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患者にとっての
「最善」を追う。

 

 

名古屋医療センター


内科医と外科医の智慧を集め、
患者に寄り添い
最善の治療法を導き出す。

main

がん診療連携拠点病院として、地域のがん診療をリードする、国立病院機構(NHO)名古屋医療センター。
ここでは、多様ながんに対し、手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療を展開している。
今回は消化器領域にスポットを当て、がん患者の<最善>を追求する医師たちの思いをリポートする。

 

 

 

 

 


最適・最良の治療の上に、最善の治療法を求めて、
内科医と外科医が議論を交わす。

1019名古屋医療センター1¥0A8A6660 治療を形容するとき、「最良の治療」「最適な治療」「最善の治療」といった表現がされる。それぞれは似ているが、微妙にニュアンスが異なる。最良の治療は、最新の医学的知識に立脚したベストな治療。最適な治療は、患者の疾患や年齢などの条件に最も適した治療。では、最善な治療とは何か。それは、最良・最適の観点から治療法を絞った上で、患者の希望を取り入れ、患者本人が心から納得できる治療法を指すのではないだろうか。
 名古屋医療センターの消化器内科と消化器外科は、がんにおける最善の治療を求めて、毎週1回、合同カンファレンスを開いている。内視鏡による治療(口や肛門から内視鏡を入れて行う治療)か手術か、それとも抗がん剤、放射線療法を組み合わせるか。ときには、内科医と外科医の視点がぶつかり、侃々諤々の議論になることもあるという。
1019名古屋医療センター1¥0A8A6679 内科医と外科医の違いはどこにあるのか。消化器内科の医長、島田昌明医師は次のように話す。「<最善の追求>は同じですが、思考の入口が違うかもしれません。私たち内科医は、患者さんの全身状態や生活から、総合的に治療法を探ります。たとえば、スポーツなどの趣味を持つ進行がんの患者さんに対しては、どういう治療法を選べば、好きな趣味を続けられるかを考えていきます」。同じく消化器内科の龍華庸光医師は、「我々内科医は、早期がんであれば、できるだけ体に負担の少ない内視鏡治療でがんを切除したいと考えます。もちろん、取り残しの心配があれば手術を行うべきです。その難しい判断をめぐり、外科の先生と意見交換しています」。その言葉にうなずき、消化器外科の医長、片岡政人医師は次のように語る。「私たち外科医は、根治性を最優先に治療法を考えています。内視鏡治療で切除できないときは手術が必要ですし、手術においても、第一選択として腹腔鏡下手術(お腹に複数の小さな穴を開けて行う手術)を考えますが、がんを取り切れないと判断すれば、迷わず開腹手術を選択します」。
 患者一人ひとりの身体的・生活的条件を重視する内科医。根治性を第一に追求する外科医。両者の異なる視点が交錯することで、議論は深みを増し、相乗効果を生む。そこで到達した治療法に患者の希望を取り込むことで、<最善の治療>が決定するのである。

ボックス(知ろう)1

 

 

日々進歩を遂げ多様化するがん診療。
最先端の医療をトータルに提供する実力。

 1019名古屋医療センター1¥0A8A6598 同院が内科と外科の議論を重視する背景には、がん医療の進歩と治療法の多様化がある。かつて、がんの治療は<内科医が診断し、外科医が切る>というシンプルな流れだった。しかし、今は違う。外科医が<メス>という武器を持つのと同じように、内科医は<内視鏡>という武器を手に入れた。さらに、有効な抗がん剤や副作用を抑える支持療法も次々と開発され、放射線治療も急速に進歩。がんと立ち向かう有効な治療法が多岐にわたり発達してきたのである。
1019名古屋医療センター2¥IMG_4419 「内視鏡では、診断能力が飛躍的に向上し、がん病変の深さ、広がりを正しく診断して治療できるようになりました。早期胃がんであれば、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という方法で、病変を確実に切除できます」と龍華医師は言う。一方の消化器外科も、治療法の進歩はめざましい。「傷跡も出血量も少なくできる腹腔鏡下手術が大きく進化しており、当科も積極的に取り組んでいます。そのほか、開腹手術においても、肛門を可能な限り温存する大腸がん手術や、難度の高い肝臓・胆のう・膵臓がんの手術について、豊富な実績を重ねています」と片岡医師は話す。
 さらに、こうした高度専門的診療能力の充実に加え、同院では、がん患者の体や心の痛みを和らげる緩和ケアや、通院での抗がん剤治療を支える外来化学療法室、がん患者の相談に幅広く応える相談支援センターなどを整備。病院全体でがん患者を支える分厚い体制を築き、その総合力で、<最善>の医療の提供をめざしているのだ。
 最後に、今後の展望を島田医師に聞いた。「昨今は退院後、日常生活を送りながら、がんの治療を続ける人が増えています。したがって、がんの治療は当院だけで完結しません。在宅でがんと共に生きる人々を支えるために、地域との連携を深めながら、<最善>のがん治療を広げていきたいと考えています」。

ボックス(知ろう)2

 

column

コラム

●最先端のがん治療を提供する名古屋医療センター。そのバックボーンにあたるのが、同じ敷地内にある臨床研究センターの存在である。ここでは、臨床研究事業部を設置し、シーズ(研究の種)探索・企画から薬事承認やエビデンス(科学的根拠)創出に至るまで、一気通貫で研究の実施・支援を行っている。

●同院の臨床研究の強みは、NHO143病院(約5万2000床)のネットワークである。多領域にわたる医師たちが、専門領域ごとに研究グループを結成。NHOのスケールメリットを活かし、治験(新薬の承認を得るために、その有効性や安全性を確認する試験)においても多くの患者の協力を得て、迅速な臨床研究を推進している。

●その一つ、消化器領域では、がん治療の研究のほか、ウイルス肝炎などの肝臓疾患の研究などを展開している。名古屋医療センターでは、そうしたさまざまな研究を通じて得られる最新の知見を日々の診療に活かしながら、最先端の医療を患者に提供している。

 

backstage

バックステージ

がんと共存する時代に
ふさわしい患者の<最善>を。


●かつては<不治の病>といわれたがん。しかし今では、早期発見・診断の技術や治療技術の進歩により、治療を続けながら<がんと共存>できる時代になった。そこで重要なのが、患者のQOL(生活の質)の維持・向上を考えて、<最善の治療法>を選択することだ。

●たとえば、進行がんの場合、必ずしも手術に挑む必要はない。その他の治療法(放射線療法や抗がん剤)で、症状をコントロールしながら<がんと共に生きる>道を選ぶことも可能となり、選択肢は大きく広がっている。

●そのことは、逆にいうと、最善の治療法に対する答えは一つではないことを意味している。だからこそ、名古屋医療センターの医師たちは、悩み、迷い、大勢で議論を尽くす。その真摯な姿勢から生まれる治療こそが、患者に<最善の利益>をもたらしているといえるだろう。

 


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