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地域の中核病院として、
地域医療ネットワークづくりに挑む。

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Episode 01 /

母と子の命を守るために、
産科と新生児科の最先端医療を提供。

001-1.jpg 平成22年12月、愛知県で3番目、三河地方で初めてとなる、安城更生病院の「総合周産期母子医療センター」が発足した。周産期とは出産前後の期間を指す。赤ちゃんを産むための「産科」と、赤ちゃんを診るための「新生児科」の両方が必要となるこの時期、両科の機能を融合し、最先端の医療を提供するのが、総合周産期母子医療センターである。
 安城更生病院は、早くから新生児医療や産婦人科医療に熱心に取り組んできた歴史をもつ。新生児医療の認識すら芽生えていなかった昭和54年、当時小児科部長だった久野邦義名誉院長が先見の明をもって新生児センターを開設。小さな命を守るために医療技術を磨いてきた。また、産婦人科医療においても、分娩件数は愛知県内の病院で常にトップクラスの実績を続けてきた。
 平成10年には、地域周産期母子医療センター(総合周産期母子医療センターを補助する施設)の指定を受けたが、その後、全国的に周産期医療を取り巻く環境が急速に悪化。妊婦の救急搬送受入不可能問題を契機に、愛知県下でも総合周産期母子医療センターを複数整備することが急務であると指摘された。また、西三河南部地域は例年高い出生数があり、地域住民のニーズも高かった。まさに、安城更生病院が総合周産期母子医療センターへ移行する機が熟したのである。
 「社会的要請があり、現場の医師も非常に高いモチベーションをもっていました。そこへ行政が後押しをしてくれたので、一も二もなく決断しました。ニーズと意欲と行政のサポート、この3つの条件がそろったとき、我々医療人は勇気をもって前に進むことができるのです」と、院長の浦田士郎は語る。
001-2.jpg 安城更生病院では、「母体胎児センター」として、6床の母体・胎児集中治療室(MFICU)を新設し、分娩部を4室に増床。「新生児センター」として、新生児集中治療室(NICU)を15床に、継続保育室(GCU)を30床にそれぞれ拡張整備し、この二つのセンターから成る「総合周産期母子医療センター」を開設した。ここでは24時間365日の搬送受入体制を備え、リスクの高い妊娠に対する医療や高度な新生児医療を行っている。


Episode 02 /

動く“新生児集中治療室”、ドクターカー「きらり」が
年間約180回、出動。

002.jpg 「けいれん症状のある新生児の受け入れをお願いします」「まもなく帝王切開で低出生体重児を出産予定なので、万一の場合に備えてお願いします」―総合周産期母子医療センターでは、こうした近隣の産科医院からの要請がほぼ2日に1回入る。電話を受けると、医師、看護師がドクターカー「きらり」に乗り込み、速やかに依頼先へ向かう仕組みだ。
 ドクターカー「きらり」は、新生児専用の救急車。地域の産科医院から要請を受けて、24時間態勢で新生児をお迎えにいく。車内には、開放型保育器のほか、人工呼吸器を搭載し、重症呼吸障害に対しても適切な診療を提供できる。双胎新生児にも対応できる設計だ。「きらり」が生まれた背景について、浦田院長はこう語る。「この地域の周産期医療を支えるには、当院のみが施設を充実させても上手くいかないと考えました。近隣の医療施設との緊密な連携が必須であり、『きらり』はそういう地域の医院に“援軍”を送るという意味合いをもちます」。
 「きらり」の出動回数は、当初の予測をはるかに上回り、年間約180回にのぼる。新生児・未熟児医療は一刻を争う。動く“新生児集中治療室”とも言えるドクターカーが昼夜を問わず、駆けつけてくれることは、一部知多半島を含む西三河南部地域の産科医院にとって大きな心の支えになっている。

