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「数」ではなく「質」。
その信念が、医療界に新しい「職」を創造した。

明日への挑戦者 / 株式会社パソナ メディカルセクレタリーの場合

医師不足と医療環境の変化で事務処理に追われ、
長時間・過密労働にあえぐ病院勤務医。
3年前の診療報酬改定で、そんな医師たちをサポートする
「医師事務作業補助者」が導入された。
医師たちは、本来の業務に専念できるようになるのか。
本当の戦いは、今、始まったばかりだ。

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Episode 01 /

異業種から転職したメディカルセクレタリーが、
医師の働く環境を改善。

 JR名古屋駅から歩いて約10分。再開発が進む駅前の超高層ビル群を間近に望む市の中心部に、198床を擁する名古屋セントラル病院がある。JR東海総合病院を前身とする急性期の中核病院で、5年前にこの地に新築移転をしたばかりだ。
 その名古屋セントラル病院に、「医療秘書室」という新しい部署が誕生した。配属されているのは、6人の“メディカルセクレタリー”。看護助手から転職した早川可奈子を除くと、販売職をしていた寺坂映美と小椋真紀、一般事務職の松尾美紀、営業事務職の船戸利江、そして役員秘書経験者の江口紀子と、5人が異業種からの転職組だ。
 メディカルセクレタリーが導入されて1年。現在の彼女たちは、医師の指示の下、診断書や意見書をはじめとするさまざまな医療文書の作成や電子カルテの一部分の入力代行などを行っている。001.jpg
 「医療秘書室のおかげで、我々医師の書類作成時間は、かなり削減できました」と、名古屋セントラル病院副院長・川島靖浩医師が笑顔を見せる。
 「導入直後から効果が現れていましたが、ここ半年で仕事が速くなって、特に診断書の作成に関しては業務負担がとても軽くなりました」。

Episode 02 /

膨大な書類と煩雑なシステムで疲弊する医師たち。

 メディカルセクレタリーは、法的には「医師事務作業補助者」と呼ばれ、医師の指示に基づいて、医療文書の作成補助や電子カルテの入力代行のほか、診療に関するデータ整理、診察の予約調整、カンファレンスの準備、学会の資料づくりなど、医師が抱える事務作業を代行する者と定められている。2008年の診療報酬改定で導入されたばかりの新しい職種だが、医療現場からの期待は大きい。
 その背景には、深刻化する医師不足に加え、医師に求められるものが急激に増えている事情がある。
 一つには、書類の数。これまで患者と医師の信頼関係で成り立っていた医療行為が、ここ10~20年ほどの間に“契約”へと変化し、病状や治療方針、リスクなどを詳細に説明する時代となった。同意書や入院計画書、退院時サマリーと、あらゆることに書類が必要となり、医師が書かなければならない書類が、山のように膨れ上がっていることが挙げられる。
 二つには、電子カルテの導入による作業量の増加だ。これまで看護師がある程度記入していた部分や、検査のオーダリングなども、電子化ですべて医師がやらなければならなくなってしまった。実際、ある医師の一日の勤務時間中、36%が事務処理時間だったという調査結果もある。
 川島副院長が語る。002.jpg
 「医療に緊張感は不可欠ですが、大量の書類が介在することで、違う意味での余分な緊張感が生まれています。そこに、電子カルテを操作する煩雑さも加わり、現場の医師の疲弊は極限に達しています。しかし、大量の書類も電子カルテも、患者さんに安全な医療を安心して受けていただくためのものであり、今後この手の作業は、増えることはあれ減ることはないでしょう。そこで、医師でなくてもできる事務作業を担ってくれる人材が、求められるようになったのです」。
 こうした現場の声を背景に誕生した医師事務作業補助体制加算。2010年の改定で大幅に増額されたのをきっかけに、対象となる医療機関の関心も高まり、人材派遣会社の参入も相次いだ。


Episode 03 /

単なる事務補助ではない、
「秘書」という名の右腕に。

003.jpg 「さらに」と、川島副院長は言葉を繋げる。「医師の仕事が増えたのは、看護師の仕事の変化も影響しているんです。20~30年前であれば、医師一人に3~4人の看護師が付いて、医師の指示をすべて拾い、秘書のような役割を担ってくれていました。それが、看護師の仕事が高度化して、医師と看護師の仕事が明確に区分されるようになり、多くの仕事が医師の元に取り残されてしまったんです」。
 「社会の問題点を解決する」という企業理念を掲げるパソナは、いち早く医療現場に足を運び、長年、オフィスワークを中心とした人材派遣で培ったノウハウを、活かせないかと模索を開始した。
 その活動のなかで、医師以外でも代行できる部分を外さなければ、多忙を極める医師を、本来の診療業に専念させ、その能力を最大限に発揮してもらうことはできない。しかしそれは、単なる事務補助という位置づけで可能なのか。そもそも、医師事務作業補助体制加算は、人数だけで評価される仕組みだが、大切なのは「数」よりも、医師のニーズをとらえ的確なサポートができる「質」を持った人材なのでは――。 そう考え、医師事務作業補助者を「メディカルセクレタリー」と命名。医師たちが抱える多種多様な仕事を、一つひとつつぶさに検証し、医師の資格が必要な仕事と、医師以外でも代行できる仕事を振り分けていった。


