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地域を大きな病院と考えて、
自らの役割を全うしていく。

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Episode 01 /

地域のニーズに応え、病院を大きく、さらに高度に。


905225.jpg 海南病院では平成22年度末から6年計画で大規模な施設整備を進めている。23年度は新たな管理棟(事務所・健康管理センター・日帰り手術センター・内視鏡センター)が完成。次のステップとして平成25年度半ばまでに最大の責務とされる大型高度救急センターと救急専用病棟が完成する予定だ。この設備が整うと、救急車を同時に5台程度受け入れ可能となり、年間延べ8000台の救急車を受け入れるハードが整う。救急患者はすぐ階上にある救急病棟に入院、重傷度により必要であれば最短の動線で手術室、集中治療部への移送が実現。災害拠点病院(地域災害医療センター)としても、万一の災害時に大きな力を発揮することが期待されている。
 こうしたハード面の整備と同時に、ソフト面の準備も着々と進んでいる。救急医療に必要な診療科を増やすとともに、心臓血管センター、脳卒中センターの運用をスタート。また、多発外傷に対応するために整形外科や口腔外科などの医師を増員し、四肢(骨盤)外傷センターも立ち上げた。結果、現在32の診療科、7つのセンターを擁することとなった。しかし、診療機能を上げるための構想はまだまだ続いていく。
 このように高度救急医療機能を拡充する一方で、60床の回復期リハビリテーション病棟は平成24年6月で閉鎖された。この狙いについて山本直人院長は「設備計画を練るなかで、当院のあるべき形が次第に明確になっていきました。回復期については地域にたくさん病院ができています。地域連携パスを用いれば、医療の質を担保しながら、連続した医療を提供できると考えました」。すでに周辺病院との連携も始まり、急性期から回復期への転院はスムーズに行われている。
 最終的には教育研修棟などを建築する予定で、将来的には地域の高齢化に対応すべく「在宅診療部」の設置を構想している。医療の入り口である超急性期と、出口にあたる在宅医療の部分を海南病院が担い、その中間にあたる亜急性期から慢性期医療は地域医療ネットワークで支えていこうというのが、同院の描く将来ビジョンなのだ。

Episode 02 /

海部医療圏の医療崩壊の危機を乗り越える。

652029.jpg 地域の中核病院として、ますます強いリーダーシップを発揮する海南病院。そのベースには、5年ほど前に起きた海部医療圏の医療崩壊危機がある。海部医療圏には海南病院、津島市民病院、あま市民病院という3つの基幹病院がある。このうちの津島市民病院が、深刻な医師不足から一般診療も救急医療も大幅に縮小せざるを得なくなったのだ。続いて、あま市民病院も同じように厳しい状態に陥り、同じ医療圏の海南病院に一気に患者が集中した。「一般外来も救急外来も非常に混乱し、職員はかなり疲弊していましたね」と山本院長は当時を振り返る。しかし、それでもなんとか持ち堪えられたのはどうしてだろうか。「やはりうちが最後の砦として、地域医療を守るという強い決意ですね。私たちが受けなければ、この患者さんたちは行く所がない、という意識があったから踏ん張れたと思います」。
 “共倒れ”を防ぐために、同院はもともと連携関係にある津島市民病院の支援に動き出した。機能停止になった診療科に医師を派遣するとともに、研修医教育を強化するため、研修担当の三島信彦副院長が津島市民病院に赴いた。医師会にも協力を仰ぎ、平日夜間の一次救急を引き受ける急病診療所も開設された。さらに行政や大学からの支援も受け、同時にあま市民病院は名古屋第一赤十字病院がサポートすることで、2つの医療機関は危機を脱し、海南病院も平時の医療体制を取り戻すことができた。

Episode 03 /

いつも地域に足りないものを補完してきた。


905229.jpg 海部医療圏の危機を乗り越えるために全力を尽くした海南病院。その根底には、昭和13年の開院以来、同院に受け継がれてきた強い信念がある。それは、「いつも地域を見つめ、地域にないものを補完し、何があっても地域医療を守り抜く」(山本院長)ことだ。
 たとえば、周辺の町村に救急医療機能がなかったため、早くから救急指定病院の告示を受け、救急医療の強化に取り組んだ。その一方で地域に在宅医療を支える機能がないことに着目し、急性期病院でありながら介護・福祉関連施設を次々と広げていった。現在、訪問看護ステーション2カ所、通所リハビリテーション1カ所、ヘルパーステーション3カ所、地域包括支援センターを展開し、訪問リハビリテーションや訪問入浴サービス、ケアプラン作成も行っている。このほか、地域にがん患者のターミナルケアを担う施設がないことから、緩和ケア病棟も開設するなど、展開する領域は幅広い。「地域で完結型医療をめざすにしても、地域にない部分は当院が担う、というのが基本的なスタンスです。この地域のために、私たちは何をすべきかということを常に考えて事業展開してきました」と山本院長は語る。「地域のために」という思いが、海部医療圏を崩壊から救った大きな原動力だったと言えるだろう。


