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司令塔なき政策は、迷路に陥る。

松尾先生
松尾清一 氏 

昭和56年名大医学部大学院修了後、名大医学部助手、講師を経て、平成14年大学院医学研究科教授。同19年名大医学部附属病院院長。同21年名大副総長。また、同年には公立病院等地域医療連携のための有識者会議の座長を務める。平成27年4月、名大総長に就任。



 国が示している将来の医療の形と、地域が目指す将来像、そして現実の医療、この3者のギャップを埋めるために、医療関係者や地域のステークホルダーの間で意見が交わされ、議論が行われています。
 私は、議論の基本として、二つの段階が必要と考えます。第一段階は、地域ごとのグランドデザイン設計。そこで肝要なのは、議論に参加するメンバーが、地域の医療をより良いものにするという、高い志であると思います。国が求める枠組みは十分理解し検討しながら、一方で地域の実情を正確に理解した上で、本当に地域に必要な医療の形を設計する意志です。利害調整であってはなりません。第二段階は、設計図に基づいての具体化。ここでは利害の対立を前向きに調整する力が大切です。個々の病院・医療機関は設計図に合意はしても、それぞれに病院経営の事情があります。それを丁寧に聞き、主張と妥協を統合し、微修正しながら現実に合わせなければなりません。
 二つの段階を強力に推し進めるには、地域ごとに、誰もが納得する司令塔が不可欠です。それは、もちろん医師だけでは機能できません。すべての政策との連動、関係者の協力、住民の理解などが必要なことを考えると、一定の権限が必要だからです。そのためには、行政のリーダーシップが重要になります。
 こういった形で、最終的には、地域ごとの司令塔が県単位で集まり、県全体の医療の形成がなされるものと考えます。果たして、東海三県の地域医療構想策定は、本当に進んでいるのでしょうか? 私は期待と疑問が入り交じった気持ちで見ています。




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