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明日への挑戦者 / 株式会社パソナ 末河祥子さんの場合

病院勤務医の長時間労働、そして、その背景にある深刻な医師不足。
この問題を解決する糸口として注目されるのが、
新しい職種「医師事務作業補助者(メディカルセクレタリー)」である。
医師を支える有能なスタッフを派遣することで、
医療界の問題を解決しようとする「パソナ」の取り組みを追った。

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Episode 01 /

全くの白紙から始まった「チームメディカル」の挑戦

22047.jpg 東京駅近くにある、(株)パソナグループ本部ビル。扉を開けると、いきなり一面の水田が目に飛び込む。これは、「自然との共生」をテーマにした新しいオフィス“アーバンファーム”の提案。就農支援に力を入れる同社らしい試みである。
 パソナグループでは今、「社会の問題点を解決する」という企業理念のもと、農業分野をはじめ多様な分野で雇用創出を行っている。その一環として、グループの中核企業・(株)パソナが昨年から乗り出しているのが、医療界での新しい挑戦である。
 きっかけは、慢性的な医師不足の解決策として、国が打ち出した「医師事務作業補助体制」の推進。平成20年度診療報酬改定で、病院勤務医の負担軽減を図るため、地域の急性期病院(特定機能病院を除く)において、医師を補助する医師事務作業補助体制加算が新設されたのである。パソナはもともとオフィスワークを中心とした民間企業対象の人材サービスで実績を重ねている。そういうノウハウを活かし、医師の事務作業をサポートできる人材を送り出させないか、というのが発想の起点だったという。
 入社1年目でプロジェクトチーム「チームメディカル」に抜擢され、医療界での人材マーケットの開拓に取り組んできた末河祥子に話を聞いた。「私としては、当初医療界の知識もなく手探りの状態。病院の方々に話を聞き、いろいろなことを勉強しながら、ここまできた感じです」。
 当初、末河たちは足しげく病院を回り、“生の声”を収集することに専念した。そこで見えてきたのは、多忙を極める医師たちの姿だった。医師が本来行うべき診療行為のほかに、診療に関するデータ整理、診察の予約調整、カンファレンスの準備、学会の資料づくり、出張の手配、来客対応など、その業務は多岐に及ぶ。しかし、医師事務作業補助者に対する意識は病院によって温度差があり、医師のサポート体制もまちまちだった。それが大きく前進したのは、平成22年度の診療報酬改定だ。医師事務作業補助体制の加算が強化され、前向きに考える病院が一気に増えたという。

Episode 02 /

どんな業務をどこまで担うか。
医師のニーズに応じた仕組みをつくる。

22030.jpg では、医師事務作業補助者は、具体的に何をするスタッフか。厚生労働省の示す業務内容には、診断書などの文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業、行政上の業務への対応などが記載されている。しかし、病院によって、求められる業務内容の枠組みは異なる。末河たちが営業活動をするなかでも、「医師事務作業補助者を入れるにしても、何をやらせたらいいのか、どういうふうにすれば効果があるのか」という疑問が多数聞こえてきた。既に認知されている職種の派遣ではなく、新しい職種を創り上げていく難しさがそこにある。
 医師の仕事をサポートする鍵を握るのが、一人ひとりの仕事の“棚卸し”だ。医師の資格が必要なのはどの仕事か、別の者が代用できるのはどの仕事か。これらを一つひとつ検証し、サポート業務の内容を決めていかなくては、医師を効率よくサポートすることはできない。
 そのため、末河たちが力を入れているのが「ヒアリング」だという。「病院の先生に個別に話を聞いて、どういった業務をどれくらいの分量、どういう業務フローで実施すれば効果的か、ということを提案させていただいています」。病院によって、また医師によっても、仕事の進め方やニーズは異なる。それらをきめ細かく聞き出し、個々のケースに応じた人材派遣の仕組みをオーダーメイドしていくのである。
 「ここまでご提案いただけるなら、パソナさんにお願いしたい、と言っていただけると感無量です」と末河は目を輝かせる。

