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高度な急性期医療は、今後も変わらず提供し続ける。
そのなかで「地域連携の深化」を推進していきたい。

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Episode 01 /

県下屈指の急性期病院。
自らの守備範囲は、今後も変わらず維持する。

IMG_3875.jpg 名古屋市南区にある社会保険中京病院は今、激変の真っただ中にある。全国社会保険協会連合会の管轄下で長らく運営されてきた同院。だが、平成21年の社会保険庁解体を受け、平成26年4月からは、新たに設立される独立行政法人「地域医療機能推進機構」によって運営されることが決定。“社会保険”と付された同院の名称も変更、新たな船出が間近に迫っている。
 同院は、昭和22年に開設されて以来、名古屋市南東部、知多半島の一部地域を担う急性期医療の基幹病院としてその役割を果たしてきた。平成15年4月には、救急センター、熱傷センター、CCUを集中させた救命救急センターを開設。ICU8床、熱傷ICU4床、CCU4床、HCU26床の計42床の病棟を運営し、県下屈指の実績・規模を誇る急性期および三次救急医療施設として機能している。
 「医療のカタチが変わっても、変えてはいけないものがある」。平成25年4月からトップに就任した絹川常郎新病院長はこう語る。「これからも一般的な急性期医療を担うのが私たちの役目です」。絹川病院長は、今後も同院が誇る“守備範囲”を変えるつもりはない。ただ、そのなかで、医療資源が集積する名古屋市の特性を活かし、高度医療については棲み分けを図るつもりだ。「一般的な病気にすべて対応できる機能を保った上で、当院の得意分野は伸ばし、そうではない疾病については他の基幹病院と連携して最適な治療をナビゲートする。凹凸を無理やり平準化するのではなく、連携を図ることで医療の水準を高いレベルに保っていきたいと思います」。


IMG_9302.jpg 救急医療については、三次救急医療施設として高い治療実績を誇る、超重症患者への対応を続ける一方、急増する二次救急にも応える体制を構築中だ。以前は年間約4000台だった救急搬送の受け入れ台数は、平成24年度後半は、年間6000台のペースまで増加。三次救急・二次救急の二つの機能が融合し、守備範囲である急性期において、さらに盤石な体制ができ上がりつつある。

Episode 02 /

地域の連携を強化し、今後は「出口」問題にも積極的に取り組んでいく。

 変わらないカタチがある一方で、変えなければいけないものもある。それが「出口」=入院患者の速やかな退院である。これは同院に限らず、現在の日本の医療が抱える根本的な課題といえるかもしれない。すなわち、高齢化が進む日本では救急患者は年々増加の傾向を辿る。そうした患者を地域の基幹病院が懸命に受け入れても、急性期治療を終えた方々が速やかに退院しなくては、病床を空けることができず、次の患者を受けたくとも受けることができないという事態だ。これには、地域の医療施設・介護施設などとの連携しか手立てはない。
IMG_4106.jpg より強固な地域連携を模索する同院では、トップ同士の会話という「線」から、実際の現場同士の交流という「面」へと、連携の軸足を移行させつつある。年4回実施される地域医療支援病院会議では、連携の活性化を狙い、介護や在宅分野の関係者をより多く招いている。さらに、年3回行われる病診連携の症例検討会でも、がんの在宅医療や介護をテーマに掲げて介護従事者の参加を促した。すると今までにない大勢の関係者が詰めかけてきた。「医療、介護と領域は異なっても、地域の現場で活躍する熱い方々がたくさんいる。そうした人と人、組織と組織を繋いでいくのが当院の使命だと思います」。絹川病院長は決意を込めてこう話す。

