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職員が誇りをもって働ける
「最高の病院」になるために。
コーチングを取り入れ、自らを変える勇気をもつ。

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Episode 01 /

周囲の評価は高い。
しかし、本当に良い病院といえるのだろうか。

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 名古屋の基幹病院として、地域から大きな信頼を集める名古屋第二赤十字病院。しかし、就任4年目(2011年当時)を迎えた石川院長は日々、自問自答していた。果たして本当に良い病院なのだろうか、と。「良い病院であれば、看護師の離職率はもっと下がるはずだし、医療トラブルも起きないはずです。また、現場を回ってみると、どの部署からも不満の声が聞こえてきます。自分のやりがい、上司や他部署との関係など、いろいろなところに不満の種がある。新人の接遇講習を行う講師からも“接遇は三流”と言われる。そういう問題をすべてクリアしなくては、本当に良い病院とはいえないのではないか、とずっと考えていました」。
 そんな石川院長の思いが、「最高の病院をめざそう」というスローガンとなり、2012年の年頭挨拶で発表されたのだ。最高の病院という言葉には、“良い病院”という現状の評価に甘んじることなく、それ以上の病院をめざそうという決意が込められている。
 では、石川院長が考える最高の病院とは、どんな病院だろう。それは、「職員が日々の仕事にやりがいをもち、患者さんに提供する医療やサービスは最高であると信じ、患者さんもそれを感じている病院」だという。「ただ上辺だけのサービスで患者さんの満足をめざすのでは、最高の病院とはいえません。働いている職員がやりがいや満足感をもたないといけない。職員満足度が一番重要なのではないかと考えました」と石川院長は話す。
 目標達成には、期限を設けることで意欲が高まる。折りしも同院は、2014年12月で百周年。この節目の年をゴールに設定し、一段と高い理想に向かって、同院は走り出した。

Episode 02 /

「最高の病院になるためのプロジェクト」が動き出す。

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 石川院長は「最高の病院をめざす」という方針を発表した後、即座に動き出した。まずは、院長を含む10名前後のメンバーで構成する「最高の病院になるためのプロジェクト」を発足。このプロジェクトで取り組むべき課題を分析し、それを実現させていく実行チームを立ち上げた。具体的には、すべての職員が標準的な行動ができるような行動規範を作る「標準化チーム」、職員がやりがいをもって働ける環境を作る「職員満足度チーム」、さらに、患者さんの満足度を調査・分析し、改善に結びつける「患者満足度チーム」である。
21-505.jpg こうしたプロジェクト活動と並行して、人材育成の手法の一つ「コーチング」を導入した。コーチングは、ティーチング(教える)とは違い、答えはその本人がもっているとし、対話を通してモチベーションを引き出し、目標達成をサポートするもの。現在、ビジネスの世界で注目され、世界的大企業でも数多く導入されている。コーチング導入の仕組みは、まず組織の中心メンバーがコーチングのプロから指導を受け、リーダーにふさわしい態度や自主性、コミュニケーションスキルを学ぶ。その人たちが今度はチームのメンバーや部下たちにその手法を実践していくものだ。
同院では昨年5月から8カ月間、院長をはじめ、医師、看護師、薬剤師、技師、事務などの役付職員25名が、外部講師からコーチングの指導を受けた。さらに受講した職員はそれぞれ、院内でコーチングに関心のある職員5名ずつにその手法を実践。総勢150名の職員がコーチングの手法を学んできた。このプログラムに参加した職員らは、対話力や自発的な行動において、少しずつ変化が見られるようになってきたという。

