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安城更生病院教育研修センターの役割
地域や患者のニーズに応え、
職員の夢を叶える病院づくり。

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Episode 01 /

職能研修だけでは補えないアイデンティティ教育。


925881.jpg 病院は多種多様の職種が集まるプロフェッショナル集団である。どこの病院でも職種ごとに職能研修が行われ、知識や技術を指導し、プロとしての絶えざるスキルアップを図っている。また、新入職員、管理職など階層別研修を通じて、階層ごとに必要な能力の習得も促している。しかし、そうした研修とは別に、職種の垣根を超えて組織横断的かつ戦略的に人材を育てるための「教育研修センター」を設けている病院は、それほど多くはないのではないだろうか。
 安城更生病院では、平成18年に教育研修センターを開設した。センター機能の中心的な役割は、各種教育研修プログラムの企画・運営・評価・フィードバックを支援し、同院の基本理念を実現することにある。すなわち、個々の職員が病院の基本理念(アイデンティティ)を理解・共感し、実践していくことに重きがおかれている。この狙いについて、教育研修センターの三浦崇則センター長(薬剤師)はこう説明する。
 「当院では昔から人を大切に育ててきました。技術や接遇の教育は充実していましたが、それだけでは足りないのではないか。これだけ大きな組織になったとき、病院はどっちを向いているのか、地域や患者さんは何を求めているかということを皆で共有しなければならないし、同時に職員が生きがいをもって働ける職場を作っていかねばなりません。そのためにアイデンティティ教育が必要だと考えました」。

Episode 02 /

暗黙知から形式知へ。企業風土を明確に伝えていく。

925708-.jpg それでは、同院ではどのような基本理念を掲げているのか。それが、次の3項目である。
●医療を通じて地域住民の健康と幸福に寄与します。
●患者中心の医療をあらゆる活動の原点とします。
●職員が誇りと喜びを持って働ける職場を目指します。

 この理念は決して、新しく作られたものではない。昭和10年の開院以来長く営まれてきた歴史のなかで築かれてきた考え方や行動指針を簡潔にまとめたものだ。「基本理念とは、言い換えれば当院に受け継がれてきた風土です。そういう風土を先人たちが作ってくれたからこそ、今の安城更生病院がある。これからも一番大事にすべきものだと考えています」と三浦センター長は説明する。
 職員が1500人もいれば個性も考え方も違うし、それぞれがプライドをもってプロの現場を守っている。しかし、職種を超えてこの理念を職員一人ひとりに浸透させなくてはならない。そのために三浦センター長は、わかりやすい図(下参照)を用意している。大きな「3つの円」に、やりたいこと、やるべきこと、やれることと書かれたシンプルな図だ。「やりたいこと」とは個人の夢や目標。やりたいことが大きいほど、人は活性化する。「やるべきこと」は地域や社会のニーズ。このミッションを理解していないと社会に貢献することはできない。「やれること」は個人や病院の実力で、成果はここから生まれる。この3つの円を前に、自分自身の思いを重ねることで、個々の職員が自らの目標、そして病院がめざす方向性を理解していく仕組みである。このユニークなアプローチは、今まで病院に育まれてきた企業文化や風土である「暗黙知」を自然継承に任せるのではなく、目に見える形で伝えるよう「形式知」化していくプロセスとも言えるだろう。
 「3つの円が重なり合う中央の部分。ここが大きくなればなるほど、職員一人ひとりの夢も実現するし、働きがいも大きくなります。同時に病院の成果も大きくなり、地域社会の貢献度も高くなっていく。その最大化のために、教育研修センターが個々の職員をサポートしていきたいと考えています」(三浦センター長)。

