Plus用バナー5.jpgPlus用バナー5.jpg

-top.psd

シーズ<種>の発掘、
基礎研究から臨床研究、
治験、保険収載までのプロセスを一元管理し、
先端・先進医療の開発スピードを加速させる。

-リード写真.psd

Episode 01 /

開発プロセスを一元管理し、成功確率とスピードを高める。


 先端・先進医療開発は、例えば医薬品の場合、まずシーズという研究の種の発掘から始まる。そして、基礎研究を経て、前臨床試験(動物)が行われ、人を対象とした臨床試験を含む臨床研究となり、治験(薬事法で定められた品質、安全性、有効性を担保するための試験)に進む。その治験をクリアすると、最終的に保険収載され実用化し、私たちの治療に活かされる。費やす期間は10年単位。しかも実用化されるのは、一万分の一という確率だ。
IMG_4638.jpg 長い期間を必要としリスクをはらむ先端・先進医療開発だが、2010年に開設された名大病院「先端医療・臨床研究支援センター」は、新しい手法でその壁に挑戦しているという。それは何か。副センター長の水野正明教授は第一に「開発プロセスの一元化」と語る。「本来、基礎研究と臨床研究は、目的、方法、実施、評価などにおいて質的に異なります。例えば基礎研究は研究者個人の見識のみで自由に遂行できますが、臨床研究は薬事法や国の定める各種指針といった規制のもとで実施しなければなりません。この二つの質の異なった研究を有機的に結び付け、実用化への成功確率を高めることが狙いです」。この狙いを実現するため、同センターでは文部科学省の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」と厚生労働省の「臨床研究中核病院整備事業」の二つの事業をセンター内で連結し、切れ目のない開発プロセスを作り上げた。




Episode 02 /

戦略的研究開発基盤を強化し、業務の効率化を図る。

08-054.jpg 手法の第二は、「戦略的研究開発基盤の強化」である。水野教授によれば、基盤強化にはプロジェクト発想&デザインビルドアップチームが必要という。研究を個人任せではなく、医師・研究者・企業人・弁理士など多職種でチーム(デザインビルドアップチーム)を結成し、シーズ開発から保険収載までを戦略的に方向づけ、サポートする。すなわち開発研究をプロジェクトとしてマネージメントするのだ。
 次に学際的協力。医学だけでなく、工学、理学、生命農学、経済学、法学などの「知」を集結し研究を支援することが重要だ。2012年には名古屋大学大学院に待望の「創薬科学研究科」が開設され、創薬分野との連携体制も整った。
 次に産学協同。長い時間と莫大な資金が必要な開発には、企業の力は大きな存在だ。「そのため、プロセスの過程で知的所有権を担保(特許取得)し、企業の本格的な協力を得やすい土壌を作ります」。
 そして、最後に、リバーストランスレーション(臨床から基礎へのフィードバック)がある。これは実用化に至った成功例も、実用に至らなかった失敗例もしっかり評価し、そこから次の新しいシーズを生み出すことをいう。
 「このようなシーズの発掘と実用化の間を循環する一連のサイクルは、従来の先端・先進医療開発にはなかった画期的な手法です。その基盤整備に全力を注ぎ、現在、がんに対する細胞再生治療、遺伝子治療、免疫療法など、69件にのぼるシーズを支援しています」と水野教授は語る。

Episode 03 /

名大病院だからこそできる先端・先進医療開発。

IMG_4714.jpg ではなぜこうしたことを、大学医学部ではなく名大病院が行うのか。
 同センターが支援する研究対象はバイオ医療、医療機器、医療情報の三つである。そこでの最終ゴールは、あくまでも「人」である。そのうえで患者=実社会で活用できるものでなければならない。先端・先進医療開発はあくまでも実用化研究だ。
 「こうした観点に立つと、患者さんの存在は不可欠であり、かついつも研究の中心にいていただく必要があります。それができるのは医学部ではなく病院です。すなわち、シーズとニーズの接点は病院にあります。基礎と臨床の研究を結び付ける場は、病院でなければなりません」(水野教授)。
 さらに、名大病院ならではの特長がある。それは同院が持つ入院病床1035床と主な関連病院34施設の入院病床を合わせ、2万床を超える巨大なネットワークを有することだ。これは全国約20万床の十分の一であり、充分にニーズを吸い上げる環境といえる。
 そして、このネットワークには、名大医学部の教育システムで育成された、同じ価値観を持つ医師たちがいる。その人脈は、例えば患者に治験をお願いする場合、患者にとって信頼の根拠となる。患者と医師、医師と医師との密な人間関係があるからこそ、科学性はもちろん、安全性と倫理性を担保できる。
 名大病院が持つ機能を、最大限に発揮すれば、世界に伍して、新しい医療を生む仕組みを創り出すことが可能といえよう。

