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勤務医や入院病床が不足した町。
この地域を守るため、
岡崎市民病院の奮闘は昼も夜も続く。

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Episode 01 /

病床数・勤務医数が全国平均を大きく下回る医療圏。

 豊かな水と緑、恵まれた住環境を有する「わが町・岡崎」。現在は人口37万8000(平成24年1月調べ)。西三河における中核都市の一つとして知られる。
 この多くの人々の生活を「医療」の視点から見ると、平成23年4月の愛知県地域保健医療計画改定に伴う県内医療圏の再編により、幸田町を併せた人口約42万人を抱える西三河南部東医療圏が形成されている。中面1.jpg
 しかしその実態は、人口10万人あたりの一般病床数が、全国平均705・6床に対し本医療圏は362・8床、病院勤務医数は、同じく141・3人に対し62・0人(数字は平成22年度)。全国平均に比べ、医療資源が極端に少ない町といえよう。
それを端的に表しているのが、救急医療だ。40万人超の人口に対し、専門的かつ高度な治療を提供できる三次救急医療機関が1カ所、入院や緊急手術も可能な輪番制の二次救急医療機関は3カ所、外来処置で帰宅が可能な患者のための初期(一次)救急医療機関は、地域医師会による休日在宅当番医制と、夜間急病診療所1カ所である。そうした現実のなかで、三次救急医療機関である岡崎市民病院を先頭に、地域の医療機関が奮闘を続けている。

Episode 02 /

超過密状態の救急外来。
だが、本当に三次救急が必要なのは、救急患者の約20%。

中面2.jpg 現在、本医療圏の救急搬送件数は、年間約1万4300件。そのうちの約9000件が、岡崎市病院に集中する。その9000件を含め、岡崎市民病院の救急外来に訪れる患者数は約3万7000人。すなわち、救急搬送とは別に、約2万8000人が自分で救急外来にやって来る。しかも全救急
患者の80%は軽症であり、入院することなく自力で帰宅。言葉を換えると、本来、高度な三次の救急医療を必要とする患者は、約20%しかいないにもかかわらず、岡崎市民病院の救急外来は、超過密状態なのである。イメージ3.jpg
 「軽症で、緊急性がないにもかかわらず救急外来を利用する、すなわち“コンビニ受診”をされる方がとても多くいます。それが一番の悩みです。夜間は通常9~10名の医師で対応していますが、軽症の患者さんに多くの手を取られると、一刻を争う重症患者さんが運ばれてきても、迅速な対応ができ難く助けるべき人を助けられなくなってしまいます。とはいえ、軽症の方のなかにも、実は重症という方もあり、むやみに断ることはできません。医師や看護師の負担や疲労度は大きく、それが理由で離職に繋がりかねない事態です」と、苦渋の思いを木村次郎院長は語る。
 ではどうすればよいのか。木村院長は、「コンビニ受診を控え、地域の医療機関や夜間急病診療所に受診いただけると有り難いですね」。


Episode 03 /

地域全体で機能分担を行う効率的な医療体制構築の必要性。

イメージ5.jpg実はもう一つ、問題がある。それは地域における病床数の不足だ。
 岡崎市民病院は現在病床数が650床あるが、利用率は一日あたり98・3%で常にほぼ満床状態。救急を含めた急性期入院患者を受け続けるための、ベッドの空きが無いのだ。この現状に、木村院長は語る。「この程、県保健医療計画改定で、この医療圏もやっと病床数を増やすことが認められました。そこで、新棟を建設し50床を増設、救急棟には15床を新設すると同時に、病床の利用効率改善の取り組みにも力を注ぎます。同時に、患者さん一人ひとりを丁寧に看るために、看護面では最高水準の7対1看護体制を実施しており、その維持にも努めます。また、医師については、最新医療機器の導入によるモチベーションの維持など魅力ある職場環境を整え、優秀な人材を集めていきたいと思います」。
 急性期病院としてできる限りの努力をする、という姿が浮かび上がっている。ただ、岡崎市民病院が規模や人員を増やし、丁寧で迅速な治療を終えたとしても、その次の段階では、リハビリなどで機能回復を図ったり、落ち着いて療養できる環境が必要となる。だがその、患者にとって次のステージとなる病院が、本医療圏ではまだまだ不足しているのである。それが、岡崎市民病院での入院期間を長くさせ、結果、満床という悪循環を生む。 医療資源不足を、岡崎市民病院だけの努力で補うには限界がある。回復や療養の期間を受け持つ病院は、岡崎市民病院の治療を終えた患者を、速やかに受
け入れられるよう注力。また、診療所は病院との連携を深め、患者が安心して在宅医療を受けることができる環境の充実に努める。今後は、こうした地域における医療の機能分担と連携のさらなる強化が、大切ではないだろうか。


