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北米型ERシステムと
機能性を極めた救命救急センターを駆使し、
地域住民に「安心」を提供し続ける。

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Episode 01 /

救急患者年間50968人(平成21年度)。
軽症から重篤な患者まであらゆる救急患者が押し寄せる。

02.jpg 名古屋市東部の丘陵地に建つ名古屋第二赤十字病院。2001年に完成した救命救急センター棟は、24時間365日、明かりが消えることがない。昼夜を問わず、病気やケガに苦しむ救急患者を受け入れるためだ。
 「救急患者」とひとくちにいっても、点滴や投薬など簡単な処置で様子を見ることができる軽症の患者から、命に別状はないがただちに入院や手術などを要する患者、そして、生命に関わる重篤な患者まで、その緊急度はさまざまである。我が国の救急医療では、こうした緊急度の違いによって一次・二次・三次と分類し、それぞれに担当する医療機関を定めた分業体制がとられている。
 この区分けに従えば、名古屋第二赤十字病院の救命救急センターは、命に関わる状態の患者を対象とする三次救急に該当する。が、同センターでは、「すべての救急患者さんの応需をめざす」というポリシーの下、一次や二次の患者も、可能な限り受け入れている。
 結果、同センターを訪れる患者は、年間5万人を突破。一日平均およそ140人の計算だ。
 この途方もない人数の救急患者を受け入れられるのは、同院の救命救急センターが「北米型ER(Emergency Room)センター」と呼ばれるシステムを採用しているからである。

Episode 02 /

救急患者の窓口であり、
専門治療への橋渡し役として。

03.jpg 「北米型ERセンター」とは、重症度にかかわらず、あらゆる救急患者を受け入れ、救急部と各診療科とが連携して対応するシステムである。すなわち、各診療科とは別に設置された救急部があり、そこに所属する医師が、救命処置と、全救急患者の重症度を判定する救急トリアージを行う。その後、診断結果に応じて、この患者はICU(集中治療部)へ、あの患者はSCU(脳卒中治療部)へ、また別の患者は一般病棟へと、できるだけ迅速に各専門領域の医師に引き継ぐのだ。
 つまり、救命救急センターは、あらゆる救急患者の受け入れ窓口であるとともに、次の専門治療への橋渡し役という位置づけだ。救急部の医師が一人の患者に長く関わることがなく、その分、次の救急患者の受け入れ体制を整えることができる。
 この先進的なシステムをカタチにしたのが、地上6階地下2階の救命救急センター棟だといえよう。
 設計コンセプトは、「救急車が同時に5台横付けしても対応できる救急外来」。同時に多数の重症患者を受け入れられるよう、1階フロアに初療室や救急室、点滴室を複数設け、特に救急室の1床分のスペースを広く確保。充分なゆとりを持たせた設計になっている。
 さらに、救急車で搬送された患者と、自力で来院した患者の入り口を別々にし、診察・検査・治療・入院まで、それぞれの動線が交わらないような工夫も施した。また、各種の集中治療ユニットや13の手術室を集中配置することで、迅速な治療を可能にしたという。
 その先進性は、オープンから10年経過した今も、全国から医療関係者が見学にやって来るほどだ。

