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これからの時代に求められる
新しい二次医療機関とは。
病院のあり方を見つめ、革新に挑む。

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Episode 01 /

市民の声から生まれた犬山市唯一の総合的な病院。


IMG_2758.jpg 犬山市には昔から市民病院がなく、公的な病院を切望する市民の声は大きかった。「病気になったとき、安心して受診できる総合的な病院がほしい」。そんな市民の願いに応え、公的な役割を担うべく1982年に開院されたのが、医療法人社団志聖会 犬山中央病院である。
 開院当初は内科、外科、小児科など5診療科、161床、職員数159名でスタート。その後、整形外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科など必要とされる診療科を増やしつつ、予防健診や救急医療体制を充実させていった。2003年には、回復期リハビリテーション病床と人間ドック・健診専用スペースを備えた新棟がオープン。現在、22の診療科と316床の病棟(一般病床268床、回復期リハビリテーション病床48床)を備え、約470名の職員を抱える地域の中核病院へと成長している。
 しかし、財政面から見ると、この30年間の歩みは決して順風満帆ではなかった。通常、市立病院には市からの財政支援があるが、犬山中央病院は民間病院のため、公的な役割を果たしつつも、そうした経済的な支援は望めない。それでも、採算・不採算を問わず、市民のニーズに応える診療科を幅広く取り揃えなければならない。さらに近年では、深刻な医師不足の問題も重くのしかかってきた。「市民から求められる病院の機能を維持するために、なんとか頑張ってやってきた、という感じですね」と、呼吸器内科部長で地域連携室の責任者も務める竹腰 篤医師は語る。

Episode 02 /

循環器センターを開設し、得意分野を打ち出す。

IMG_2707.jpg 厳しい財政状況のなか、どのように病院を維持し、地域医療を支えていくか。そこで、同院が力を入れているのが、公的な役割を担う病院として幅広い診療領域をカバーしつつ、そのなかでもキラリと光る得意分野を伸ばしていくことである。
 その代表例が、循環器領域への挑戦だ。2008年、心臓カテーテルのエキスパートとして知られる伊藤一貴医師を招聘し、それまで医師不足により一時期閉鎖していた循環器内科を再開するとともに、尾張北部地域で初めてとなる循環器センターを開設した。ここでは狭心症や心筋梗塞をはじめ、不整脈、弁膜症、心筋症、先天性心疾患など幅広い疾患に対応し、心臓カテーテルによる冠動脈形成術は1年で約600件を数え、東海地区でも有数の成績を上げている。さらに、2010年には心臓リハビリテーションの取り組みにも着手。循環器疾患をもつ患者のスムーズな社会復帰や疾患の再発防止を目的として、運動療法や食事療法を提供し、超急性期から回復期までの包括的な治療を提供している。
 こうした目覚ましい展開の狙いはどこにあるのか。「高齢化の進むこの地域では、心臓・血管系の疾患をもつ患者さんがたくさんいらっしゃいます。そういうニーズに、地域の中核病院として応えたい、という思いがあります」と、竹腰室長は言う。循環器センターができたことで、地域の診療所からの紹介患者も増大した。地域で求められる専門医療に焦点を当て、その高度化を図ることで、地域で「選ばれる」病院をめざしていこうとしている。

Episode 03 /

超高齢社会で求められる、総合的な診療能力。


IMG_2911.jpg 心臓・血管系の疾患に強い病院として、地域住民の期待を集める犬山中央病院。自らの得意分野を伸ばす一方、同院が重要視しているのが、高齢患者が抱える複数の疾患にもきめ細かく対応する総合的な診療機能だ。高齢になればなるほど、当然ながらさまざまな疾患を併発する。また、それらの疾患は互いに関連し合っていることも多い。こうした高齢患者の治療には、一つの臓器だけでなく、全身をしっかり診て、小さな急変も見落とさない総合診断力や全身管理が必要となる。
 また、患者を中心にさまざまな診療科の医師が協力してチーム医療を実践していかなければならない。しかし、同院の場合、郊外に位置することもあり、すべての診療科にわたって潤沢に医師を確保できている状況ではない。たとえば、高齢者のメンタルケアに不可欠な心療内科などは標榜していない。
 「当院ぐらいの規模の病院では、必ずしも全診療科が完璧な状態で揃っているわけではありません。限られた医療資源で高齢化する地域を支えるためには、従来の診療体制に加え、全身をしっかり管理していく総合内科的な機能を、強めていくことが重要だと考えています」と竹腰室長は語る。