Episode 04 /

病院は一つのチーム。地域は大きな病院。


905104.jpg 海部医療圏の危機を乗り越え、海南病院はひとまわり強い病院へと成長した。その一つは、チーム医療の進化だ。「患者さんが押し寄せて大変だったとき、他職種が集まり、業務分担の見直しや効率化を図った。このことが当院のチーム力を強くしました」と山本院長は言う。そしてこのときだけではなく、引き続いて同院では、チーム医療の質を上げる取り組みに力を注いでいる。医療の質を具体的な数値に示すクリニカルインディケーター(臨床指標)を活用し、皆で情報を共有、問題分析と改善に繋げている。たとえば、入院中の緊急再手術率、入院患者の転倒・転落発生率など、さまざまな臨床指数が抽出され、ホームページでも公開されている。
 危機を通じて得たもう一つの大きな成果は、顔の見える地域医療ネットワークだろう。「津島市民病院とは診療科の部長クラスとも顔の見える関係ができ、従来にも増して絆が深まったと思います。また、地域の病院や医師会の方とも密に情報交換できるようになり、さらに住民の方にも参加していただいて、この地域の医療をみんなで守っていこうという気運が生まれました」(山本院長)。
 「病院は地域の公共財産」というのが、山本院長の考えである。「地域の方々がこの町に住んでよかったと思えるように、地域全体を大きな病院と捉え、医療機関が連携して、より良い医療提供体制を考えていかねばなりません。私たちはそのなかで、自らの役割をしっかり認識して、社会的責務として実現していきます」。いつも地域を見つめ、地域に必要な医療は、何があってもやり遂げる。海南病院の挑戦はこれからも続く。

COLUMN /

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●海南病院は、愛知県内でも研修医から人気が高い。その理由の一つは、充実した教育体制にある。「病院機能の維持には人を育てることが第一。実働の若手医師は大学に頼ることなく、自前で育成しよう」という考えから、病院全体で研修医の教育に力を注いでいる。平成22年には初期研修プログラムの質的向上を図るために、NPO法人 卒後臨床研修評価機構による研修病院評価も受け、愛知県下で5番目の認定を受けた。

●同院の教育の柱は、上級医が下級医をきめ細かく指導する「屋根瓦式の研修」である。指導医を中心に医師同士の関係は親密で、9割にのぼる研修医が研修後も病院にとどまる。今や同院の常勤医の半数を、卒後6年次までの若手医師が占めるという。院内にただよう明るく活気にあふれた雰囲気は、この若いパワーによるところが大きいのかもしれない。

BACK STAGE /

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●海南病院の地域連携の一つに、研修医教育がある。木曽川河口周辺地域を診療圏としてカバーする5つの臨床研修病院(いなべ総合病院、海南病院、桑名西医療センター、桑名東医療センター、津島市民病院)が集まり、名古屋大学大学院医学系研究科 地域医療教育学講座や医師会の支援のもと、若手医療人の研修に力を注いでいる。県や支援大学の境界、設立母体の違いを超えての連携は愛知県下でも珍しく、画期的な取り組みと言えるだろう。

●同院はまた、住民啓発にも力を注ぐ。海部医療圏の基幹病院や医師会が中心となり、「地域医療と健康生活を守るためのシンポジウム」を継続して開催しているのだ。これらの活動はすべて地域医療を守ることが目的だ。病院や大学との連携、住民との対話。海南病院の取り組みには、これからの地域医療再生に必要なヒントがたくさん隠されているようだ。


ACCESS /

愛知県厚生農業協同組合連合会
海南病院
〒498-8502 愛知県弥富市前ケ須町南本田396
TEL 0567-65-2511
FAX 0567-67-3697
http://www.jaaikosei.or.jp/kainan/LinkIcon