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「日本の未来を担う医師を育てたい」。
研修に携わる医師たちの情熱と高い志。

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Episode 01 /

圧倒的な症例数が質の高い医師を生む伝統的な研修スタイル。

IMG_4276.jpg 大垣市民病院の現場の忙しさを示す一つのデータがある。「3956件」。これは大垣市民病院で平成24年に行われた全身麻酔手術の年間件数だ。この数は同規模の基幹病院と比べても圧倒的に多い。こうした状況から、同院で学ぶ研修医の教育は、「量」が基本とされてきた。そして、他の病院ではなかなか経験できない圧倒的な症例数をもとに、「脊髄反射のごとくスピーディーに」と、指導医の一人である外科医長・前田敦行医師が表現するように、「骨の髄まで覚え込ませる」のが伝統的な教育スタイルだ。
 さまざまな症例を実際に体験するなかで、研修医は多くの学びを得ることができる。どんな治療をすればいいのかを瞬時にイメージする力や、イメージから逆算して適切な検査や治療方法を選ぶ力などが身に付いていく。同院ならではの「症例数」が、正確かつ安全な治療を無駄なく行える技術を養っていくのだ。そして、基礎的な部分を反射的にできるようになった上で、より専門性の高い症例への対応力を培っていく。
 その一方で同院では、研修医に臨床研修の学会発表を義務付けている。それも既存の調査結果をなぞるようなものではなく、新たな発見を導き出すような高度な内容を課しているのだ。こうした厳しい研修こそ、全科に浸透する「大垣イズム」となっている。

Episode 02 /

各科で学んだ専門知識に基礎という「串」を通す。

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 同院には、高い専門性を持った診療科がそろい、経験を積むための症例数も充分にある。研修医は、ローテーションする各科で多くの症例を経験でき、レベルの高い専門知識や技術を習得できる。だが、各科での専門性を重視するあまり、一般的な症例に対する指導が手薄になる状況が生まれていた。救急医療の主戦力でもある研修医にとっては、一般的な症例を診る初期診断の知識は必要だ。
 そんな同院の教育体制に新しい流れを作り出したのが、救命救急センター・坪井重樹医師である。坪井医師は救命救急のメッカともいえる名古屋掖済会病院で基礎を学び、教育にも携わった経験を持つ。いわば初期診断のスペシャリストだ。研修プログラム作成の責任者を務める鈴木賢司医師は、今までの研修内容を振り返り、「いい素材はたくさんあるけど、うまく料理するシェフがいなかった」と話す。各診療科で得た経験を繋げるための基礎、「串」になるものを提供したいと考えたのだ。


IMG_4460.jpg その任を受けたのが坪井医師。今年度から新たに「臨床研修センター枠」という時間を設け、各科から引き離して平日の午後に初期診断の指導を行う。坪井医師は「広く共有されている概念や知識を一般化して研修医に伝えていきたい」と話す。「安全で質の高い医療を標準化することは、患者さんのためになること。そして患者さんにとって安全なことは、医療者にとっても安全なことだと思います」。
 そうしたプログラムの見直しとともに、鈴木医師は研修医が疲弊しない仕組みづくりにも着手。今では1年目と2年目に休暇ローテーション制度を設け、1週間まとめて休暇を取得できるようにした。あまりのハードさに「血尿が出る」と、噂されるほどの日々を送る研修医たちのなかには、この長期休暇を利用して海外旅行などに出かけリフレッシュする者も多い。