Episode 04 /

地域医療連携を深め、
地域医療ネットワークのコントロールタワーへ。


IMG_2523.jpg 犬山中央病院はまた、救急医療にも力を注いでいる。救急車受入台数は現在、年間約1900台。二次救急医療機関として、時間外や休日であっても救急搬送を受け入れ、24時間365日の救急医療を提供。外科系・内科系の医師が、オンコール体制ですぐさま病院に駆けつけ、院内で対応できる疾患は、各専門医へ。そうではなく別の専門医が必要なケースは、近隣の三次医療機関へ紹介する体制を構築している。
 院内には、すべての疾患に対応できる救命救急センターのような高度先進医療機能はない。しかし、総合的な診療機能を発揮することで、重症な疾患を決して見逃すことなく、適切な治療へ繋いでいる。そのことは、犬山市民の救急医療ニーズにしっかり対応できることを意味する。
 「当院がめざすのは、地域医療ネットワークの“コントロールタワー”なんです」と竹腰室長は語る。コントロールタワーとは、空港の管制塔であり、司令塔という意味も持つ。来院した患者を円滑に受け入れ、適切な対処を行い、必要に応じて三次医療機関へ橋渡しする。「地域の限られた医療資源を最大限に活かし、地域住民がいつでも適切な医療を受けられるよう調整する役割を担っていきたい」というのが、竹腰室長の描く、これからの病院モデルなのだ。
 一方、犬山市からもう少し広いエリア、尾張北部医療圏(春日井市、小牧市、江南市、岩倉市などを含む)のなかで見ると、超急性期での専門治療を終えた患者に、そこでの医療の質を担保した継続ケアを提供できる病院は少ない。「地域全体で見ると、そういった機能を当院が担うことも重要な検討課題だと感じています。とくに当院は回復期リハビリテーション病床をもっていますので、急性期から回復期、そして在宅への継続ケアに力を入れていきたいですね」(竹腰室長)。
 同院では2010年、従来の病診連携室を地域医療連携室へ組織改編。犬山市の公的な役割を担う病院として、地域医療ネットワークの要を担う病院へ…。地域の診療所や近隣の病院との連携をいっそう深め、中核病院としての存在感を高めていこうとしている。

COLUMN /

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●犬山中央病院が循環器疾患とともに力を入れる専門領域が、脳疾患である。高度な専門治療を提供するために「脳卒中センター」を立ち上げ、3名の専門医を中心としたチーム医療により、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などすべての脳血管障害の診療にあたっている。とくに一刻を争う救急疾患については、当番の専門医が24時間待機するオンコール体制で迅速に対応している。

●急性期の治療後も、リハビリテーション科と協力して回復期リハビリテーションに力を注ぐ。在宅医療への継続ケアにおいては地域の診療所との連携を深め、患者の早期社会復帰を強力にサポートしている。さらに、「健康管理センター」において一般の人間ドックに加え、「脳健診」も積極的に行っており、予防医学的なアプローチにも力を入れている。

BACK STAGE /

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●全国的に、市民病院的な役割を担う二次医療機関の多くが、厳しい財政状況にあえいでいる。その原因の一つは、全診療科体制にあるとも言われている。市民のニーズに応え、診療科を幅広く揃えるには、医師獲得や設備拡充の上で大きな負担がかかる。しかも、全診療科を揃えることで逆に病院の個性を打ち出せず、研修医が集まらない要因になっているのではないか、と指摘する声もある。

●2004年にスタートした新医師臨床研修制度により、研修医は自由に研修先病院を選べるようになった。それによって、魅力のある一部の病院に研修医が集中するという問題も生じている。犬山中央病院のように、得意領域をもつ病院へモデルチェンジを図ることが、研修医にも患者にも「選ばれる病院」になるための、一つの突破口になるのではないだろうか。同院のこれからの活躍に注目していきたい。


ACCESS /

犬山中央病院
〒484-8511 愛知県犬山市大字五郎丸字二タ子塚6
TEL 0568-62-8111
http://www.inuyamachuohospital.or.jp/LinkIcon