Episode 04 /

医療の一翼を担う、
高付加価値のメディカルセクレタリー。

004.jpg「医療秘書室を設けるにあたりパソナさんを採用したのは、接遇に関するスキルが高いと評判だったから」と語りながら、期待通りの働きに満足気な川島副院長。「もう少し欲をいえば、例えばアメリカでは、インフォームド・コンセントの場にセクレタリーが同席して書類作成を行っています。将来的には、そういった仕事も任せられるようになってくれると、医師は持ち時間全部を患者さんへの説明に充てることができるし、セクレタリーにとってもやりがいがさらに大きくなるのでは」という。
 彼女たち自身、今でも医療の一翼を担っているという意識は強い。患者のために、医師が診療に専念できるよう、しっかりサポートするのが自分たちの務めだと語り、この職種のパイオニアとして、今後はもっと医師に近づくことで、業務の幅を広げていきたいとプライドをのぞかせた。
 しかし、川島副院長が求める姿、すなわち彼女たちがめざすものは、医師の診療内容や診療の中身の理解、患者に対する説明技術などを身につけた、コミュニケーション能力の高い人材だ。それには、医学的な知識や診療内容に対する理解力、患者や院内のスタッフとのコミュニケーション能力をさらに磨く必要がある。
 そのためパソナは、志の高い新卒者や異業種で高い実務能力を持つ優秀な人材が、医療や病院、関係法規の知識などを学ぶことができる、オリジナルの養成プログラムの開発をめざす。目標は、欧米で活躍するMOA(メディカル・オフィス・アシスタント)のように、医師の「右腕」として働ける人材である。
 医師事務作業補助制度は、まだ走り出したばかり。医療機関によっては、数だけ揃えて診療報酬の加算を得たり、活用方法が見えず、せっかくの制度を持てあましたりと、有効に活用できていないケースも見受けられる。
 疲弊しきった医師の状況は、もはや一刻の猶予もない。メディカルセクレタリーという新しい職種が、一つの有効な打開策を示す。


COLUMN /

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●株式会社パソナは、1976年に南部靖之氏が創業した人材派遣の草分けである。当初、「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いでスタート。その後、働き方の多様化もあり、多彩な人材サービスを提供するリーディングカンパニーとなった。

●その人材サービスの原点は、「人を活かす」。新卒者や社会復帰をめざす人の就職支援、キャリアチェンジのサポートだけでなく、新たな雇用創造にも力を入れ、誰もが自分のライフスタイルに合わせた働き方で豊かな人生設計を描ける社会をつくることをめざしている。

●さらに、雇用創造というメインテーマに取り組むかたわら、「社会の問題点を解決する」という企業理念を本業以外でも追求しようと、障害者の社会参加や地域環境保全、文化・芸術活動への支援、国際交流事業など、多彩な社会貢献活動にも力を入れている。


BACK STAGE /

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●「医師事務作業補助体制加算」とは、長時間・過密労働が問題視されている勤務医の負担軽減を目的に、2008年の診療報酬改定で初めて導入された制度である。地域の急性期病院(特定機能病院を除く)で、医師の事務作業を補助する専従者を配置した場合、診療報酬の保険点数を加算できるというもの。2年後の改定で、保険点数が大幅に増額されたことで、一気に関心が高まった。

●医師事務作業補助者には、厚生労働省が定めたカリキュラムに基づく研修と6か月間の実務研修が義務づけられている。国家資格ではなく、いくつかの団体がさまざまな名称で養成講座を開講しているのが現状だ。

●導入している医療機関もまだ限られているが、医師不足の解消は一朝一夕では解決せず、診療科や地域ごとの医師の偏在も深刻で、今後、普及が期待される職種といえる。

ACCESS /

株式会社パソナ
http://www.pasona.co.jp/LinkIcon

〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-4
TEL 03-6734-1111
〒450-6042 名古屋市中村区名駅1-1-4 JRセントラルタワーズ42階
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