Episode 04 /

地域の医療機関が連携を深め、市民は病状に合った受診行動を。

イメージ4.jpg岡崎市民病院は今後どのように歩むのか。木村院長に聞いた。
 「当院の役割は何かと考えたとき、まず第一は救急。この地域の医療現状を考えると24時間365日、三次救急だけでなく二次救急も担っていくことが必要だと思います。その代わり、初期救急は地域の先生方に助けていただきたい、というのが本音です。住民の皆さんと地域医療機関が協同して、この町にふさわしい救急医療の仕組みを作れないものかと考えます。それから、高齢化時代の地域医療として不可欠ながん治療の充実、生活習慣病とそれに起因する血管病の克服、安心・安全な小児・周産期医療。これら4領域の地域医療の中核になることをめざし、急性期病院として、地域医療機関の皆さまをできるだけサポートできるよう、機能・設備の拡充と強化を図ります」。
 この医療圏では、少ない医療資源を地域での医療連携で補い、医療システムの崩壊を防いでいるように思われる。今後は医療・介護・福祉との連携による、継続ケアの提供が地域では重要な鍵になる。私たちの町の医療のあり様をすべての人が理解し、そのうえで安心して生活するための医療基盤をどう創るか。それは医療機関同士が「会話」を深めるとともに、市民も適切な医療機関への受診行動を考えることではないだろうか。岡崎市民病院は自らの使命と責任を胸に刻み、この町の医療を
見つめて「私たちにできるもう一歩」への挑戦を始めている。


COLUMN /

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岡崎市民病院では、平成21年度から平成27年度までの計画で、さまざまな改革プランを推し進めている。

がん治療については、外科治療、放射線治療、化学療法、緩和ケアなどを網羅したがん専門の治療・相談機能を充実させ、地域がん診療連携拠点病院の指定をめざして取り組み中だ。

生活習慣病では、特に血管病に特化した治療や予防医学、糖尿病指導をはじめ、平成25年1月には、カテーテルを使う内科的治療と外科手術による治療法とを一つの部屋で行うことができるハイブリッド手術室も稼働予定。医療体制面での積極的な取り組みが図られている。

がんや血管病の治療は、働く世代を守るだけでなく、地域社会の高齢化対応にも直結する。これに全力を注ぐためにも、医療スタッフの確保は最優先課題。現実の問題と闘う一方で、医療従事者にとって働きがいのある病院づくりにも余念がない。

BACK STAGE /

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●本編でも紹介したように、わが国の救急医療提供体制は機能分化されている。ここでは互いに補完し合うことが前提であり、まずは初期で、そこから二次へ、三次へという流れが基本だ。

●だが愛知県では、三次救急医療機関に患者が集中する地域が多い。もちろんそれは、住民からの三次救急医療機関に対する信頼の高さを物語るものであり、一方では、それらの医療機関が専門・高度医療への取り組みを果敢に行っている証しといえよう。

●しかしながら問題は、二次救急医療の脆弱さという副産物を生み出していることだ。程度の差はあるが、岡崎市民病院と同じ悩みを抱いている三次救急医療機関は多い。

●この歪みは、必ず市民生活に影響を与える。市民自身が、地域医療機関の正しく賢い活用方法を心がけることが必要である。

ACCESS /

岡崎市民病院
〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3番地1
TEL 0564-21-8111
FAX 0564-25-2913
http://www.okazakihospital.jp/LinkIcon