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病院と生活の距離を
もっと縮めるために。

 

 

渥美病院


病院の機能と在宅医療の機能を一体化させ、
地域住民の生活を支える。

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平成28年6月、渥美病院は関連の介護老人保健施設〈あつみの郷〉に併設されていた
訪問看護と訪問リハビリテーション部門を、同院の2階に移転。
病院の機能と在宅医療の機能を一体化させることにより、
病院と生活の距離を縮めるための挑戦を開始した。

 

 

 

 

 

在宅支援機能を院内に移転した結果、
生まれた成果。

Plus顔写真_村田看護師 あつみの郷から渥美病院に移転し、新たな環境で動き出した訪問看護・訪問リハビリテーション。その守備範囲は、愛知県の田原市全域と豊橋市南部地域にわたる。
 病院に移転したことで、どんな変化があっただろうか。移転当時、訪問看護ステーション長を務めていた村田美恵子看護師(現在は育児休職中)は、「2つの利点があります」と言い、次のように続けた。「一つは、院内スタッフのバックアップです。たとえば患者さんが服用している薬について疑問があれば薬剤師に、人工呼吸器の管理については臨床工学技士に、栄養状態の改善については栄養士に…と、自分が知りたい情報をその道のプロにすぐ聞くことができます。さらに疾患について助言がほしいときは、院内の医師にも気楽に相談できる。地域に出ていくのは私たちですPlus顔写真_吉田看護師が、当院の医療資源を総動員できる強みを感じました」。ではもう一つの利点は何か。「入院中から患者さんに関われることですね。たとえば、病棟から『退院後に訪問看護をお願いしたい患者さんがいるんですが…』と連絡があれば、すぐにベッドサイドに足を運び顔合わせをすることができます」と村田は話す。
 村田から訪問看護ステーション長を引き継いだ吉田由美子看護師も同意見だ。吉田はこれまで、退院調整看護師として患者や家族の療養生活にまつわる不安を一つひとつ解消し、生活の場に送り出してきた。その経験から次のように話す。「院内に訪問看護ステーC1__0118渥美病院¥0A8A0184ションが移転したことによって、在宅復帰を支援する機能が強化されました。患者さんが入院しているときから、生活の現場に精通した訪問看護師が〈家に帰るとどんなことに困り、そうならないために入院中にどんな準備が必要か〉といった助言をしています。そうすることで病棟看護師もご家族も在宅に向けた準備を効率良く進め、安心して生活の場に戻っていただけるようになりました」。
 入院中の患者との関わりは、リハビリテーションにおいても格段に強化されたと言う。訪問リハビリテーション部門をまとめる理学療法士の權田(ごんだ)敏彰は言う。「ここに移転して、入院中から患者さんの日常生活動作の程度を把握し、退院後すぐに、適切な訓練ができるようになりました。それは、以前は難しかったことですね」。

ボックス(知ろう)1

 

 

病院と在宅の垣根を崩し、
医療と生活の距離を縮めていく。

 C2__20170208渥美病院¥0A8A0883 そもそも同院はなぜ、このタイミングで、長年あつみの郷で運営してきた訪問看護・訪問リハビリテーション機能を病院に集約したのだろうか。その理由は渥美半島の医療資源不足、そして地域医療体制の転換にある。渥美半島は医療資源が極めて少なく、入院機能を持つ病院は同院ただ一つ。訪問看護・訪問リハビリテーションも、同院の施設があるだけである。一方高齢化の進展に伴い、国が〈入院を中心にした医療〉から、〈在宅を中心にした医療〉へと、大規模な医療制度改革を進めるなか、同院の地域においても在宅療養する人を地域全体で支える仕組みづくりが求められているのだ。
 こうした状況下で同院が辿り着いた答えが、〈病院の機能と在宅医療の機能を一体化する〉ことだった。病院としては、急性期病棟・地域包括ケア病棟(コラム参照)・療養病棟を併せ持ち、患者の回復の時間に沿って必要な医療を提供していく。そこに訪問看護・訪問リハビリテーション機能を加えることで、急性期医療から在宅医療までを一貫して提供する体制を整えたのである。同院がめざすのは、病院の持つ機能を最大限に活用し在宅療養を支えていくこと。今回の移転は、そのための大きな一歩なのである。Plus顔写真_権田さん
 そうした同院のビジョンを踏まえ、權田はこれからの展開に意欲を燃やす。「移転によって、物理的な意味で〈距離が縮まった〉と同時に、病院の職員や入院患者さん、さらに地域の患者さんとの〈心の距離〉が縮まったように感じています。私たち訪問スタッフが病院と生活の間を行き来し、必要なサービスを繋ぐことで医療と生活の距離をもっと縮めていけるのではないかと考えています」。
 病院の医療、在宅の医療という垣根を崩し、地域医療に携わる人々が一つになって地域の患者を支えていこうとする渥美病院。その挑戦が渥美半島に住む人々の安心の将来に繋がっている。

ボックス(知ろう)2

 

column

コラム

●渥美病院の病棟のなかで、病院と在宅を繋ぐ要ともいえるのが、平成26年に開設された地域包括ケア病棟(55床)である。ここでは主に、急性期を脱した患者を受け入れ、在宅復帰を支援している(ゆくゆくは、在宅療養中の急変にも対応する予定)。在宅復帰支援においては、患者を生活の場に戻すにはどんな準備が必要か。患者それぞれの課題を検討するために、訪問看護師や訪問リハビリのスタッフも加わり、意見交換しているという。

●その一つとして、今年(平成29年)から、地域包括ケア病棟の専従リハビリスタッフと訪問リハビリスタッフの合同カンファレンスも開始された。「病棟スタッフからは新しい入院患者さんの情報を聞き、こちらからは家に帰った後の患者さんの様子を報告しています。病院と在宅の情報を共有することで、患者さんにより良いリハビリテーションを提供していきたいと思います」と權田は語る。

 

backstage

バックステージ

地域の安心を守るための、
次代を見据えた病院改革。


●本文で記したように、超高齢化の進展にともない、地域医療の提供体制は、〈入院中心の医療〉から、〈在宅中心の医療〉への、大きな転換期を迎えている。そのなかで、地域の病院はどのような役割を担っていくべきか。病院それぞれが自院のあり方を考え、〈変わらなければならない〉時期を迎えている。

●渥美病院は時代の変化を受け止め、自ら変わることを決断し、着々と改革を進めてきた。平成26年、まずは急性期病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟という3つの機能を併せ持つケアミックス病院に転換。さらにここにきて、訪問看護・訪問リハビリテーション機能を病院に集約することで、病院の機能と在宅医療の機能を一体化させ、より生活に密着したケアミックス病院へと進化を遂げた。同院がめざすのは、地域住民の安心の暮らしを守り続けることだ。その取り組みの行方に、今後とも注目していきたい。

 


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