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がんの根治と
機能温存の追求。

 

 

愛知県がんセンター 中央病院


希少な頭頸部がんに
対応し、最先端の
医療を提供する。

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頭頸部がんとは、顔から首にかけて発症するがんの総称。
頭頸部がんが全がんに占める割合は約4%と極めて少なく、そのため、
この領域で充分な診療体制を整えている病院は全国でも数が少ない。
愛知県がんセンター 中央病院はその限られた病院の一つとして、先進的な医療を提供している。

 

 

 

 

 

体に負担の少ない低侵襲手術から高度な再建手術、
放射線や化学療法まで多彩な治療を提供。

 1121_1122ガンセンター¥0A8A7268がん治療には時に、<根治(完全に治す)>と<機能温存>という二律背反する問題が立ちはだかる。機能温存に主眼を置き、必要な手術を行わなければ、根治性を確保できない。逆に、根治のため、がんを大きく切除すれば、その部分の身体機能を温存できなくなる。特に頭頸部には、耳、鼻、喉、口、あごがあり、呼吸や食事(噛む・飲み込む)、発声など、生命を維持し、生活する上で欠かせない機能が集中している。手術でがんを摘出すれば、かつては、<話す、食べる>といった機能はあきらめなければならないこともあった。それが、従来の頭頸部がん治療の常識だった。
 Plus顔写真1しかし、ここに来て、その常識は大きく変わりつつある。根治を追求しつつ、機能温存も両立できる治療法が生まれてきたのだ。代表的な頭頸部がんである、喉のがん(咽頭がん・喉頭がん)を例に、愛知県がんセンター 中央病院 頭頸部外科部部長の長谷川泰久副院長に話を聞いた。「早い段階で喉のがんが見つかれば、首を切開するのではなく、口の中からがんを切除できます。これは、胃がんの内視鏡治療と同じように、口から特殊な内視鏡機器を入れて行うものです。喉の奥の見えにくい部分をモニターに映し出し、がんを切除するので、首に大きな傷も残らず、飲み込みや発声の機能損失を必要最小限に抑えることができます」。
 一方、進行した喉のがんに対しては、放射線療法と化学療法の併用、もしくは首の外側から切開して大きくがんを切除する治療法が検討される。広範囲に切除Plus顔写真2する手術では、食事や発声の機能が損なわれるが、同センターでは体の他の部分の組織を移植する再建手術に力を入れ、機能損傷を最小限に食い止めている。その再建手術を担うのが、形成外科部だ。「切除と再建は、二つで一つの関係です。早い段階から頭頸部外科部と形成外科部が一緒になって、<どこまで切除し、どこまで再建できるか>を綿密に検討します。手術当日も、連携のなかで、切除から再建までスムーズに行い、患者さんの負担を最小限にできるよう努めています」と話すのは、形成外科部の兵藤伊久夫部長である。たとえば、咽頭がんの再建手術には、切除により欠損した部分に空腸(小腸の一部)を移植する方法もある。それにより、手術後も<食べる機能>を守ることができるのである。

ボックス1(知ろう)

 

 

常に最新の知見を取り入れた治療を患者に提供し、
さらにガイドラインの確立に貢献していく。

  前章で紹介した、喉のがんに対する基本的な治療方針は、比較的新しく確立されたものだという。たとえば、早期がんについては、以前は放射線治療が主流だった。「喉は放射線が効きやすい部位なので、放射線治療が第一選択でしたが、それに伴う口内炎や唾液分泌低下などの副作用が問0A8A7297題でした。今は咽喉頭表在がんに対して、放射線治療だけではなく、口の中からがんを正確に切除することで、術後の副作用や再発リスクも抑えられます。その前提として、診断技術が進歩し、高い精度でがんを早期発見できることも、治療成績の向上に繋がっています」と、長谷川は説明する。一方、進行した喉のがんに対しては、かつては広範囲を切除する外科的療法が基本だったが、放射線療法と化学療法の発達により、それらを組み合わせることで咽喉頭を保存しながら根治をめざせるようになってきた。また、前述したように、切除する場合でも、同時1121_1122ガンセンター¥0A8A7276に高度な再建手術を行うことで、できる限り機能の損傷を軽減できる。頭頸部外科部を中心に、形成外科部、放射線治療部、薬物療法部が集結。多領域の専門医の知識と技能を駆使することにより、<根治>と<機能温存>をバランス良く両立させることができるようになってきたのである。
 こうした医療の発展を踏まえ、長谷川はさらに今後の展望について次のように語る。「これからも、根治と機能温存の両立が第一の目標ですが、その上で、個別化治療に力を入れていきたいですね。同じ部位のがんでも、患者さんによって状態が異なります。個々のがんの状態に適した治療法を体系化し、頭頸部がんのガイドライン(標準治療)を確立していくことを目標に掲げています」。豊富な診療実績をベースに、新しい治療法の確立に挑む愛知県がんセンター 中央病院。頭頸部がん治療をリードする中核病院として、さらなる高みをめざしていく。

ボックス2(知ろう)

 

columnコラム

●頭頸部がんにおける再建手術の目的は、切除による喉や舌などの機能障害を最小限に抑えることだが、もう一つ、重要な目的がある。それは、ボディイメージの変容を抑えることである。頭頸部がん、特に顔の中心にある上あごや鼻に発症したがんの治療では、顔面の傷、変形、眼球の損失などを伴うこともあり、手術が成功しても社会生活に大きなハンディキャップを負うことになる。

●形成外科部の兵藤部長は「顔は最も目立つ場所だけに、整容面についてはいつも頭を悩ませます」と話す。「ノウハウが積み重なることで、新しい再建術や、再建材料の選択肢が出てきています。もちろん再建には限界がありますから、患者さんとより良い方法を一緒に考えていきます。再建手術で少しでもボディイメージが良くなり、患者さんが病気を受け入れ、前向きに社会生活を送っていただけるように、常に最善を尽くしています」。

 

backstage

バックステージ

頭頸部がんの治療に必要な
人と技術を集積する。


●発症頻度は低いものの、進行すると、手術が成功しても深刻な障害を残す頭頸部がん。愛知県がんセンター 中央病院はこの難しい領域において先進的で高度ながん治療を展開する、数少ない病院の一つである。

●同センターでは、頭頸部がんに対し、実に幅広い治療法を用意している。たとえば、早期がんに対する低侵襲手術、再発を防ぐための化学療法の併用。進行がんに対する放射線療法と化学療法、そしてがん切除+再建手術…など。頭頸部外科部が中心になり、形成外科部の精緻な再建術、放射線治療部の先進的な放射線治療、薬物療法部の最新抗がん剤治療をすべて集約することで、患者一人ひとりに最善の治療を提供しているのである。この頭頸部がんという希少がんに対し、ここまで集学的・総合的な治療を提供できるのは、「がん専門病院」ならではといえるのではないだろうか。

 


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