Episode 03 /

専門医との連携を図る新たな「総合医」の育成にも力を注ぐ。

IMG_3910.jpg 高齢化が進む現代社会では、複数の疾病を抱える患者にどう対応するかが医療の質を大きく左右する。だが、今までの日本の医師教育は、臓器別・疾患別に分かれ、専門分野に特化した医師を大量に送り出してきた。その結果、自分の専門分野には長けているものの、専門外の知識には乏しい医師が増加。診療科の枠を超えて、最適な選択肢を患者に提示できる医師が圧倒的に不足しているのだ。
 今後必要なのは、専門医のコーディネートができる「新たな総合医」の存在だ。地域にある医療資源を充分に理解し、それぞれに得意分野を持った専門医や医療機関を繋ぐ。こうしたコーディネート役こそが地域医療の質を高める上で欠かせない。「めざすのは、都市型の総合医」と絹川病院長は力強く語る。
 こうした絹川病院長の決意は、すでに同院の研修医教育にも現れている。同院では、2年間の初期研修を終了後も、各専門の診療科に入る前にプライマリ・ケアの研修を必ず課す。今後、専門分野に入ったとしても、疾病を総合的に判断できる力を維持してもらうためだ。従来の臓器別専門医教育へのアンチテーゼとも呼べるこうした取り組みが、地域医療の問題を解決する糸口になるかもしれない。


Episode 04 /

病院単体ではなく、地域全体で医療の質を向上させるために。

IMG_4032.jpg 平成25年3月、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した人口推計によれば、平成52年の日本は、すべての都道府県で人口が減少、住民の3割超が65歳以上の高齢者となる。
 高齢社会が抱える医療の問題のひとつが、主要疾患だけでなく、併存疾患を抱えた患者がさらに多くなることだ。そのため、単に主要疾患を治療すればいいのではなく、併存疾患との兼ね合いを考えながら、患者の豊かな人生を考えた総合的な判断が求められる。「そうした視線を持ったとき、本当の意味で患者さんに寄り添って歩むには、急性期病院単体では不可能です。地域の医療・介護・福祉機関が連結し、継続ケアの視点で、患者さん一人ひとりの幸せを紡いでいく。その牽引役となることこそ、当院の真の使命だと感じています」。
 医療の質の追求は、突き詰めれば「患者の満足」を追求することだ。同院では、患者満足に関する客観的な指標として「外来患者満足度調査」、「入院患者満足度調査」、「外来緊急調査」の3指標をホームページ上で公開。今後もこうした同院独自の指標を用いて、さらなる患者満足度の向上をめざす。「『中京病院はすばらしい病院である』という評価ではなく、『中京病院があるこの地域の医療がすばらしい』と評価される病院でありたい」。地域とともにいきる病院であるために――。新たな医療のカタチにむけて、同院は着実に歩みはじめている。


COLUMN /

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●以前の病院では、あらゆる診療科を網羅し、患者の要求にすべて応える「病院完結型医療」を提供するのが当然だった。だが、近年は、さまざまな原因による地域医療の崩壊、高齢化に伴う慢性疾患の増大により、基幹病院が自前の医療資源のみで完結的に患者を治癒することは、非常に困難になってきている。

●急激な高齢者の増加と労働人口の減少が進むなかで、医療資源を地域で効率よく活用し、いかに医療の質を担保していくのか。これは日本が構造的に抱える大きな問題だ。こうした状況から、厚生労働省では、医療機能の分化・連携を推進し、急性期から回復期、在宅医療にいたるまで、地域全体で切れ目のない医療を提供する「地域完結型医療」の実現をめざしている。地域医療の中核を担う基幹病院が軸となり、地域の医療・介護・福祉機関が手を携え、全体で医療の質を維持していく。こうした取り組みが、全国各地で広がりを見せている。

BACK STAGE /

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●社会保険病院は、厚生省が昭和20年代に整備を進めた医療施設だ。社団法人全国社会保険協会連合会が運営し、各地で地域医療を担ってきた。だが、社会保険庁の解体に伴い、平成21年10月、年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)へと移管。そして平成23年6月には、RFOを改組した独立行政法人「地域医療機能推進機構」に管理運営させ、社会保険病院のなかでも、地域で真に必要とされる病院だけを選び、地域密着型の病院として存続させるという法案が可決・成立した。

●今も昔も地域医療を担い続けてきた社会保険中京病院は、社会保険庁の解体に振り回された被害者といえるかもしれない。平成26年4月には、地域医療機能推進機構の運営下で新たなスタートを切る同院。新体制のもとで、果たしてどんな医療のカタチが生まれてくるのか。その動向に今、注目が集まっている。


ACCESS /

社会保険中京病院
〒457-8510
愛知県名古屋市南区三条1-1-10
TEL 052-691-7151
FAX 052-692-5220
http://www.chukyo-hosp.jp/


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