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薬剤師を調剤室から病棟へ。
病棟の安全管理に貢献し、
薬物療法の有用性を向上させていく。

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Episode 01 /

病棟業務という新たなフィールド。


25-0070.jpg ほんの少し前までは、病院の薬剤師は調剤室にいて、入院患者さんの服薬支援など、必要に応じて病棟へ出向くのが当たり前だった。この当時から、病棟ごとに薬剤師を配置してきたのが、安城更生病院である。
 同院の病棟薬剤師の試みは、非常に早い。診療報酬上でも病棟薬剤師の業務が評価され始めた1990年に、薬剤師の病棟業務について検討を開始。まずは循環器と内分泌内科病棟に、それぞれ1名ずつ専任の薬剤師を配置した。現場の医師や看護師から「薬剤師を置いてほしい」という強い要望があったからだ。
 なぜ、現場サイドからそれほど強い要望があったのだろう。今年で入職15年目となる薬剤師の間瀬悟はこう説明する。「病棟には、本来薬剤師がするべき仕事がたくさんありますが、その当時は、薬の管理まで医師や看護師が行っていたために、業務量軽減のためにも薬剤師の病棟配置が進められたと聞いています」。
 入院患者さんの薬はもちろん、検査薬、試薬、消毒薬など、院内あらゆるところで薬が使われている。薬剤師が調剤室にいたのでは、それらの適正使用を細かくチェックすることはできない。医療の質の向上と安全性確保のためにも、薬剤師の常駐化が決断されたのだった。
 病棟に薬剤師がいて、薬に関することはすべて責任をもって対応する。この先駆的な試みは病棟スタッフに歓迎され、薬剤師の病棟配置は次第に拡大。現在は、総合周産期母子医療センターや緩和ケア病棟を含む一般病棟すべてに薬剤師が配置され、各フロアにある病棟情報室を拠点に活動している。

Episode 02 /

安心で適正な医療のために薬剤師ができることはいっぱいある。

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 間瀬が安城更生病院を就職先に選んだのも、病棟薬剤師の取り組みの評判を聞いたのがきっかけだった。「臨床現場、それも患者さんのベッドサイドで働きたいと考えていた僕に、大学の先生がここを紹介してくれました。それで実習を受け、医師や患者さんから信頼されている二人の働きぶりを見て、“薬剤師にはこんなことができるんだ”と思い、夢と希望をもって就職しました」と振り返る。
 間瀬は今、がん化学療法の患者さんが多い病棟を担当し、さまざまな仕事を行っている。患者さんへの服薬支援、入院時より開始された治療薬と持参薬との飲み合わせ確認と医師への注意喚起、副作用の確認、抗がん剤の治療計画(レジメン)の管理、吐き気止めなど抗がん剤による副作用を少しでも軽くするための薬の提案や、投与量・投与方法のチェック、医師や看護師への医薬品の情報提供など業務内容は実に幅広い。


25-0194.jpg 病棟薬剤師のもっとも大きな役割は、薬剤師の視点で患者さんの安全を守り、薬物療法の有用性を向上させることだ。「投与の量や間隔など、投与の方法を少し工夫するだけで薬の効果がさらに良くなったり、副作用が軽くなったりすることがあります。そのためまずは、ベッドサイドへ行き、実際に薬剤師の目で患者さんの状態を確認して、より良い方法はないか提案することが重要だと考えています」と間瀬は話す。
 さらに同院では、病棟薬剤師が医療チームの一員として積極的に参加している。入職10年目の濱石華乃子は言う。「例えば、インスリン注射はどの病棟でも使用しています。インスリン注射が適切に使用されるためには、病院スタッフの知識や手技などのレベルの統一が不可欠となります。そこで、内分泌内科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、リスクマネージャーなどが一緒になって糖尿病関連部会にてより安全に使用されるように話し合いを行っています。また、病棟では患者さん個々のケースに応じた症例検討会を定期的に開催し、それぞれの職種の意見を出し合い、退院後の生活も視野に入れた検討を行っています」。
 このほか、栄養サポートチーム(NST)や症状緩和チーム、さらに最近は褥瘡回診チームにも参加するなど、病棟薬剤師はチーム医療のなかでますます存在感を強めている。

