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医療と生活を繋ぐ、
パイオニアたち。

 

 

牧野みどり(訪問看護ステーション 明陽苑)/成田記念病院


病院と在宅を繋ぎ、
退院後の療養生活を
ずっと支えていく。

main成田記念病院に併設された、訪問看護ステーション明陽苑。
ここでは、訪問看護師8名と理学療法士1名が所属し、成田記念病院をはじめ地域の病院を退院し、在宅で療養を続ける患者の医学的な管理と日常生活の支援に全力を注いでいる。同ステーションに長く勤務し、日々、訪問看護に奔走する牧野みどり看護師の活動を取材した。

 

 

 

 

 

在宅の現場について理解されないジレンマ。
困難を乗り越えて、今、病院と在宅の距離が縮まりつつある。

 Plus顔写真 訪問看護ステーション明陽苑に勤める牧野みどり看護師は、前職を含め、訪問看護師になって14年というベテランスタッフである。その長い歩みのなかで、訪問看護の仕事に変化はあったのだろうか。
 「やはり以前は、在宅医療の現場について、医療関係者の間でもあまり理解されておらず、苦労することが多かったですね。たとえば、入院中に退院後の居住環境に応じた生活の準備や介護の指導などが行われず、<退院してからご家族が途方に暮れる>こともよくありました。また、高齢の方は体調を崩しやすいのですが、容態が急変しても、退院前にお世話になっていた病院は、なかなか緊急入院を受け入れてくれません。在宅のかかりつけ医も夜間帯は連絡がとれず、いよいよ八方塞がりの状況になって、結局、私が家族に代わって、救急車を呼ぶこともありました」。訪問看護師からすれば、患者が入院していPlus顔写真2た病院と情報共有しながら、在宅療養を継続的に支えていきたい気持ちがある。しかし以前は、「その期待に応えてくれる病院は少なかった」と牧野は言う。
 ところが、ここに来て、在宅医療の重要性が認識されるようになり、病院と在宅医療を結ぶ連携の流れが出てきた。とくに、同じ法人内にある成田記念病院と同ステーションの間には、以前より強固な連携体制が築かれつつあるという。「3年前(平成25年)、法人の組織変更で、訪問看護ステーションが成田記念病院の看護部の傘下に入り、病院と在宅を担う看護体制が一本化されました。同時に、ステーションのトップに瀧澤恵美子所長が就任し、強力に病院と在宅の連携を推し進めてくださったことが大きいですね」と牧野は振り返る。
 瀧澤は所長就任と同時に、「病院と在宅を繋ぐことが、自分の使命」と考え、毎日のように成田記念病院の院内を歩きまわり、退院予定患者の情報を早期に把握し、訪問看護へ繋ぐ仕組み作りを推進。また、在宅療養中の患者の情報を随722069時、病院サイドにフィードバックするなどして、お互いの情報共有に努めてきた。さらに、看護部が進める、病棟看護師と訪問看護師の相互乗り入れ型の研修にも、積極的に関わってきた。そうした諸々の活動が実を結び、「今はすごく動きやすいですね」と牧野は笑みを浮かべる。「療養中の患者さんについて病院の先生に相談したいときも、連絡すればすぐ対応していただけますし、風通しが良くなりました」。

ボックス(シアワセ)

 

 

 

将来的には退院支援・調整の仕事に携わり、
病院の内側から在宅療養を支援したい。

722024 そもそも牧野が訪問看護の世界に飛び込んだのは、ある急性期病院を結婚退職したことが契機だった。訪問看護師として最初に入職したのは、町のクリニック。そこで、牧野は病院と在宅の看護の違いにカルチャーショックを受ける。「急性期病院では医療的な処置が中心で、時間に追われていました。でも在宅では、患者さん、ご家族と濃密な人間関係を築きながら、生活全般を援助できる。これこそ求めていた看護だ、と思いました」。牧野が力を入れるのは<患者がどうすれば、自立して生活できるか>という視点だ。「周囲が援助しすぎると患者さんは自主性を失うので、自分で身の回りのことができるように、いろいろ考えて助言します。その成果は訪問するたびに見えますし、とても達成感がありますね」。
 最後に、牧野に今後のビジョンを聞いたところ、意外な言葉が返ってきた。「実はもう一度、病院に戻りたいと考えているんです」。牧野がめざすの722020は、成田記念病院での退院支援・調整だ。「最近は早期退院が当たり前になり、点滴をつけたまま退院したり、新しく腹膜透析(在宅で行う透析療法)を始める方も増えています。そうした重度の医療管理が必要な場合でも、安心して生活の場に戻れるように、訪問看護で培った経験を活かした助言や介護指導をしていきたいと考えています」。その新しい挑戦に向けて、牧野は今年中にケアマネジャー(介護支援専門員)の資格も取得する計画だ。「看護だけでなく、介護サービスにも精通し、患者さんやご家族のご相談に幅広く応えていきたいですね」。
 在宅の現場を熟知した牧野が加われば、同院の退院支援・調整機能がパワーアップすることは間違いない。病院と在宅、医療と生活を結ぶために、牧野は自らの活動領域を果敢に広げていく。

 

 

 


 

 

columnコラム

●豊橋市に根を下ろし、急性期から回復期、在宅までをシームレスに繋ぐ、社会医療法人 明陽会。法人内には、地域密着型の急性期病院<成田記念病院>をはじめ、回復期リハビリテーションを担う<第二成田記念病院>、人工透析などを行う<明陽クリニック>、さらに、老人保健施設や地域包括支援センター、訪問看護ステーション、訪問介護ステーション、健康管理センターなど、多彩な機能を備えている。

●国は今、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスを包括的に提供する地域包括ケアシステムの構築を進めている。明陽会が展開する複合的な医療・介護・福祉機能は、まさに地域包括ケアシステムの実現に必要不可欠なものといえるだろう。医療から在宅まで裾野を広げる組織力を活かし、明陽会は超高齢社会の地域医療をしっかり守っていこうとしている。

 

backstage

バックステージ

これからの病院に必要な
<在宅療養支援>機能。


●病院と在宅の連携体制は整いつつある。とはいえ、病院サイドの在宅療養支援は、まだ不充分なところもある。その一つが、療養患者の入院の受け入れだ。牧野看護師が言うように、在宅療養中は、しばしば患者の容態が急変して入院が必要になる。また、それだけでなく、介護する家族が病気やケガをしたり、外泊の用事ができて、数日間、介護できないケースもでてくる。

●こうしたさまざまな事情を勘案し、フレキシブルに入院を受け入れる病棟として、平成26年に新設されたのが地域包括ケア病棟である。ここでは、在宅療養中の入院の受け入れとともに、急性期治療を終えた患者の在宅復帰を支援する機能を担う。「地域に、もっと地域包括ケア病棟が増えれば、非常にありがたいですね。いざというときに頼れる病院があれば、患者さんもご家族も心強いですし、私たちも安心して療養生活を支えられます」と牧野看護師は期待を寄せる。

 

 


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