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石巻(3.11)からの手紙 その5

私たちは忘れない、3.11を。
東日本大震災に遭遇した一人の医療人から、地域医療への熱く、そして、冷静な眼が、
私たちが3.11の教訓から学ぶことの大切さを教えてくれる。

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相当以前から、特に内科は臓器別専門志向が主流になってきており、その反省から、各大学に「総合診療部」が作られた。しかし、果たして「総合診療部」のやるべき内容は何かという点については、種々論議があり、各大学で独自の方針で活動した。そのため、存在意義があいまいになり、特段の価値を見出せないでいるのが現状ではないかと思う。私は小児科医であり、2001年に日本小児科学会を主催した。このときの会頭講演のタイトルが「医の原点としての小児科」であったことを思い出す。小児科は本来子どもを対象にし、子どものすべてを診ていくのが原点である。小児科は発足の当初から「小児総合医」であり、小児科医がそれぞれ専門領域を持つのは流れでもあるが、この理念はその後もゆらいではいない。子ども=患者にやさしい視線を向けていくこと、これが小児科医=病院総合医の原点であると思っている。

飯沼一宇 氏
1967年東北大医学部卒。同講師、ハーバード医科大留学、東北大医学部助教授、同教授を経て、2001年日本小児科学会主催。2005年石巻赤十字病院院長。2011年3月東日本大震災に遭遇。石巻地域唯一の中核病院として地域住民の救護、健康維持に尽力。2012年3月同病院退職。現在、震災で親を亡くした子どもを家庭的環境で育てる施設「子どもの村東北」理事長。

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