7,223 views
create a sms you can be proud ofsms trackerhere’s what i know about sms

アーカイブTOPタイトル-02歩くことがままならず、立ち座りの動作にも苦痛を伴う、股関節や膝関節の疾患。軽いうちは痛み止めの薬や運動療法によって症状の緩和が期待できるが、症状が進行すれば手術が必要となる。かつては関節手術を受けると、長期入院療養が必要で、社会復帰までかなり時間を要するものだった。そのため仕事の忙しい人などは、手術をあきらめるケースもあった。しかし現在は、医療技術やリハビリテーション治療の進化により、非常に早く社会復帰できるようになってきた。とくに、従来は高齢者に限って行われていた人工関節置換術を早い時期に受けることにより、あきらめていた日常生活の楽しみを取り戻す人が増えている。今回は、『LINKED 01』で反響をいただいた整形外科医療の続編として、股関節の治療を例に、早期社会復帰をめざす医療の取り組みを紹介する。 取材・協力は、<vol.1>と同じく、はちや整形外科病院にお願いした。


 

女性に多い股関節の痛み。

骨の間の柔らかいクッションがすり減る

 長時間歩くと、脚の付け根が重だるい感じ。やがて、重だるさは痛みに変わり、症状が進行すると、安静にしていても痛むようになる。このような股関節の痛みを訴える人は中高年の女性に多く、その多くは変形性股関節症によるものと言われている。
 股関節は、骨盤と太ももの骨(大腿骨)をつなぐ役目をしており、股関節のまわりはさまざまな筋肉や腱に囲まれて補強されている。ちなみに関節は英語で「joint」という。股関節は上半身と下半身をジョイントする重要な部分である。
 股関節の構造はよく、ボールと受け皿にたとえられる。ボール部分は大腿骨の先端の骨頭(こっとう)と呼ばれる丸くなった部分で、受け皿は骨盤のくぼみ(臼蓋:きゅうがい)
にあたる。ボールと受け皿の間には、弾力のある柔らかな軟骨(なんこつ)があり、骨と骨がぶつからないようにしたり、衝撃を吸収する働きをしている。
 変形性股関節症は、この軟骨がすり減った状態。すり減った軟骨の下のむき出しになった骨同士がこすれ合って、痛みを生じるようになる。

 

要因は、先天的な臼蓋の発達不全

 では、どんな原因で変形性股関節症になるのだろう。「欧米では体格のいい人が多いせいか、長年の荷重により徐々に軟骨がすり減って病気になるケースがよく見られます。しかし、日本では、その多くは先天的なものが要因と考えられています。先天的に臼蓋の発達が不十分で、臼蓋にきちんと大腿骨頭がはまらず、軟骨がすり減りやすい状態にある人です。とくに女性に多く、変形性股関節症の患者さんの約90%は女性です」と、はちや整形外科病院の蜂谷裕道(はちやゆうどう)院長は説明する。
 このような臼蓋形成不全を抱える人は、子どもの頃から長時間歩いたりすると脚の付け根に違和感を感じる場合が多い。その症状はゆっくり進行し、40〜50代になると、股関節が痛んで日常生活に支障をきたすようになる。現在、変形性股関節症の患者さんは全国でおよそ100万人いると言われている。

 

関節の形を治す骨切り術。

骨の間の柔らかいクッションがすり減る

kashu2090B396CAX-P 変形性股関節症はレントゲン検査で診断される。症状が軽いときは、保存療法で痛みを軽減したり、進行を予防する。たとえば、炎症と痛みを抑える薬物療法や患部を温めて血行を良くする温熱療法、周囲の筋力を鍛えて股関節を安定させる運動療法などがある。
 保存療法でも良くならない場合や病状が進行している場合、手術療法を選択する。はちや整形外科病院で第一選択とされる手術法は、「寛骨臼(かんこつきゅう)回転骨切り術(RAO)」だという。「この手術は、患者さんの年齢が若く、変形性関節症の前期・初期(上図参照)の状態の場合に行うものです。臼蓋形成不全は、受け皿である臼蓋が発育していないため、大腿骨頭を覆う“かぶせ”が浅い状態になっているんです。そこで、臼蓋の一部を丸くくり抜き、ダイヤルを回すように回転移動させて大腿骨頭を覆うようにします。関節の形を治す手術のなかでは、この方法がもっとも新しく、正常に近い股関節を作ることができます」。

linked02-2

 

ベストのタイミングで手術を行う

 前期・初期の段階では、股関節の痛みはがまんできないほどでもない。どのタイミングで手術を受けるか、迷ったり躊躇する人もいるだろう。そこで、はちや整形外科病院で必ず行われるのが、「ラディアルスキャンによるMRI検査」である。MRI検査は磁気を使って、体の縦・横の断面画像を撮像するもの。ラディアルスキャンはさらに大腿骨頭の中心から臼蓋に向けて、放射線状に斜め切りした画像を何枚も撮像する方法だ。「この撮像により、股関節唇(こかんせつしん)という臼蓋の端で骨頭を覆っている軟骨がどのくらい痛んでいるかを把握できます。そこから病気の進行をある程度予測でき、どのタイミングで手術すればよいか判断する目安になります」。
 この検査は、変形性関節症の診断においてそれほど一般的な方法ではない。しかし、「関節症の進行を正確に知り、ベストのタイミングで手術するために欠かせない検査」と蜂谷院長は力説する。

 

ラディアルスキャンによるMRI

radial股関節の周囲を回転しながらデータを取り、臼蓋形成不全の状態を具体的に観察する。

 

 

 


7,223 views