Episode 03 /

西三河南部地域が抱える問題。
それは、医療の需給バランスの悪さ。

 地域全体の周産期医療を考え、産科医院にドクターカーを派遣する仕組みを作った安城更生病院。同院が地域医療連携に力を注ぐ理由の一つは、「この地域が、病院数、医師、看護師の数とも圧倒的に少ない」ことにある。三河南部エリアは人口108万人に対し、病床数は6368床。人口10万人に対する病床数は約590床となる。これは、全国平均の1260.4床の半分にも満たない(平成21年厚生労働省・地域保健医療基礎統計より)。しかも、地域の中心にある安城市は、毎年人口増加を続けており、医療資源は年々不足する傾向にある。医療を供給する病院がどんなに頑張っても、需要に追いつかない状況なのだ。
003.jpg 「需要と供給の非常にアンバランスなところで、各医療機関がお互いに連携しながら、かろうじてバランスを保っている状態」と浦田院長は分析する。医療資源の不足はとりわけ救急医療に大きな影響を与えるが、「病院が少ないからこそ、“うちが断ったらどうなるんだ”という使命感をもって対応している」という。また、安城市では、救急病院に軽症の一次救急患者が集中しないよう、地元の医師会と安城市が協力して休日夜間急病診療所を作っている。「平日夜間や土日は、そちらの診療所でかなりの数を診療してくださっています。そのおかげで、当院は二次・三次の救急をお断りしないよう頑張れます」。
 病院、診療所が役割分担し、互いに支え合うことで地域医療を守っているのである。


Episode 04 /

めざす病院の将来像は、
地域医療ネットワークのセンターのような病院。

 安城更生病院では、救命救急センターや総合周産期母子医療センターのほか、地域がん診療連携拠点病院、地域中核災害医療センターと多くの指定を受け、さまざまな役割を果たしている。そのすべてにおいて重要なのは、「地域医療ネットワークです」と、浦田院長は強調する。「地域の診療所、病院との連携があってこそ、当院がある、という考え方ですね。その考えを実践するために昨年、地域医療支援病院の指定も受け、地元医師会との対話、行政や議会での対話を深めるよう努めています」。
004.jpg “対話と連携”を基本に地域医療を考えると同時に、もう一つの重要なポイントは「安城市の市民病院的な役割と、西三河南部地域の中核病院という2つの顔をもつ利点を活かしていくこと」だと浦田院長は語る。「実は、この2つの顔をもっていることが重要な意味をもっています。広域病院として高度な医療を実践しているから、優秀な医師や看護師が集まってくれます。そのマンパワーをフルに活用することで、市民のための地域医療を守れるのです。ただ、当院に医療機能を集中させるだけで終わるのは抵抗があります。地域にお返しする意味も込めて、地域の先生方を対象に研修会や講演会を開催したり、地域で働く医療スタッフをうちでお預かりしてトレーニングしたり、そういう情報発信や人材教育の面でも貢献できる病院を構想しています」。
 浦田院長がめざすのは、「地域医療ネットワークのセンターのような病院」である。西三河南部地域の中心に立つ病院として、医療連携をいっそう力強く推進していこうとしている。


COLUMN /

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●安城更生病院の名称は、「厚生」ではなく、「更生」という字を使っている。この二文字には、長い歴史的な背景がある。安城市はかつて「日本のデンマーク」と呼ばれた近代農業の先進地である。しかし、昭和に入って世界的な恐慌が起き、農村経済は甚大な影響を受け、その立て直しを図るために農山漁村経済更生運動が始まった。「更生」の二文字は、この運動から命名されたもので、「甦る」という意味をもつ。

●当時、山崎延吉翁(愛知県立農林学校※・初代校長)が提唱した「健康を離れて幸福はない」という意見を基に、昭和10年に創設されたのが、組合病院の「更生病院(現・安城更生病院)」である。安城更生病院はその創立の精神を今日まで受け継ぎ、「地域住民の健康と幸福に寄与する」ことを理念に掲げ、地域医療への貢献を続けている。
※現・愛知県立安城農林高等学校

BACK STAGE /

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●患者はもちろん、医師や看護師、その他の職員を引きつけて離さない魅力的な病院を「マグネットホスピタル」という。もともと米国で生まれた概念だが、深刻な医師不足、看護師不足が続くなか、日本でもマグネットホスピタルへの関心が高まっている。

●高度な機能を備え、若手医師や研修医、そして看護師らがやりがいをもって働ける環境を備えた病院。そんなマグネットホスピタルが地域にあることで、地域医療全体の質的向上につながることは言うまでもない。さらに、安城更生病院がめざすのは、その一歩先である。「人を集めるだけでなく、集まった医療資源を地域に還元していきたい」(浦田院長)という。ネットワーク発想で地域医療の発展を追求する安城更生病院のこれからに大いに期待したい。


ACCESS /

愛知県更生農業協同組合連合会
安城更生病院
〒446-8602 安城市安城町東広畔28番地
TEL 0566-75-2111
FAX 0566-76-4335
http://www.kosei.anjo.aichi.jp/top/index.cfmLinkIcon