Episode 03 /

量ではなく質にこだわり、
真の意味で医師をサポートしていく。

21045.jpg もうひとつのポイントは、人材の質だろう。診療報酬加算では、何人の医師事務作業補助者を配置しているかという「量」で評価される。しかし「量ではなく、質」だと末河は強調する。実際に診療報酬加算の点数は、人件費をカバーできるほどの金額ではない。そこに付加価値がなくては、新たな人材を投入しても意味がない。
 「私たちは実務能力、コミュニケーション能力の高い人材を育成して派遣しています。その質の違いは一緒に仕事すれば、わかっていただけますし、喜んでいただいています」と末河は胸を張る。同社では、民間企業で実務経験を積んだ有能な登録スタッフを豊富に抱えている。とくに役員秘書などの経験者は、上司の業務を仕分けし、自分が担うべき仕事を見つける方法を心得ており、機転もきく。多忙な医師を手助けできる高いポテンシャルを備えているのだ。
 さらに、業務に必要な医療知識、病院や法律の知識などは、事前研修で徹底的にたたきこむ。民間企業で培ったスキルに医療知識をプラスし、現場のOJTを経ることで、医師を万全にサポートできる人材が誕生する。そのことは、パソナが、医師事務作業補助者を「メディカルセクレタリー」と呼んでいることにも現れているだろう。パソナがめざすのは、単なる補助者ではなく、医師のパートナーとして機能できるプロフェッショナルの育成。そのことにより、「医師を単純作業から開放し、医師が患者さんとよりじっくり向き合える環境をつくる」ことに、焦点を合わせているのである。


Episode 04 /

優秀な人材のキャリアチェンジを支援する。

23021.jpg 一方、派遣されるスタッフの立場から見れば、今回の取り組みは、新たな「職を創る」という社会的な意味をもつ。
 「民間企業で経験を積んだ人が、キャリアアップをめざすとき、メディカルセクレタリーという職種が選択肢の一つになれば…」と末河たちは考えている。リーマンショック以降、自らのキャリアアップに取り組む人材は増えている。これまでの経験を活かしながら、新しい仕事に挑戦したい人も多い。
 「一般企業で活躍してきた人たちにとって、医療界は絶好のキャリアチェンジのステージになる」と末河は言う。事実、メディカルセクレタリーの講習開催を告知すると、毎回、応募が殺到するという。働く側の関心は非常に高い。
 すでに欧米の病院では、MOA(メディカル・オフィス・アシスタント)という職種が確立されており、医師のパートナーとして事務処理能力を発揮している。末河が思い描くメディカルセクレタリーの将来像も、そこにある。「医師の事務補助というと、単に事務処理を担うだけと思われがちですが、医師が求めているのはもっと自分の右腕としてサポートしてくれるスタッフです。その信頼に応えることができれば、やりがいはとても大きいでしょう」。
 まだ、走りはじめたばかりの医療界というマーケットで、病院の問題点を解決するという使命と、スタッフに対してキャリアチェンジの場を提供するという二つの使命を抱え、末河は今日も奔走している。

COLUMN /

●人材派遣のリーディングカンパニーとして知られる株式会社パソナは、1976年に南部靖之氏によって創業。2007年に、(株)パソナを中心とする純粋持株会社パソナグループを設立。現在、国内・海外の約50社において、人材派遣、 人材紹介、再就職支援、アウトソーシングなど幅広いサービスを提供している。 

●パソナグループが創業以来掲げているのは、「社会の問題点を解決する」という企業理念である。「人を活かす」ことをサービスの原点とし、社会復帰を目指す人、新しい人生に挑戦する人、人生の目標に果敢に挑戦する人、誰もがそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方で、豊かな人生設計を描ける社会をつくることをめざしている。そのために、若者向けの就職支援プログラム「フレッシュキャリア社員制度」や、農業分野の人材育成など、多方面にわたって積極的に取り組み、さらなる雇用創造に挑戦し続けている。


BACK STAGE /

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●救急病院の多くは医師や看護師不足に喘いでおり、救急医療の崩壊が懸念されている。

●医師を増やすことはもちろん重要だ。しかし、もし医師が医療行為に専念できるようになれば、仕事の負担が減り、救急医療の安定化や患者さんの満足につながるのではないか。医師を増やす前に、医師を支える人を増やす。今回、パソナの取材を通じ、そんな「発想の転換」の重要性に改めて気付かされた。

●また、メディカルセクレタリーの職種が確立され、病院と民間企業との間で人材交流がさらに活発になれば、より開かれた病院組織づくりにもつながっていくだろう。いずれにしても、最終的な目的は「患者さんへの上質な医療の提供」。そのためにも、柔軟な思考と改革精神が今後ますます重要になっていくのではないだろうか。

ACCESS /

株式会社パソナ
〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-4
TEL 03-6734-1333

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