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トヨタ流の、医療の質の「カイゼン」。
現地現物で、地域医療の未来を照らす。

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Episode 01 /

病院改革のテーマは、誰からも信頼され、
期待される病院を作ること。


IMG_5810.jpg 平成25年4月、愛知県豊田市のトヨタ記念病院では、稲垣春夫前病院長が名誉院長に就任。前病院長の下で救急外来「ERトヨタ」の立ち上げや、研修医教育の改善などに尽力してきた岩瀬三紀前副院長が病院長に就任し、新体制で新たな船出を迎えた。
 岩瀬病院長が掲げるテーマには、四本柱がある。第一のテーマは「信頼され期待される病院づくり」。そのなかでも真っ先に取り組むのが「医療の質向上」である。詳細に見ると一番目は、救急医療体制の強化だ。同院では以前から「救急は断らない」を合言葉にしてきた。だが、平成24年12月から平成25年1月にかけて救命救急センターの重症ベッドが満床となり、やむなく受け入れを断る事態が発生した。その後の努力により状況は改善したものの、「あらためて救急体制の強化、救急車を断らない風土を復活・維持する」と岩瀬病院長は決意を語る。
 二番目は、診療機能の強化だ。がん診療体制を強化するため、高度な放射線治療を可能にする機器の導入を予定している。さらに新機種に対応できる人材の育成、集中治療機能の再構築、手術支援機器の導入検討など、手術体制のさらなる拡充を計画している。リーマンショック以降、医療機器の刷新が見送られてきたが、今後は老朽化が進んだ機器から早急に更新する考えだ。
 三番目として、インフラに加えた人材面の強化が課題である。今まで以上に多職種の連携関係を深め、お互いに助け合う土壌を作り上げるとともに、改善活動にもより一層力を注いでいく。
 「医療の質向上」とともに「患者さまサービスの向上」にも全力で取り組む。「職員一人ひとりが『何ができるか』を考え、自ら設定したテーマをより多くの人が達成できる仕組みを作りたい」と岩瀬病院長は決意を語る。さらに、「地域やトヨタグループ内の連携強化」も見落としてはならない。工場内にある社内診療所や、会社内健診施設、地域の医療機関との連携を強めていく。「今年は社内外からの紹介増を図っていく」と岩瀬病院長は意気込む。

Episode 02 /

理想の病院像を実現するため、「基盤」を固めていく。

IMG_5697.jpg こうした課題を解決するため、第二のテーマとして、「経営基盤の強化」に取り組む。「健全な経営が担保できれば、新たな投資もしやすくなる。トヨタ記念病院は、トヨタ自動車の業績にかかわらず比較的投資が認められてきたが、これに甘んじることなくより適正な医療経営の維持をめざす」と岩瀬病院長。診療の生産性向上のため、手術枠、外来予約枠、ベッドコントロールなどを改善。さらに、医療政策に対応した体制づくりも促し、医師や看護師を補助する体制を堅持・拡充するなど、行政の変化にも柔軟に対応すると語る。
 第三のテーマは、「安全・安心な職場づくり」。医療過誤の防止、職場安全・交通安全の徹底に加え、地震などを想定した減災対策の確立もめざす。トヨタ自動車が行う災害時の事業継続マネジメントや、事業継続計画の病院版を作り、「いかに患者さま・職員の安全を守るか」「いかに地域住民を守るか」という二つの側面から、平成25年5月末には、適切な初動行動の徹底を図るための災害訓練を実施する予定だ。
 そして第四のテーマとして、「生き活き職場づくり」がある。職員全員が活力を持って働ける職場づくりを進めるのだ。トヨタ自動車の取り組みの一環として、同院では「創意くふう提案」という活動を実施しているが、この提案件数が年々増加。職員の参加率は96%に及ぶ。「これはトヨタの良い伝統です。今後もこうした活動を続けていきたい」と岩瀬病院長。
 こうした取り組みと同時に、「職場環境の改善」も推進する。その一環として、医療従事者用の託児所の定員は50名から100名へと倍増させる予定だ。また、職員間のコミュニケーションを活発化させるため、多くの職員が参加するイベントを開催したり、各種企画における若手の積極的な参画を促すという。

