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地域で完結できない
がん診療をなくすために。

 

 

トヨタ記念病院


<ダヴィンチ>導入を機に、
より充実したがんの
集学的治療を実現する。

main

平成28年9月、トヨタ記念病院に、最新の内視鏡手術支援ロボット<ダヴィンチXi>が導入された。
西三河北部地域で初めてとなるこのダヴィンチは、
地域に何をもたらし、そして、同院は何をめざそうとしているのか――。
トヨタ記念病院の狙いに迫った。

 

 

 

 

 

ダヴィンチ稼働で、
地域住民の期待に応えられるように。

Plus顔写真1 「ようやく念願のダヴィンチを導入できました」。そう笑顔で話すのは、トヨタ記念病院の久保田恵章泌尿器科科部長だ。そもそもダヴィンチとは、内視鏡手術を遠隔操作する医療用ロボットのこと。医師はモニターの映像を見ながら、ロボットアームを駆使して内視鏡手術を行う。平成29年2月現在、前立腺がんと腎臓がんが、保険診療の対象となっている。
 ダヴィンチの特長は、非常に精密な手技が可能なことだ。ロボットアームの先端に装着された鉗子は、通常の内視鏡手術の鉗子に比べ、多関節で自由自在に動くだけでなく、手振れも制御。さらに、術者が見るモニター画面は、高解像度の3次元で、視野を最大20倍にまで拡大できる。「まるで小人になって、お腹の中に入った感じ。通常の内視鏡手術では、非常に高い技術を要する手技も、これなら多くの医師が実現可能です」と久保田科部長は説明する。こうした機能は、安全で確実な手術を実現し、手術時間も短縮。神経の機能温存や患者の早期回復に繋がっている。「今や、前立腺がんの世界的な標準治療は、ほぼダヴィンチなんですよ」(久保田科部長)。
 久保田科部長は、早くからその優位性を痛感し、以来、導入を熱望してきた。そこには、地域の期待に応えられないもどかしい思いがあったという。「前立腺がんの最善の治療を考えたとき、明らかにダヴィンチで治療したほうがよいケースがあります。でも当院はもちろん、西三河北部地域には一機もない。当院を頼って来院される患者さんに、遠く離れたダヴィンチのある病院を紹介するのが本当に辛くて…」。
 「頼ってくれる患者さんの期待に応えたい!」。久保田科部長をはじめとする同院職員の強い思いもあり、同院では、平成27年10月から検討を開始。平成28年1月に導入が決まると、久保田科部長を筆頭に、医師、看護師、臨床工学技士、0209豊田記念病院¥0A8A1129事務職員からなる対策チームを結成し、すでにダヴィンチが稼働している施設への見学や勉強会などを通して、実施体制を整えていった。
 初症例は平成28年9月。そこから5カ月間、同院は順調に症例を重ねてきた。そして同院は4月には、ダヴィンチに携わる医師を3名から4名へと増員、さらなる治療提供体制の強化を図っている。

ボックス(知ろう)1

 

 

地域で連携して
がん診療の強化を図っていく。

 0209豊田記念病院¥0A8A1010 近年、がん診療はめざましく進歩した。化学療法、放射線療法、外科療法を組み合わせた集学的治療によって、根治可能ながんが増えつつある。
 同院では、がん診療連携拠点病院として、それらに対応すべく、平成25年に化学療法室を増床。放射線療法では、平成27年に放射線をピンポイントで照射する放射線治療装置<サイバーナイフM6>を日本で初めて導入し、平成29年中には、広範囲に面で照射可能な放射線治療装置<トゥルービーム>も導入する予定だ。
 そして今回、集学的治療において、地域に足りなかった最先端の外科療法を担う<ダヴィンチ>を導入した。同院の岩瀬病院長は言う。「まずは前立腺がんのみですが、次に腎臓がん、将来的には他のがんへの実施も想定しています。ダヴィンチによる手術の保険適用が拡大されれば、今後、さらに多くのがんで、充実した集学的治療を提供できると考えています」。
 同院がめざすのは、こうした最先端のがん診療を必要とする、地域の患者すべてに提供すること。「早期発見、集学的治療、継続ケアを必要とするがん診療は、地域全体でカバーしないと意味がない。当院が最新医療機器を導入するのは、足りない部分を補い、すべてのがん診療を地域で完結させるためなんですよ」。そう話Plus顔写真2す岩瀬病院長は、「だからこそ、地域連携をもっと深めねばならない」と強調する。「たとえば、がん診療に関わる勉強会や講習会などを地域の診療所などと行うことで、当院の持つ知識やノウハウを共有し、地域のがん診療のレベルアップを図りたい。その上で、当院が注力する集学的な高度医療を皆さんにご利用いただきたいのです」。
 最後に、岩瀬病院長はこう結んだ。「地域のがん診療拠点の一つである当院は、今後も最先端のがん診療を提供していく義務があります。しかし、当院だけで地域のがん患者さんを支えられるわけではない。地域の医療機関と連携し、がん患者さんを面で支えていく体制を作っていきたいですね」。

ボックス(知ろう)2

 

column

コラム

●トヨタ記念病院には、トヨタグループの創始者、豊田佐吉の『障子を開けてみよ、外は広いぞ』という言葉が表す、外に目を向け、常に新しいことに挑戦するという精神が根づいている。

●岩瀬病院長は言う。「ダヴィンチやサイバーナイフを導入したことで、医師だけでなく、看護師や放射線技師も、『新しいことにトライしてみよう』と、新たな試みや改善に自主的に取り組みだしています。新しい機械を導入したことがきっかけとなり、トヨタに流れる<新たなことへの挑戦>というDNAが目覚めたんですよ」。

●こうした動きは、そこだけに留まらない。ある場所で新たな動きが起こると、それが他の職員の刺激になるのだと、岩瀬病院長は説明する。「職員が自ら考え、挑戦し、改善していく姿は、他の職員にも大きな影響を与えます。そしてそれが、二次的、三次的に波及していくのです」。同院では、ダヴィンチやサイバーナイフなどの<新しい機器>が、病院全体の<挑戦>と<改善>に繋がる一つの大きな契機になっている。

 

backstage

バックステージ

地域完結型医療と
地域連携という視点。


●トヨタ記念病院における最新医療機器の導入は、一見、自院の機能強化を推し進めているように見える。しかし、ダヴィンチやサイバーナイフのどちらにも共通するのは、<地域にないものを選び、地域に自院の機能を活用してもらう>という同院の変わらぬ姿勢である。

●<地域にないものを選ぶ>というのは、<地域完結型医療>という視点から、病院の機能を考えること。そして、<地域に自院の機能を活用してもらう>というのは、<地域連携>という視点から、自院の持つ機能をとらえることだ。

●同院ではまず、地域全体で医療を完結できるよう、自院がすべきことを徹底的に考え、自院の機能を整備。そして整備後は、その機能が地域において活きるよう、連携の仕組みづくりに力を注ぐのである。この<地域完結型医療>と<地域連携>という2つの視点が、同院のすべての基点となっている。

 


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