Episode 03 /

病院という専門家集団。
古い体質の残る組織風土を変えていく。

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 「病院」は、専門職が集まった縦割りの組織である。昔ながらの職位や職種間の壁は未だに存在し、そのことが風通しを悪くしている。たとえば、医療トラブルが起きる原因も、大半はコミュニケーション不足だ。職員同士がもう少しスムーズに意思疎通できていれば、あるいは患者さんにもう少し丁寧に説明していれば防げたトラブルも多い。また、医療トラブルを後から検証してみると、下の職員はミスに気づいていたが、上司に伝えることができずに起きたケースもある。「先生、間違っていますよ」と気軽に言えない古い体質が根強く残っているのだ。
 石川院長が、対話により個々の自発的な行動を促すコーチングを導入した狙いも、そんな古い体質を変革したいという強い思いがあったからだ。「チーム医療が生まれ、職員同士の対話の質が重要になってきました。たとえば、栄養士が医師に提言するなど、“正しいことを自由に言える”風土が求められています。また、インフォームドコンセントが当たり前の時代になり、患者さんと医師の関係も大きく変わってきています。コミュニケーション不足では、医療の質を高めることはできません」と、石川院長は説明する。
 職位や職種の壁を超えてコミュニケーションが良くなれば、職員はもっと働きやすくなり、それぞれが主体的に考え、行動できるようになる。そうなれば、やりがいなどの満足度も上がり、看護師の離職率も下がる。また、職員満足度と比例して、自然と患者満足度も向上する。そんな好循環のサイクルで病院を変えていくことを、石川院長は構想している。


Episode 04 /

自分が変わり、リーダーが変われば、組織は必ず変わっていく。

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 「最高の病院をめざす」と宣言してから、1年余り。職員の意識は少しずつ変わり始め、新しい試みも導入されている。たとえば、職員同士、感謝の気持ちをやり取りする「サンキューカード」。同僚はもちろん、部下から上司へ、上司から部下へと、仲間に感謝する風土を作ることが狙いだ。「ほめられてうれしくない人はいませんからね。お互いの存在を認め合う、感謝し合うのが、コミュニケーションの基本です。私もカードを3枚もらいました」と石川院長は笑みをこぼす。
 ただし、病院の風土改革は一朝一夕でできるものではない。「職員満足度調査の結果が変わるところまで到達していませんし、成果はまだまだです。でも、何よりも私自身、医師になって初めて“自己評価と他者評価の違い”を知って驚き、意識が変わり、対話の仕方も工夫するようになりました。まずは自分がポジティブに変わること。そして、各部署のリーダー職員が変われば、必ず組織は変わっていくと思います」と石川院長は意欲を見せる。
 キーパーソンは幹部層であり、リーダー職員にある。そこで、今年度は主任以上の職員を対象に、平日1泊2日の「リーダーシップ研修」を年3回開催することも決まった。コーチング・プログラムを受ける対象者を増やし、職員の意識改革を病院全体へ広げていく計画だ。
 名古屋第二赤十字病院はどんな病院へと進化するのだろう。その成果を大いに注目したい。


COLUMN /

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●「最高の病院」という目標を掲げてから、石川院長は毎月、職員向けの院内報で、改革の狙いや進行状況についてメッセージを送り、職員の理解と協力を仰いできた。文章の最後には必ず「小さなことでも結構ですから、職員の皆さんのご意見をお知らせください」と書いて、自分のメールアドレスを掲載した。これまでに届いたメールは、約70通。「職員同士がもっと挨拶できる病院になればいい」「患者さんから感謝されるのが仕事の原動力。感謝の気持ちを伝え合うことが大切」などの意見が寄せられ、「サンキューカード」の実践などに結びついている。

●約1600人を抱える大所帯の病院で、院長にダイレクトに意見を述べる仕組みがあるのは珍しい。「トップは現場を知らない」と思われがちだが、石川院長は自ら現場を回り、さまざまな職員の声に真摯に耳を傾けている。

BACK STAGE /

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●医療は急速に進み、それに対応するために病院は、高額な医療機器や電子カルテなどのIT化に多くの予算を投じている。「新しい機械が入る」「コンピュータのシステムが変わる」など、それらの投資は誰の目にも見えて解りやすい。

●一方、人材育成や職員満足度の向上など、目に見えないソフトに投資するには、大きな勇気がいる。「昔は、スポーツクラブをはじめ、福利厚生の充実が職員満足度に繋がると思っていました。でもそれは上辺のことで、本当に大切なのは、いかに日々のやりがいを高めるか、でした」と石川院長は振り返る。職員が高い満足感をもって働ける環境づくり。そのことが医療トラブルの減少や職員の定着率の向上、ひいては患者評価に繋がれば、非常に大きな成果といえる。病院の進化で必要なのは医療レベルの向上だけではない。「働く人」に焦点をあてた同院病院改革の意味は大きい。


ACCESS /

名古屋第二赤十字病院
〒466-8650
名古屋市昭和区妙見町2ー9
TEL 052-832-1121(代表)
FAX 052-832-1130
http://www.nagoya2.jrc.or.jp/LinkIcon

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