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Episode 03 /

基本理念に基づいて患者の心に響く医療を。


925865.jpg このようなアイデンティティ教育を、同院では浦田士郎院長自らが先頭に立って推進している。新人オリエンテーション、中途採用者オリエンテーション、職員生涯研修などにおいて、浦田院長は“私たちの病院づくり”について繰り返し講義しているのだ。この講義は、新人から始まり、最終的には管理職まで、例外なく全職員を対象に展開していく予定だという。
 「私たちの病院はどうあるべきか」ということを新人オリエンテーションで学んだ新入職員に、その“答え”を聞いてみた。
「当院は患者中心の医療というものを、言葉だけでなく実際に行っている病院だと思う」(近藤水生:薬剤師)。「一言で言えば、活力がある病院。活力は一人ひとりのマンパワーから生まれているし、職員の満足度が高いからではないか」(小塩真史:研修医)。「初めて来られた患者さんにもやさしく接する病院。それが患者満足度にも繋がっていると思う」(柴田有加里:事務)「自分が成長できるし、仕事を通じて社会に貢献していることを実感できる病院です」(川島幹生:看護師)。
 それぞれ切り口は違うが、意見の根幹に安城更生病院の基本理念が浸透していることが十二分に感じられる。入職して半年の職員にも、組織への帰属意識が芽生えていることがよくわかる。それは、昨今のマニュアル教育では得られない、アイデンティティ教育ならではの成果と言えるだろう。
 「私たちがめざすのは、理念に基づいて考え行動することが習慣化されている人材の育成です。たとえば患者さん中心の医療、患者さんの心に響く医療という観点からすれば、医療は職員の押しつけであってはなりません。自分の考えと患者さんの望むゴールが違っても、決してNOとは言わない。むしろ、そのゴールをどうサポートするかを自分で考え、自然と行動に移せるような職員を育てたい」と三浦センター長は話す。理念がしっかり共有できていれば、患者のニーズにもより柔軟に対応できるようになるのだという。


Episode 04 /

最終的な目標は、職員と組織、
さらに地域が同じ価値観を共有すること。


925704.jpg 職員と組織が同じベクトルに沿って、より良い病院をめざす安城更生病院。その実現の過程には、もう一つ、患者や地域社会というベクトルがある。最終的には、地域住民や社会が同院をきちんと理解し、共感していくことが非常に重要になるだろう。「私がやりたいこと」が「私たちの病院がやりたいこと」になり、やがては「この地域がやりたいこと」へと職員の意識が昇華する。同時に地域住民もまた、「この地域がやりたいこと」に共感できれば、地域医療の絆は非常に強固になるに違いない。
 「医療の高度化、個別化への対応が求められる時代、病院と職員、そして社会が共通の価値観をもつことが、お互いの満足を得るためにもとても大切です。将来的には当院のアイデンティティ教育と実践について、市民公開講座などを通じてお話ししていきたいと考えています」。三浦センター長は、職員と組織、住民がつながる“共感の大きな円”をこの地域に描いていこうとしている。

COLUMN /

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●安城更生病院の教育研修は、「人材は組織にとって大切な財産」「人は大切に育てる」と捉えることからスタートしている。それは、教育研修センターができるはるか以前から、同院に受け継がれてきた風土である。「人はみんなで育てる」という教育文化は、職員の成長はもちろん、職員間・職種間の交流、信頼関係の構築など、組織づくりにとっても大きなプラスになっている。

●昨今は深刻な看護師不足などから、単に職員の頭数を増やそうとする風潮も見受けられる。しかし、大事なのは確保した人材を大切に育てることだ。職員が「やりたいこと」を実現しながら、輝いて働ける職場づくりをめざす安城更生病院。その成果は、研修医からの人気の高さ、看護師の定着率の高さなどにしっかり表れていると言えるだろう。

BACK STAGE /

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●安城更生病院の教育研修センターの活動は、一般企業で言うCI(コーポレイト・アイデンティティ)活動だ。CI活動は企業文化をわかりやすいメッセージで発信し、社会と共有することで存在価値を高めていこうとする。同じように同院のアイデンティティ教育も、最終的には地域社会と共有することをめざしている。

●地域住民と病院が同じ価値観、目的意識をもつことができたら、こんなに素晴らしいことはない。住民(患者)側と病院側という対立軸ではなく、ともに地域医療を作っていくパートナーという認識が、これからの地域社会においてさらに重要になるのではないだろうか。

●教育研修センターメンバー構成
 三浦崇則(センター長・薬剤師)
 大嶽典子(看護課長)
 池田真紀(係長・事務)
 井桁千聡(事務)
 永田茜子(事務)


ACCESS /

愛知県厚生農業協同組合連合会
安城更生病院
〒446-8602 愛知県安城市安城町東広畔28番地
TEL 0566-75-2111
FAX 0566-76-4335
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