Episode 03 /

救急部内での連携と、「全科参加型」の病院をあげての取り組み。

06.jpg とはいえ、年間約5万人である。システムとハードだけで乗り切れるほど甘くはない。
 同院の救命救急医療をソフト面から支えるのは、救急部内の医師と研修医の連携プレー、そして「全科参加型」の救急体制だ。
 まずは、救急部内の連携を見てみよう。救急部には、救急専門医と上級医師、研修医がいる。研修医とは、医師の国家試験取得後、2年間の臨床研修中にある医師たちのこと。キャリアはまだ浅いが、ここでは貴重な戦力となっている。
 というのも、前述したように、軽い症状の一次救急の患者から生命に関わる重篤な三次救急の患者まで、入り乱れて来院するため、トリアージの結果、緊急度が低い患者の対応は研修医が担っているからである。その間に、救急専門医や上級医師は重篤な患者の治療に対応することが可能になるのだ。
 もちろん、研修医単独で診断するわけではなく、必ず上級医師に報告。その判断の下で診断を確定するという、連携プレーが行われている。研修医を集めるのに頭を悩ます病院が多いなか、同院では毎年20名前後の研修医を、コンスタントに確保できているのが強みとなっている。
 救急の最前線で奮闘するのが救急部なら、その後の専門治療で救急部をバックアップし、各診療科の最先端の医療を救急医療に反映させているのが、それぞれの専門医たちである。
 石川清院長が語る。
 「当院の医師は全員が救急医であるというのが、長年受け継がれてきた当院の考え。救急医療は、何も救急部だけが担うものではないのです。夜間・時間外の当直も、救急外来の7名だけでなく、集中治療部をはじめとする各診療科11名の専門医も毎晩待機していますし、もちろん、看護師や検査技師、放射線技師なども24時間対応です。いつでも当院が持つすべての医療資源を活用できる。それが、我々がめざす“全科参加型救急”なのです」


Episode 04 /

「救急医療」を守るのは、私たちの使命。

07.jpg 結核専門病院から一般病院へ転換した1960年以降、「医の原点は救急医療である」という方針の下、救急医療の充実に力を入れてきた同院。そのバックボーンにあるのは、「苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という日本赤十字社の使命である。
 救急部副部長の稲田眞治医師は、国として救急医の絶対数が不足していると指摘し、「救急医療に意欲を持った研修医たちに、研修先として当院を選んでもらい、そのなかから救急医をめざす医師を育て続けていかなければなりません。地域のためにも、救急医を育てることも当院の責任」と、救急医療の将来まで見通した使命感を口にする。
 石川院長も、「地域の救急医療の中核を担う病院として、地域住民の安心を守るため、今後も救急医療に邁進する姿勢に変わりはありません」と、救命救急医療に対する熱意を語る。
 名古屋第二赤十字病院といえども、ベッドやマンパワーが無尽蔵にあるわけではない。それでも彼らは「我日常、彼非日常」、つまり「自分たちにとっては日常であっても、私たちのところに来る患者さんにとっては大変な事態である」ことを胸に刻み、今日も命の最前線を守っている。


COLUMN /

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●名古屋第二赤十字病院は、病床数812、24の診療科を擁する、名古屋市東部の基幹病院である。1975年に愛知県下で初のICUを開設したのを皮切りに、次々に高度で専門的な治療部を整備するとともに、重症救急患者に対応できる救急医療体制の整備にも力を尽くしてきた。今回、紹介した救命救急センターは、その歴史が大きく実った表れだといえる。

●同院はまた、赤十字の精神を背景に、災害救護にも積極的に取り組んでいる。阪神・淡路大震災や東日本大震災など、国内の災害時のみならず、海外の医療救援や復興支援にも力を入れ、2001年には日本赤十字社の5つ目の国際医療救援拠点病院にも指定された。これまでに15カ国の災害現場や紛争地域に、延べ90名の職員を派遣。現在も、北イラクの戦傷外科病院で看護師1名が活動をしている。

BACK STAGE /

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●そもそも、我が国の救急医療体制が、患者の重症度に応じて3段階に分けられたのは、1977年のことだ。重症の患者を主に診る三次救急と、中等度の患者に対応する二次救急、そして軽症の患者のための一次救急。それぞれの医療機関が役割分担をすることで、入院施設や医療スタッフなどの社会的資源を有効活用しようというのが狙いだった。

●だが、いまや多くの救急医療の現場は崩壊状態だ。一次救急で間に合う場合でも、むやみに二次・三次を受診する患者。「昼間は仕事がある」「数カ月前から痛みがある」など、救急とは言い難い理由。そうした患者の存在に疲弊し、救急から撤退する病院もある。3段階に分類した現状の制度自体、見直す時期に来ているのかもしれない。

●救急医療は「命の砦」だ。制度の改善には時間がかかる。患者である我々が今すぐにでもできることとして、適正な利用を心がけたい。


ACCESS /

名古屋第二赤十字病院
〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2番地9
TEL 052-832-1121(代表)
http://www.nagoya2.jrc.or.jp/LinkIcon