Episode 03 /

不安感を軽減できるのも、薬剤師がいればこそ。


25-0203.jpg 薬物療法は、日々進歩をしている。新しい薬には、特殊な調製方法や服用方法など注意を必要とするものが少なくない。病棟スタッフもその使用に不安を抱えることもあるが、その不安を軽減する上で、薬剤師の存在意義は大きい。
 「専門的なことはいつでも薬剤師に相談できる安心感がある」と言うのは、呼吸器内科・耳鼻咽喉科の混合病棟に勤務する鈴木純代看護課長だ。「麻薬管理はもちろん、入院患者さんの薬に関する不明な点があった場合、電話1本ですぐに駆け付けてくれたり、時には患者さんの悩みを聞くなど、人としても向き合った対応もしてくれます。また、抗がん剤のダブルチェックや、専門性を活かした医師への提言など、チーム医療にも大きく貢献していると思います」。
 同様に、呼吸器内科・外来部長の池ノ内紀祐医師も、「(病棟薬剤師を)一言で言い表すなら、頼もしい存在です」と語る。「昨今は後発医薬品が増え、薬剤に関する幅広い知識が問われます。そんな状況下で、患者さんの持参薬を迅速に鑑別してもらえるので助かります。また、薬剤師による服用後の回診もあり、医師の指示通り服用しているかを確認したり、副作用の確認、効果の評価など、薬剤師の立場で確認してもらっています。そのほか、病棟スタッフへの薬剤情報提供を通じ、スタッフの薬物療法や服薬支援に対する理解とスキルも向上しています」。病棟スタッフのみならず、ときには薬剤師が若い研修医にレクチャーしたり、薬の使い方を提案することもあり、臨床研修病院の医育という観点でも、薬剤師は貢献している。


Episode 04 /

目の前にいる患者さんに何ができるのかいつも考える。


25-0008.jpg 病棟薬剤師は、服薬面談や服薬支援などを通じて、患者さんとの関わりがとても深い。「目の前の患者さんに、自分は何ができるのだろうって常に考えています。患者さんの背景は人それぞれ違うし、答えは一つではありません。日々、勉強です」と濱石は話す。そんな濱石にとって、一番の喜びは患者さんの笑顔。「血糖値がよくなったよ」などとうれしそうに報告にくる患者さんを見ると、仕事の疲れも吹き飛ぶという。
 また、病棟薬剤師の目線は、退院後の暮らしにも注がれている。「普段の生活の状況や薬の管理方法などを詳しく聞きながら、自宅でも正しく薬が飲めるためにはどうすればよいか、患者さんやご家族と一緒に考えるようにしています。」(間瀬)。
 最後に、間瀬に今後の抱負を聞いた。「病棟薬剤師の存在意義をもっと追求したいです。そのためには、薬剤師の基本的な役割を理解し実践できる仲間がもっと必要になります。さまざまな施設において薬剤師が病棟で業務を行い、チーム医療に積極的に関わることによって、今以上に医療の質は向上すると思います」。
 安城更生病院は、さらなる質の向上を求め、病棟薬剤師の可能性を切り拓いていこうとしている。

COLUMN /

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●全国に先駆け、薬剤師の病棟常駐化を進めてきた安城更生病院。それは、医師や看護師の現場のニーズに応えた施策であったが、別の視点から見ると、「薬剤師にはこんなことができる」という実績を周囲に認めさせることで、薬剤師が活躍フィールドを広げてきたともいえる。

●同院では、病棟薬剤師一人ひとりが自主的に考え、得意分野の能力を伸ばしている。たとえば、間瀬は自ら進んで「がん専門薬剤師」の資格を取得し、濱石は「糖尿病療養指導士」の資格を取得している。こうした資格取得は義務づけられたものではない。「目の前にいる患者さんともっと深く関わりたいという気持ちから」だ。「アイデアがあれば、薬剤師の仕事は無限大に広がると思う」という濱石の言葉から、個々の挑戦を奨励する、同院の自由闊達な風土が垣間見える。

BACK STAGE /

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●間瀬は、薬剤師の役割をイチローの守備に例える。「たとえ強打者がバッターボックスに立っても、イチローが外野にいればチームはすごく安心感を持てますよね。同じように、僕らも薬剤師の専門性を活かし、医療の安全・適正な提供をバックでサポートできれば…と考えています」。間瀬の言うように、病棟薬剤師は医療を支える重要なディフェンスであり、縁の下の力持ちである。

●「病棟薬剤業務実施加算」が新設され、こうした薬剤師の役割もようやく正当に評価されるようになってきた。しかし、人員を配置したくても、人件費の負担から見送るケースも少なくない。病棟薬剤師によってもたらされる医療の質、安全、さらに医育といったメリットは大きい。そういった目に見えない部分を評価していくことが、より良い病院づくりに必要不可欠ではないだろうか。


ACCESS /

愛知県厚生農業協同組合連合会
安城更生病院
〒446-8602 愛知県安城市安城町東広畔28
TEL 0566-75-2111
FAX 0566-76-4335
http://www.kosei.anjo.aichi.jp/top/index.cfmLinkIcon

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