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文化を守り高める
新たなERの創生。

 

 

大垣市民病院


地域密着型救急と、
高度な専門性の追究。
2つの融合に挑戦する。

main

全診療科を挙げて、地域の救急医療を守り続ける大垣市民病院。
さらなる高度化と安定化をめざし、
若き救命救急センター医長・坪井重樹が、
教育を軸に新たな救急システム構築をめざす。

 

 

 

 

 

救急患者と各科専門医、その間にER医が入る北米型ERシステム。
新たな教育体系による研修医指導にも注力。

IMG_1291 大垣市民病院には2つの文化がある。一つは、<一次(軽症)から二次(中等症)三次(重症)まで、地域密着型の救急>。もう一つは、<各科専門医がその専門性を極める>。
 この2つが一体となり、各科専門医の多大なる協力のもと、同院は救急医療を守り続けてきた。但し、唯一の弱点は、救急システムにあった。研修医を中心に救急患者を受け入れ、重症度を問わず各科専門医をすぐに呼び出し、診療を委ねていたのだ。そのため、各科専門医たちの負担は大きく、無理を重ねた状態であった。
 そうした同院に、平成24年、一人の救急専門医が赴任した。坪井重樹医師である。彼は、東海地方初の救命救急センターであり、救急のメッカと称される名古屋掖済会病院で、北米型ER医とし1007大垣市民病院¥0A8A6344て5年間勤務してきた。北米型ERとは、<救急専門医が専従し、一次から三次まで、すべての救急患者の初期診療を行い、必要に応じて各科の専門医に引き継ぐ>救急システム。彼は救急専門医資格を有するER医として、総合診療能力を磨き、ERシステムをも学んできたのだ。
 坪井は言う。「地域密着型の救急で、後ろに高水準の各科専門医集団がいる当院には、まさに北米型ERがふさわしいと思いました。ER医が救急患者さんと専門医の間に入ることで、より的確に、患者さんに必要な医療と、各科専門医の力を結びつけることができます」。とはいえ、ER医は自分一人。研修医を活用し、死に物狂いで一日約130名の救急患者に対応。一方で、センターでの研修医教育の見直しを図った。まず現場での実務を通した指導に加え、頻度の高い疾患や外傷の標準的な診療方法を講義形式で教えた。その回数は年間50回にも及ぶ。「最初にめざしたのは、研修医全体の緊急性判断能力の向上です。それによって各科専門医は、本当に必要なときだけセンターに駆けつければよいことになります」(坪井)。
 その上で、次には研修医の総合診療能力(診断と初期治療能力)の向上をめざし、シミュレーション形式の教育にも取り組んだ。これに1007大垣市民病院¥0A8A6412よって従来は見よう見まねで受け継がれてきた「救急医療」の標準化を行った。「緊急性だけで各科に繋ぐのでは、単なる便利屋です。もっと病気に踏み込んで、診断をする。初期治療を行う。患者さんの病歴などの情報を固める。それができなければ、ER医とはいえません。全科協力体制を軸に、当院の救急機能を高めるためにも、不可欠な要素です」と坪井は言う。

ボックス1(知ろう)

 

 

これまではERの基盤を作った期間。
これからは、ERのさらなる充実をめざす道程。

 1007大垣市民病院¥0A8A6361 大垣市民病院は、西濃医療圏で唯一の高度急性期病院である。大垣市内はもちろん、滋賀県や三重県からの患者も多い。そうした立ち位置とともに、同医療圏には二次救急を担える病院が少ないことから、本来は重症の救急患者を対象とする救命救急センターの指定を受けながらも、同院はすべての救急患者を受け入れ、西濃医療圏の救急医療を支え続けてきたのだ。
 地域を見つめた救急を、さらに機能アップさせるための同院の北米型ERづくりが進むなか、平成27年4月には坪井は救命救急センター医長に就任。そして、5年目の現在、センター専従医が3名増えた。そのなかには外科系専門医を一旦はめざすものの、坪井の姿勢や活動を見つめ、救急科に方向転換した医師もいる。ERに対して坪井と同じ認識を持つ診療体制の基礎が固まったのだ。
 そうした今、坪井が見つめるものは何か。「総合診療に留まらず、重症外傷や各科の狭間にある重症患者さんへの初期治療にも対応していきたいですね。特に重症外傷は、初期治療がとても大事。外科系出身の医師を活かし、僕たちが少しでも初期治療を進め、駆けつけてきた専門医に繋いでいきたいと考えます」。そこには、ERの充実が、各科専門医のさらなる専門性追究に繋がるという、2つの文化を見つめる坪井の思いがある。
 最後に彼の目標を聞いた。「僕は岐阜県出身ですから岐阜県の医療を良くしたい。でも岐阜県に1007大垣市民病院¥0A8A6446はER医を育てる病院がありません。だからこそ、救急を一番多く受け入れ、且つ、高い医療能力を有する当院を、<ER医を育てる病院>にしていきたいと考えています」と坪井は言い、こう続けた。「でも、ER医だけでは北米型ERは成立しません。<救急に理解のある各科専門医>が不可欠。ER医にならなくても、まさに当院にいる救急への使命感を持つ各科専門医のように、さまざまな病院で活躍してほしいと思います」。

ボックス2(知ろう)

 

column

コラム

●救命救急センターの多くは、センターを<ER>と称する。但し、「一次から三次まで、すべての救急患者を受け入れているから、ER」とする病院が多く、実質的には、各診療科医師が当番、当直となり研修医を活用して救急を受け、そこから各専門診療科へと引き継ぐ。

●本来の<北米型ER>は、単に一次から三次までの患者を受け入れるものではない。専従のER医が研修医を活用し、救急搬送患者、独歩の救急患者のすべてを診察、診断し、ふさわしい専門治療に繋ぎつつ、必要に応じて初期治療も担うものだ。

●一方で、救命救急センターのなかには、その機能に規定されているとおり、三次の重症患者だけを受け入れる病院もある。そこでは専門医に繋ぐことなく救急医が治療を行う。

●そうしたなかで大垣市民病院がめざすのは、本当の北米型ERとしての救命救急センター。それこそが大垣、そして岐阜という地域特性に最適と考えている。

 

backstage

バックステージ

各科と融合したERづくりが、
2つの文化をさらに高める。


●<診療>には、診察・検査・診断・治療が含まれる。<北米型ER>システムでは、そのうち診察・診断を重点的に担う。それに対して、坪井医師は、初期段階の治療も行うことができるセンターをめざしている。その理由は本文でも記したとおり、重症外傷での初期治療の重要性と、もう一つは、大垣市民病院の救急患者、一般患者の多さがある。すなわち、各科専門医がセンターに駆けつけるまで、どうしても時間が必要という際には、センターの医師が初動を担うことで、患者を救うことに繋げたいとする強い思いである。

●そこには、各科協力体制を崩すことなく、自分たちが乗り入れる領域を広げることによって、各科ともっと融合したERであろうとする、坪井医師の覚悟がある。

●地域密着型救急、さらなる専門性の追究という2つの文化に、ER医が加わり、大垣市民病院は、さらなる進化へと向かっている。

 


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