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地域が必要とする医療を
守り続けるために。

 

 

西尾市民病院


決して改革を諦めない。
禰宜田ビジョンは
さらに前を見つめる。

main

西尾市民病院は、禰宜田(ねぎた)政隆院長が打ち出した<禰宜田ビジョン>を核に、
病院改革を断行してきたが、その道のりは険しく、医師の増員計画も一進一退である。
そこに差し込む、一筋の希望の光。
それは、平成29年度の初期臨床研修医を3名獲得できたことだった。

 

 

 

 

 

禰宜田ビジョンがスタートして4年目。
病院再生の未来を見つめて必死に歩み続ける。

 西尾市は全国のなかでも、医療資源が極めて少ない地域である。人口10万人あたりの病床(入院ベッド)数は約535床で、全国平均(約1214床)の半数以下。人口10万人あたりの医師の数(病院・診療所の合計)は約109人で、こちらも全国平均(約244人)に遠く及ばない(平成27年9月現在。日本医師会・地域医療情報システムより)。そのなかで、西尾市民病院の常勤医数も47名(平成28年12月現在)と、絶対的な医師不足の状況が続い21028ている。
 この厳しい環境、険しい現実に立ち向かうべく、西尾市民病院は禰宜田ビジョンのもと、病院を挙げての改革を進めてきた。禰宜田ビジョンがめざしたのは、医師増員と病床フル稼動の実現により、地域に必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくことである。そのため、禰宜田はまず医師獲得に動いた。精力的に大学医局を訪問し、医師派遣を要請。その結果、外科や循環器内科の領域で優秀な医師を招聘し、乳がん・消化器系がん、循環器疾患などの治療体制を強化することができた。また、病床フル稼働をめざした取り組みとしては、急性期を対象としていた3階西病棟(48床)を地域包括ケア病棟に転換。近隣の高度急性期病院との連携を深め、それらの病院で治療を終えた患者を積極的に受け入れ、必要な継続医療を提供しつつ、在宅復帰を支援するという新しい病院の役割を担い始めた。
402076 病院の先頭に立ち、こうした改革を推し進める禰宜田。その背中を見て、職員たちの心も動いた。「少ない医師を助け、必要な医療を維持していくために自分たちができることは何だろうか」。看護師をはじめとしたコメディカルスタッフたちは、それぞれの持ち場で方策を練り、医師の負担を軽減する仕組みを作っていったのである。たとえば、少ない医師に重く負担がのしかかる救急現場では、看護師たちが率先して、患者の重症度を判定するトリアージを担うなど、医師の疲弊防止に取り組んでいる。このように各部門で少しずつ改革は進んでいる。だが、「禰宜田ビジョンの実現はまだまだ。改革は一進一退の状態」と禰宜田は溜息を漏らす。特に最も優先すべき医師増員については、一部の診療科で医師が増えても、また、別の診療科で欠員が出るなどして、病院全体の診療機能を高めるには至っていないのである。

ボックス(知ろう)1

 

 

研修医3名のフルマッチを達成。
宝物ともいえる人財を育て、さらなる病院改革に挑む。

 Plus顔写真 禰宜田は、現状を冷静に分析し、「職員の頑張りで前進したところもありますが、医師獲得など、私たちの努力だけでは力が及ばない部分もあることがわかってきました。今一度、この地域に必要な医療と自分たちの使命を見極め、禰宜田ビジョンを組み直さなくてはならない段階に来たのかもしれません」と話す。そのビジョン再構築の鍵として、禰宜田が期待を寄せるのが、研修医の存在である。同院は行政の強い支援もあり、平成29年度の初期臨床研修医募集で、3名のフルマッチ(研修医が定員数まで集まること)を達成したのだ。「従来、私たちは外部から医師を迎えることで診療機能の充実を図ってきましたが、それだけでは限界があります。外部からの人材確保だけに頼らず、この3人を育て、活かしていく。すなわち、内発的な人材育成にこそ、病院再生の突破口があるのではないかと考えています」と禰宜田は言う。
 そのために禰宜田が真っ先に取り組もうとしているのは、研修医教育の充実である。同院は急性期病棟と地域包括ケア病棟を備え、救急医療から急性期医療、患者を生活の場へ戻すために必要な医療までを幅広く展開している。研修医たちはそれらの医療を経験し、これからの医師に必要不可欠な<生活への目線、総合的な診療能力>を身につけることができる。同院ではその良さを活かし701078つつ、同院で学べない診療科については、近隣の高度急性期病院での院外研修プログラムを用意。院内と病病連携による学びを合わせ、2年間の研修期間で必要な学びをすべて網羅できる体制を強化していく考えである。その先に禰宜田が見つめるのは、ここで育った研修医たちが同院に残り、西尾市の地域医療にやりがいと誇りを見出して活躍していくことだ。そのために必要なものは何か。その答えを模索しつつ、禰宜田ビジョンは次のステージへ進んでいく。

ボックス(知ろう)2

 

column

コラム

●超高齢社会の到来に伴い、地域医療の提供体制は、<病院から在宅>を中心としたものへ転換しつつある。今後は病気になっても、病院に長く入院するのではなく、ふだんは自宅で療養し、必要に応じて短い期間だけ入院するスタイルが当たり前になるだろう。

●そうした時代のニーズに応え、西尾市民病院は地域に必要な医療の提供に全力を注いでいる。たとえば、平成27年4月に開設した地域包括ケア病棟。現状はまだ急性期を脱した患者の在宅復帰支援に留まっているが、いずれは、在宅療養中の急変にも対応していく計画だ。さらに同院では、訪問看護領域への挑戦も検討しているという。「急性期を脱した患者さんを地域包括ケア病棟で受け入れて生活の場に帰し、療養中は訪問看護師が支え、病状が急変すれば、再び地域包括ケア病棟で受け入れる。そんな途切れのない支援体制を、ここ西尾市で作り、市民の皆さんの生活を支えていきたいと考えています」と、禰宜田は語る。

 

backstage

バックステージ

医療資源の少ない地域で
医療を守り抜く。


●LINKEDは西尾市民病院長に禰宜田が就任した平成25年から、同院の病院再生プラン<禰宜田ビジョン>を追ってきた。その過程で感じるのは、医療資源が少ない地域において、自治体病院の再生がいかに困難であるかという厳しい現実である。

●同院はこれまで、地域に必要な医師を確保するために、行政、議会、医療機関、医師会、住民、企業など、地域全体の協力を仰いで改革を進めてきた。今後はさらにそのネットワークを西尾市周辺に広げ、広域の病病連携(病院同士の連携)を深めることが重要だろう。たとえば、医師が不足している診療科については、近隣都市の高度急性期病院の医師に応援を依頼したり、研修医の院外研修プログラムを充実させるなど…。同院の足らざる部分を、病病連携でカバーする体制整備も必要不可欠ではないだろうか。

 


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