Episode 03 /

忙しさが噂になる。
そんな病院で学びたいと志の高い研修医が集う。

IMG_4574.jpg 「噂になるぐらいの病院に興味がありました」。研修医の犬飼庸介医師は、同院を選んだ理由をこう話す。「最初はあえて厳しいところを選びたかった。最前線で学びたいという思いが強かったですね」。
 当然、研修の厳しさは覚悟の上だ。だが、研修1年目で初めて執刀したときには、手が震えた。もちろん、手術の基本を学んだ上、実際には指導医の立ち会いのもと、段階的に執刀する。「これは他の病院に行った外科医志望の同期と比べても早い」と犬飼医師。他ではできない経験を通じて、自分でも成長を実感しているという。「医師である私の父は、『99と100とでは大差ないが、0と1とでは雲泥の差がある』とよく言います。僕は消化器内科志望ですが、やはり何でも自分で一度体験することは大きい。当院での経験は将来必ず役立つと思いますね」。
 また、指導医の存在も大きな支えだ。「研修、楽しんでいるか?」。朝のカンファレンス前にかけられた何気ない一言に、犬飼医師はハッと気付かされた。「普段は仕事に追われてなかなか余裕はないですが、自分が楽しめているなら、結果的にいい診療ができ、患者さんにもよい結果をもたらす。そんな思いが込められていると感じました」。救急の現場では根拠が持てない不安から、上級医に相談すべき症例を見過ごす失敗もあった。だが、こうした不安も徐々に払拭されつつある。「若手の先生たちも全面的にサポートしてくれて本当に心強いですね」。
 そしてなにより、同期の存在が一番の刺激になっている。「この病院を希望してきた仲間ですから『楽をしたい』なんて人は一人もいない。なかには寝る間を惜しんで勉強している人もいる。そんな姿を見ていると、自然に自分もやらなければと思いますね」。


Episode 04 /

日本の将来を担う人材の輩出を通じて、医療に貢献し続ける。

IMG_4367.jpg 近年は医療の分業化が進んでいる。専門性の高い医師が、自らの担当分野で力を発揮する。それは確かに大切なことだが、一方で「自分の手から離れたらそれで終わり」ではいけない。患者の治療はその後も続いていくからだ。前田医師は言う。「患者さんにどのような継続治療がなされるか、理解することは重要です。総合的に診療科を有する当院ならそれが可能。各診療科の高い専門性を、求めれば学べる環境にあります」。


IMG_4387.jpg ゆくゆくは“日本を担う人”になってもらいたい。だからこそより高いレベルを要求し、基礎的な疾患への対応力も身に付けてもらう。また、大きな病院ならではの人間関係の構築の仕方や、コミュニケーションの取り方なども学んでもらう。これが同院の研修医教育の姿だ。「当院の研修を経ていろんな人材が医療に貢献する。将来的に当院を離れたとしても、それはとても大きいことです。これからも『あそこで研修して良かった』と思える病院であり続けたい」と鈴木医師。日本の医療に貢献するという使命感を胸に、同院の“医師づくり”は続いていく。


COLUMN /

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●約40万人の人口を抱える西濃地区において、500床以上の規模を持つ唯一の大規模病院である大垣市民病院。そのため同院には、大垣市内外、さらには滋賀県や三重県からも多くの患者が訪れている。昭和8年に大垣市立診療所として発足以来、80年にわたり岐阜県西濃地区の医療を担い続けてきた同院。診療科26科・病床数903床は岐阜県下最大であり、自治体が運営する病院として全国屈指の規模を誇る。

●岐阜県内6カ所にある救命救急センターの一つとして三次救急を担い、地域災害医療センター、地域周産期母子医療センター、小児救急医療拠点病院などにも指定される同院。平成23年度の救命救急センターの外来患者数は4万5284人、救急車利用患者数は9768人と、全国トップレベルの数だ。さらに同24年度中央手術室で行われた手術件数は7308件を数え、西濃地区における「救急医療の最後の砦」として地域医療を力強く支え続けている。

BACK STAGE /

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●日本では大学の医学部での教育に力を入れる一方、卒後教育は各病院の裁量に委ねられている。そのため、研修医の教育に熱心な病院もあれば、その内容を疑問視せざるを得ないような病院もあるのが実態だ。

●大垣市民病院のように、病院側が高いモラルを持ち、質の高い教育体制を整備することで、それを受ける研修医自身も高い志を持つ。これこそが研修のあるべき姿だろう。こうした病院を増やしていくためには、研修内容を安易に病院の自由裁量に委ねるのではなく、きちんとした仕組みを構築することが重要だ。そして、現状のように臨床で得たお金を研修の財源に充てるような病院任せのシステムを改め、医師の卒後教育に「人、モノ、金」をもっと振り向けるべきではないだろうか。研修を担当する臨床研修病院の選定も含めて、国自体が研修のあり方を今一度考え直す必要があるのかもしれない。


ACCESS /

大垣市民病院
〒503-8502
岐阜県大垣市南頬町4-86
TEL 0584-81-3341
FAX 0584-75-5715
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