Episode 03 /

「院内」と「院外」。
2つの連携の強化が、改革推進のカギとなる。

IMG_5792.jpg トヨタ記念病院では、中長期計画として「メディカルケアランド構想」を掲げている。この計画では、短期、中期、長期と設定し、「医療の質向上」、「働く環境の整備」、「病院エリアの再構築」の三つの視点から改革を進めていく、とある。
 この計画のカギとなるのが、「地域」「院内」の二つの軸での連携強化だ。まずは「地域」。今後、地域の高齢化が急激に進んでいくなか、いかにして澱みのない医療を提供していくのかが大きな課題となる。そのために、かかりつけ医や地域の医療福祉施設などとの「前方連携」、そして退院後の「後方連携」、さらには、近隣の救急基幹病院との「水平連携」を図っていく。地域にある基幹病院がそれぞれの得意分野を生かし、どのように役割を分担していくのか。地域全体での効率的な医療の実現に向け、今後も模索を続けていくつもりだ。
 一方、「院内」の連携だが、同院では、ひとつの病棟に内科系・外科系をそろえ、患者の治療、生活面の支援などをチームで行う「臓器別センター制」を導入している。これにより、同じ臓器での連携は円滑化されたものの、「診療科同士の連携はまだまだ不充分」と岩瀬病院長は厳しく分析する。救急と各診療科の間、各臓器別センターの間には依然として垣根が残る。今後は「連携の視える化」を図り、「各科の垣根がない病院にしたい」と雄弁に決意する。


Episode 04 /

院内に宿る「トヨタウェイ」。
その精神が、改革への力となる。

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 トヨタ記念病院には、企業立の病院でありながら、西三河の地域と共に歩んできた歴史がある。トヨタ自動車工場内の診療所に端を発する同院だが、多くの人口を抱える西三河北部医療圏の基幹病院として、地域医療の一翼を担ってきた。同じ医療圏にある豊田厚生病院とは互いに協調し、小児患者の救急車搬送の輪番を両院で分けることで、「救急車を断らない」という伝統を一緒に守り抜いてきた背景もある。「地域住民の健康に寄与し続ける」。こうした文化は今後も変わることはない。
 そして、同院の根幹には「トヨタウェイ」という風土がある。「私がトヨタ記念病院で学んだことは、常に現場を大事にして改善を続けること。トヨタウェイが私の一番の財産です」と岩瀬病院長も語る。
 「もっともっと良い病院」をめざして——。これまでも理想をめざして走り続けてきた同院だが、「トヨタ」の精神を胸に、あえて今、「カイゼン」に向けて現地現物をモットーに確かな歩みを始めた。


COLUMN /

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●トヨタ記念病院は、トヨタ自動車が運営する企業立の病院だ。そのため、他の医療機関とは異なり、製造業の会社などで見られるTQC(総合的品質管理)をはじめ、企業の経営手法やマネジメント手法などが随所に取り込まれているのが特長だ。文中に登場した災害時における事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)や事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)も、トヨタ自動車で行われている大規模災害対策と連動している。

●トヨタの「カイゼン」は、トヨタ記念病院の随所に見られる。岩瀬病院長自らがそうであるように、同院の職員にはトヨタウェイの精神がしっかりと刷り込まれている。院内で実施する「創意くふう提案」に96%の職員が参加し、改善への意識は非常に高い。現状に満足することなく、常に一つ先を見据えて行動する。こうした文化こそ、「患者さまの視点でカイゼン」をすすめる最大の原動力だろう。

BACK STAGE /

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●豊田市を中心とした西三河北部医療圏には、トヨタ記念病院と豊田厚生病院があり、ともに手を携えながら地域医療を担ってきた経緯がある。同じ地域に急性期機能を持った病院が二つあれば、片方の病院に不測の事態が生じた場合でも一方の病院で機能を補完できる。災害時のリスク分散の意味からも、地域住民にとってとても心強いことだ。

●一時、小児科の医師不足に悩まされた両院は、救急車の輪番を分け、当直医を半分にすることで、危機的状況をうまく回避した。今では両院ともに充分な医師を確保できているが、小児科や産婦人科は慢性的な医師不足が指摘されており、再び同様の状況が起こらないとも限らない。互いに機能を補完し、地域で質の高い医療を担保していく。そんな医療を実践する両院は、医療崩壊が叫ばれるなか、今後ますますその存在感を増していくことだろう。


ACCESS /

トヨタ記念病院
〒471-8513
愛知県豊田市平和町1-1
TEL 0565-28-0100
http://www.toyota-mh.jp/


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