先端・先進医療開発体制修正版2.jpg


Episode 04 /

新成長戦略におけるセンターの存在意義。


 これまで我が国は、車に代表される輸出型産業で成長してきた。しかし軒並み頭打ちとなった現在、政府が掲げる新成長戦略に「ライフイノベーション」がある。それはまさに新しい医療産業の創出を指し、医療産業こそが、今後の日本をリードする成長産業と位置づけている。
 だが現実、日本の医薬品・医療機器の貿易収支の赤字は年々膨らみ続けている。一方、iPS細胞に代表される再生医療の研究は世界をリードし、最先端手術ロボット・ダヴィンチなどの部材のほとんどは日本製という事実がある。水野教授は「我が国には医薬品・医療機器分野での貿易収支を黒字に転換できるポテンシャルは、充分に蓄積されています。足りないのは、最終製品まで持っていくコーディネート力」と語る。
 そう考えると、先端・先進医療開発を一元管理し、最終製品に繋げることをミッションとしている「先端医療・臨床研究支援センター」の存在意義が重みを増す。国という単位で見たとき、名大病院の試みは核心を突く。
 そして、核心を突くからこそ、今、大きな広がりを持ち始めている。従来、名大病院とその関連病院との活動だったところに、中部地区の7大学病院と1つの国立研究機関が協定を結び、名大病院を核とした「中部先端医療開発円環コンソーシアム」が加わったのだ。そこでは先端・先進医療開発を協同で推進する体制、例えば倫理問題を共同で審議する、治験に協力いただける患者を共同で集めるなど、さまざまな面で連携が期待されている。



Episode 05 /

さらなる確実な歩みのために、自立と人材育成を見つめる。


IMG_4657.jpg さて、今後の課題は二つある。一つは、これら一連の動きは国の政策的な資金に基づき行われているということ。基盤整備には5年間という期間が定められていることから、5年後には運営面での自立化が要求されているのだ。より一層の努力が必要だ。もう一つは、この基盤を支える、「人」を育てること。その「人」とは、「マインドを持った医学系研究者。医師だけに限りません。優れた倫理観と哲学を持ち、新たなシーズを生み出すとともに、実用化への確固たる信念を持った研究者をどう創るかが、大きなテーマです」(水野教授)。
 先端・先進医療開発は、私たち生活者の幸せを創るために行われている。自分には関係ないという姿勢ではなく、自分自身も未来の医療をともに考え、参加するという視線を持ちたい。


COLUMN /

-コラム.psd

●「自由奔放な教育研究の場」というのが、かつての大学だった。社会情勢とは関係なく、研究者は自分が好きなテーマを追究することが許されていた。そんな研究スタイルが、大きく転換しようとしている。個人の興味で行う研究だけでなく、社会や経済において価値のあるものを創出することが、大学の大きな使命となってきたのだ。

●例えば、特許に対する認識もその一つ。研究者にとって、以前は研究成果を論文にまとめて学会に発表することが目標だったが、今は論文を書くことがゴールではない。自分が発掘したシーズを知財として保護し、実用化・産業化に繋げる強い目的意識を持つことが重要だ。先端・先進医療開発の成果を、社会的・経済的価値へ繋げるには、環境整備だけでなく、研究者一人ひとりの意識改革が問われているといえるだろう。

BACK STAGE /

-バックステージ.psd

●名大病院の「先端医療・臨床研究支援センター」は、文部科学省の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」に採択されているが、実はこれは二度目の挑戦だったという。第一期の公募に採択されなかったことが契機となり、独力で開発プロセスの一元化や戦略的研究開発基盤の整備を進め、その成果が同センターの誕生に結び付いた。

●当初から活動の中核を水野教授とともに担ってきたのが、前センター長の直江知樹教授である。名大病院のミッションの一つである「次代を担う新しい医療を開拓する」ことを内外にアピールし、基盤づくりに奔走した。その直江教授は、今春から臨床の最前線へ異動。駅伝のバトンを繋ぐように、先輩から後輩へと名大病院の研究マインドは受け継がれ、先端・先進医療開発への挑戦はこれからも続く。

ACCESS /

名古屋大学医学部附属病院
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65
TEL 052-741-2111(代)
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/LinkIcon

名古屋大学医学部附属病院
先端医療・臨床研究支援センター
http://www.nu-camcr.org

-キャッチ.psd

--アンケート.psd
皆さまのご意見、
ご感想をお待ちしております。