしている。

●基本的には、利用者がやりたい作業を自分で行う。木工や手芸など、作品づくりを行うクリエイティブ、最新のトレーニング機器で体力づくりをするトレーニング、炊事・洗濯・掃除などの日常生活に即したハウスワーク、そして、珈琲やマッサージチェアでくつろぐリラクゼーションの4つのゾーンに分かれ、作業や運動を行う。

●目的は、自分の能力を活かす、誰かに喜んでもらうといった、利用者の希望を満たすこと。生活に不可欠な作業に留まらず、社会生活に必要な作業、生活を豊かにする作業を通して、高齢者の生きる活力を引き出し、心と暮らし、未来に彩を添えていくことである。

●もちろん、リハビリ専門職や看護師などが常駐。八千代病院と連携した切れ目のないケアを提供している。

 

backstage

バックステージ

●「八千代病院のスーパーケアミックスは結果であって、決して目的ではない」と松本隆利理事長は言う。地域に、介護や福祉と繋がった医療が満たされていれば、同院が行う必要はなく、あくまでも地域のニーズに合わせた形態を考えた上で、誕生したスタイルなのだ。

●そこで貫かれているのは、どれだけ時代や社会が変わろうとも、医療は国民のものであり、それを提供する医療従事者にとって、プライドを持ってできるものでなければならないという考え方である。

●だからこそ、<地域医療の最適化>という発想が生まれるのであり、地域の必要性を見つめ、地域との協働で成し得るものという思いに結びつく。

●地域完結型医療にも、地域包括ケアシステムにも、早くから先見の明を持って対応してきた八千代病院。豊かに生きるお手伝いという新たな挑戦が、今後どれだけ高められていくのか。リンクトはその歩みを見つめていきたい。

 


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