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サルコーマに挑む。
最善の診療に心血を注ぐ。

 

 

愛知県がんセンター 中央病院


<サルコーマセンター>。
希少がんである肉腫と闘う、
専門医集団がここにある。

main

肉腫は、発生頻度が極めて少ない。
それだけに、肉腫を専門とする医師もまた、極めて少ない。
腫瘍整形外科医を柱に、肉腫の診断と集学的治療に全力を注ぐ。
ここに来れば最善の治療が提供される。

 

 

 

 

 

肉腫に精通した各領域の専門医が
チームを組む。

Plus顔写真_筑紫部長 「肉腫は治癒が可能な病気です。早期に発見し、適切な治療を行えば、治癒することができるのです」。サルコーマセンター長・筑紫 聡医師(整形外科部長・腫瘍整形外科医)の力強い言葉から、今回の取材は始まった。
 肉腫とは、悪性骨腫瘍(骨・軟骨から発生)と悪性軟部腫瘍(線維・脂肪・筋・滑膜・末梢神経などから発生)の総称であり、英語で<サルコーマ>という。希少がんの一つで、50種以上に分類される。同じ部位に発生しても、良性疾患であるなら良性骨軟部腫瘍といい、肉腫とは異なる。
 筑紫医師は言う。「骨軟部腫瘍は、良性か悪性かの区別が難しく、遺伝子解析による病理診断が不可欠です。当センターでは、遺伝子病理診断医が、ゲノム(全遺伝情報)配列を自動的に読み取る、高精度な次世代シークエンサーを活用し判断します。そこで悪性、つまり肉腫と診断がされると、治療は、外科138_GanCenL25_2017療法(手術)・化学療法・放射線療法を組み合わせた、集学的治療であることが重要となります」。
 外科療法では、肉腫は再発しやすいことから、正常の組織で包まれたまま肉腫をすべて取り出す広範囲切除となる。部位によって、例えば胸壁に肉腫ができた場合は呼吸器外科医、子宮の場合は婦人科医という具合に、各領域の専門医が整形外科医とともに手術を担う。そして、肉腫を取ることで失われた組織は、形成外科医が再建術を行う。術前・術後に実施する化学療法では、日本でも保険収載された薬剤が増加。それらすべてを熟知する整形外科医と薬物療法医が、患者に合わせ治療計画を立てる。また、放射線治療医は、病理診断や外科療法により得られた情報をもとにした術後照射、あるいは、より適切な外科療法を行うための術前照射などの放射線治療を組み立てる。
260_GanCenL25_2017.p こうした診療のすべてを、肉腫に精通した各領域の専門医が担うところに、サルコーマセンターの真髄がある。「肉腫は四肢だけでなく、頭頸部や体幹部をはじめ、あらゆる部位に発生します。従って、診療領域を横断した体制を整え、患者さんの病気・病状に合わせ、専門医がチームを組んでこそ、適切な診断・治療を進めることが可能になります」。他のがん腫とは異なる特殊な診療体制を整えた、サルコーマセンターである。

ボックス(知ろう)1

 

 

患者にも、医師にも、
私たちを知ってほしい、という願い。

 170208_009 希少がんの一つである肉腫。罹患は、年間10万人あたりで6人未満である。その希少さ故に、「ほとんどの患者さんが、遅れて私たちのところに来ます」と、筑紫医師は苦しげな顔を見せる。「例えば、お腹にしこりがあっても、多くの医師は、それがたとえがんの専門医でも、肉腫に結びつけて考えません。たまたま見つかっても、治療法は解らないでしょう。そのため、いくつかの診療科、あるいは、いくつかの病院を渡り歩き、なかには不適切な治療を受けたあと、私たちと出会う患者さんが少なくないのです」。
 最先端の診療を提供するサルコーマセンター。筑紫医師はどのような展望を抱いているのか。「がん医療の進化により、現在では、がんと闘う(治るか死ぬか)時代から、がんとともに生きる時代になりました。となると、生活の質、日常生活動作といった機能予後が重要であり、当院が、がんリハビリテーション(コラム参照)を開始したのもそのためです。当センターでも、今後は診断から集学的治療、そしてリハビリテーションまで、診療領域を横断した連携を、さらに強めていきます。臨床研究にもこれまでどおり力を入れたいですね。診療の質の高度化に努めるのは、肉腫の専門診療に携わる、日本でも数少ない腫瘍整形外科医として、また、専門施設として、私たちの責務であると考えます」。
 肉腫は、患者数が少なく、170208_030治療が特殊。そうした背景から、海外では、診療を集約化した施設が設けられている。「日本国内では、肉腫を診療できる病院は、数えるほどしかありません。だからこそ、私たちは<サルコーマセンター>と、明確に名乗ることにしたのです。病名が決まらず不安な患者さん、どこに紹介すればよいか迷う医師の皆さんに、私たちの存在を知ってほしい」。筑紫医師は強く訴え、言葉を結んだ。

ボックス(知ろう)2

 

column

コラム

●高度で先進的ながん診断・治療、予防、研究に全力を注いできた愛知県がんセンターでは、これまでの<治す医療>に加え、<生活を見つめる医療>にも視野を広げ、2年前より<がんリハビリテーション>に注力。腫瘍整形外科医の吉田雅博医師が部長に就任し、リハビリ専任医師として体制づくりに着手した。

●吉田医師は言う。「がんリハビリは、生活の質の維持、日常生活動作の低下防止、そして、合併症の防止などを目的としますが、がん種によってリハビリの具体的な内容は異なります。東海地区のがん診療を牽引する当院だからこその、がんリハビリを構築していきたいですね」。

●整形外科領域では、患部が四肢をメインに、体幹部(胸壁や腹壁など)など、運動機能に直結する場合が多く、リハビリは必須。「患者さんが元の生活に不安なく戻っていくために、さらなる充実を図っていきます」(吉田医師)。

 

backstage

バックステージ

均てん化ではなく、集約化
された高度な診療拠点。


●がん診療の均てん化、すなわち、医療サービスの地域格差をなくし、全国どこでも等しく高度ながん医療を受けられるよう、がん診療連携拠点病院が設けられている。そこでは一定のがん診療が実施されるが、肉腫のような希少がんについては、その限りではなかった。そのため、平成25年に改定されたがん対策基本法では、国の施策として、希少がんへの取り組みが強化されることになった。

●肉腫は、罹患数が極めて少なく、整形外科医が一生で一人の患者に出会うかどうか。また、診療体制は特殊であることから、集約化が必須であり、<サルコーマセンター>は、まさに国内でも数少ない専門施設だ。

●センター長の筑紫医師は、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)、JMOG(骨軟部肉腫治療研究会)に積極的に参加。大きなネットワークで、診療体制の充実に取り組む。「私たちの存在を知ってほしい」という声が、より広く響くことを願う。

 


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